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※迅さんのセクハラが結構酷いので、苦手な人は注意。
ボーダー本部、城戸司令への報告を済ませ、あきは廊下を歩いていた。その立ち振る舞いはしゃんとしていて、まさに高嶺の花と言ったところだ。ボーダー内でも彼女の人気は高く、ファンも多い。けれど、一人を除いて彼女に言いよる輩はいなかった。それは彼女の気高い性格によるものでもあるが、ただ一人言いよる男を敵に回したくない、というのも多分にあった。あとは、その男が暗躍しているから、というのもある。
さて、このまま帰るか、個人ランク戦でもして行くか。あきは考えながら、後ろに近づく気配に意識を割く。自分の尻を撫であげようとする男の手首を、あきはひっつかみ捻りあげた。
「い、痛い痛い! まだなにもしてないって!」
「よく言うわ。完全に触ろうとしたくせに」
あきは迅を睨みつけながら手を離した。迅は手首をさすり、ふぅふぅ息を吹きかける。
「というか、未来視もないのになんで俺って分かるの?」
「あんたの気持ち悪い気配なんて、肌で感じるもの」
「え、俺で感じるって?」
「………………」
あきは一層眉を潜めて彼を見る。迅はそれすら楽しいといった感じで、へらへら笑った。
「もお、そんな怖い顔したら美人が台無しだよ?」
「誰のせいだと思ってるのかしら」
「俺のせいでしょ? 俺のせいで乱れるあき本当に可愛いよ」
「……ねえ、せめて会話にしてくれない?」
深いため息はそれでも彼を揺るがすことはなく、室内に溶けた。会えばいつもこうなのだ。あきはセクハラにもほとほと困っているが、それ以上に迅の言動に振り回されるのが気に食わなかった。
「…………もういいでしょ。私、行くから」
踵を返すと、彼女は歩き出そうとした。しかし、それは、
「久しぶりに会ったんだから、もうちょっと構ってよ」
と言う迅に阻止される。彼が脇から腕を差し込み、胸を揉むことによって。
「…………!!」
ぞわ、と彼女の背を怖気が走る。反射的に肘鉄を食らわせる。迅はそれをまともにみぞおちへ食らった。
「うっ、流石にみぞおちは痛い」
「ほんっとにいい加減にしなさいよ! そのうち訴えるから!」
「それはないよ、俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「かっこつけるな!」
イラつきに耐えかねて、あきは迅の急所を蹴り上げた。堪らず、迅は地面にうずくまる。それを、軽蔑の視線で見下ろした。
「…………いいね、その眼差し。ぞくぞくする」
「……黙れ変態」
「うん、そうだよ。あきが好きなんだ」
「どの口が……」
「本当だって」
迅は立ち上がると、そっとあきの左手を取った。そうして、手の甲にちゅ、とキスを落とす。その動作があまりに優しく、紳士的なせいで、彼女は拒むことを一瞬忘れた。
「あきが好きで、どうにかなっちゃいそう。責任とって?」
そのまま、反対の手で腰を引き寄せる。ふっと、耳元で吹きかけるように告げられた愛の言葉。
「っ、調子に乗るなぁ!」
あきは迅を思い切り突き飛ばす。そうして、振り返ることなく走り去った。
「いてて、やりすぎたかなぁ……」
迅は背中を見つめながら、一人呟く。自分の言動を思い返し、深く落ち込む。
(ああー……なんであそこまでしちゃうかな、嫌われたくないのに)
ふぃーと息を吐き出し、目をつぶる。
(けど、これであきが変な連中に絡まれる未来は消えたな)
任務完了、とばかりに彼もその場を後にしたのだった。
ボーダー本部、城戸司令への報告を済ませ、あきは廊下を歩いていた。その立ち振る舞いはしゃんとしていて、まさに高嶺の花と言ったところだ。ボーダー内でも彼女の人気は高く、ファンも多い。けれど、一人を除いて彼女に言いよる輩はいなかった。それは彼女の気高い性格によるものでもあるが、ただ一人言いよる男を敵に回したくない、というのも多分にあった。あとは、その男が暗躍しているから、というのもある。
さて、このまま帰るか、個人ランク戦でもして行くか。あきは考えながら、後ろに近づく気配に意識を割く。自分の尻を撫であげようとする男の手首を、あきはひっつかみ捻りあげた。
「い、痛い痛い! まだなにもしてないって!」
「よく言うわ。完全に触ろうとしたくせに」
あきは迅を睨みつけながら手を離した。迅は手首をさすり、ふぅふぅ息を吹きかける。
「というか、未来視もないのになんで俺って分かるの?」
「あんたの気持ち悪い気配なんて、肌で感じるもの」
「え、俺で感じるって?」
「………………」
あきは一層眉を潜めて彼を見る。迅はそれすら楽しいといった感じで、へらへら笑った。
「もお、そんな怖い顔したら美人が台無しだよ?」
「誰のせいだと思ってるのかしら」
「俺のせいでしょ? 俺のせいで乱れるあき本当に可愛いよ」
「……ねえ、せめて会話にしてくれない?」
深いため息はそれでも彼を揺るがすことはなく、室内に溶けた。会えばいつもこうなのだ。あきはセクハラにもほとほと困っているが、それ以上に迅の言動に振り回されるのが気に食わなかった。
「…………もういいでしょ。私、行くから」
踵を返すと、彼女は歩き出そうとした。しかし、それは、
「久しぶりに会ったんだから、もうちょっと構ってよ」
と言う迅に阻止される。彼が脇から腕を差し込み、胸を揉むことによって。
「…………!!」
ぞわ、と彼女の背を怖気が走る。反射的に肘鉄を食らわせる。迅はそれをまともにみぞおちへ食らった。
「うっ、流石にみぞおちは痛い」
「ほんっとにいい加減にしなさいよ! そのうち訴えるから!」
「それはないよ、俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「かっこつけるな!」
イラつきに耐えかねて、あきは迅の急所を蹴り上げた。堪らず、迅は地面にうずくまる。それを、軽蔑の視線で見下ろした。
「…………いいね、その眼差し。ぞくぞくする」
「……黙れ変態」
「うん、そうだよ。あきが好きなんだ」
「どの口が……」
「本当だって」
迅は立ち上がると、そっとあきの左手を取った。そうして、手の甲にちゅ、とキスを落とす。その動作があまりに優しく、紳士的なせいで、彼女は拒むことを一瞬忘れた。
「あきが好きで、どうにかなっちゃいそう。責任とって?」
そのまま、反対の手で腰を引き寄せる。ふっと、耳元で吹きかけるように告げられた愛の言葉。
「っ、調子に乗るなぁ!」
あきは迅を思い切り突き飛ばす。そうして、振り返ることなく走り去った。
「いてて、やりすぎたかなぁ……」
迅は背中を見つめながら、一人呟く。自分の言動を思い返し、深く落ち込む。
(ああー……なんであそこまでしちゃうかな、嫌われたくないのに)
ふぃーと息を吐き出し、目をつぶる。
(けど、これであきが変な連中に絡まれる未来は消えたな)
任務完了、とばかりに彼もその場を後にしたのだった。