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年始は人が多いから外出は嫌だ。彼にそう押し切られて、部屋でのデートを余儀なくされた。それなのに、雅人はといえば私が部屋に来てからも、ずっと漫画を読んでだらけている。お前も勝手に読んでいいぞーなんて言うけど、そもそも一巻がどこにあるのかよく分からないものばかりで、手が出ない。雅人のことだ、そんな私の胸中に気がついているだろうに、ほったらかし。いくら心を許せる彼女の前だとはいえ、少しあんまりではないだろうか。
「雅人ー」
「あぁ? んだよ」
なにか、と聞かれると、特に用事があるわけでもないけれど。構ってほしいと口に出すのは負けのような気がして。じーっと、眉を寄せて睨み付ければ、ぶはっと笑われた。
「ぶっさいくな顔して、どした?」
「いえ、その漫画、そんなに面白いんですかね」
「ああ、わりと気に入ってるな」
おら、と一巻を手渡された。そうすると、雅人の顔は手元の漫画に戻ってしまう。仕方ないから、開いて読んでやることにした。確かに面白くて、私はもやもやを忘れて読み込んでしまった。まずい、奴のペースだ。二巻を催促を含みつつ、雅人の顔を見つめる。雅人も真剣に読んでいるようで、眉間にシワが寄ったり、うっすら口角をあげたりと、ページをめくる度に表情豊かである。その顔の変化に見とれていると、不意に雅人がこちらを向いた。バッチリと合う目線にドキリとする。
「なんだぁ? 俺の顔になんかついてるかよ」
「えっと、二巻貸して」
「どーすっかなあ」
にやにや笑う雅人は、意地悪そのものである。悔しくなって、横にあったクッションを投げた。雅人はボフッと簡単に手で受け止める。くつくつと笑うので、今度は悔しがる自分が恥ずかしくもなった。
「なによなによ、意地悪!」
「あー? 俺がいつ意地悪したよ」
「だって! さっきから私の気持ち分かるくせにはぐらかして!」
「そんなもん、口で言わなきゃ分かるわけねーだろ」
なあ? と雅人の金色の瞳が私をうかがい見る。嘘吐き、本当は分かるくせに。けれど、なんでも分かってくれるからと、口に出さずに済ましてきたのは、紛れもなく私の甘えで。雅人も、たまには言葉にして欲しいのかも、なんて思ったりもしたので。
「……もーちょっと、構ってよ。せっかく遊びに来たんだから」
目は合わせずにそう呟けば、勝手に膝の上に乗る頭。
「ちょっと、重い!」
「構って欲しいんだろ?」
「ーーっもう!」
私の膝を枕に寝転びながら、雅人はまた漫画を読む。上機嫌なようで、足首を回してリズムを刻んでいる。私も観念して、雅人のワシャワシャの髪に指を通して撫でた。穏やかな時間が、ゆっくりと過ぎていった。
「雅人ー」
「あぁ? んだよ」
なにか、と聞かれると、特に用事があるわけでもないけれど。構ってほしいと口に出すのは負けのような気がして。じーっと、眉を寄せて睨み付ければ、ぶはっと笑われた。
「ぶっさいくな顔して、どした?」
「いえ、その漫画、そんなに面白いんですかね」
「ああ、わりと気に入ってるな」
おら、と一巻を手渡された。そうすると、雅人の顔は手元の漫画に戻ってしまう。仕方ないから、開いて読んでやることにした。確かに面白くて、私はもやもやを忘れて読み込んでしまった。まずい、奴のペースだ。二巻を催促を含みつつ、雅人の顔を見つめる。雅人も真剣に読んでいるようで、眉間にシワが寄ったり、うっすら口角をあげたりと、ページをめくる度に表情豊かである。その顔の変化に見とれていると、不意に雅人がこちらを向いた。バッチリと合う目線にドキリとする。
「なんだぁ? 俺の顔になんかついてるかよ」
「えっと、二巻貸して」
「どーすっかなあ」
にやにや笑う雅人は、意地悪そのものである。悔しくなって、横にあったクッションを投げた。雅人はボフッと簡単に手で受け止める。くつくつと笑うので、今度は悔しがる自分が恥ずかしくもなった。
「なによなによ、意地悪!」
「あー? 俺がいつ意地悪したよ」
「だって! さっきから私の気持ち分かるくせにはぐらかして!」
「そんなもん、口で言わなきゃ分かるわけねーだろ」
なあ? と雅人の金色の瞳が私をうかがい見る。嘘吐き、本当は分かるくせに。けれど、なんでも分かってくれるからと、口に出さずに済ましてきたのは、紛れもなく私の甘えで。雅人も、たまには言葉にして欲しいのかも、なんて思ったりもしたので。
「……もーちょっと、構ってよ。せっかく遊びに来たんだから」
目は合わせずにそう呟けば、勝手に膝の上に乗る頭。
「ちょっと、重い!」
「構って欲しいんだろ?」
「ーーっもう!」
私の膝を枕に寝転びながら、雅人はまた漫画を読む。上機嫌なようで、足首を回してリズムを刻んでいる。私も観念して、雅人のワシャワシャの髪に指を通して撫でた。穏やかな時間が、ゆっくりと過ぎていった。