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夢を見ていた。その自覚があった。昨夜の寝付きはまずまずで、特に不安とかイライラとかのストレスも感じずに眠った。目の前にはいつも見慣れているバムスター。けど、俺の手に銃はない。どうせ夢だからと、俺はバムスターが通りすぎるのを眺めていた。こいつ、俺を無視してどこへ行くんだろう。進行方向を見ると、見覚えのある顔の女が、白いワンピースを着て立っていた。
「…………は」
その顔は間違いなく彼女だった。けれど、顔は酷く青ざめていて、この世のものとは思えなくて。ふらり、とバムスターに向かい合うと、そのまま近づいていく。両手を広げながら。一歩、また一歩。バムスターは大口を開いた。
「待て、やめろ……!」
俺の声は驚くほどに掠れていた。夢、これは夢だ。だから、慌てることはない。目覚めの悪い悪夢だが、起きればまた普段通りの日常のはず。だから。早く夢なら覚めろよ。
「犬飼くん、」
名前を呼ばれるのと同時に、バムスターが彼女を踏みつけた。そうして、大口の中へ飲み込もうとする。まだ目は覚めない。
「助けて」
「あきっ!!」
気づけば大声で名前を呼んで、手を伸ばしていた。瞬間、耳に飛び込んできたのはけたたましい目覚ましの音。
「夢…………」
夢だと分かりきっていたはずなのに、俺の身体は汗ばんでいて、現実に戻った安堵で脱力していた。額に手をやり、呼吸を落ち着かせる。よかった、夢で。そう心で唱えると、不思議なことに本当に夢だったのか、と不安が押し寄せてきた。その不安は真っ黒に俺の心を塗り潰し、あきの安全が心配で堪らなくさせた。
『助けて』
そう夢の中で言った、彼女の顔は笑っていて。思い出すと背筋が凍るようで。俺は飛び起きると、急いで学校へ行く支度を済ませた。
「澄晴、あんた朝ごはんは?」
「いらない」
別に遅刻するような時刻でもない。けれど、俺は学校へ向かって全速力で走り出した。会いたい。顔が見たい。早く安心したくて、ローファーを飛ばしそうになりながら走った。普段、生身で走ることなんかないから、脇腹は痛いし、冷たい空気が肺を刺すようで痛い。それでも、俺は足を止めることはしなかった。ようやっと校門が見える。先生の注意も振りきって、教室に駆け込んだ。クラスメイトは、驚いた様子で俺を見つめる。その中にあきを見つけて、俺はその場にしゃがみこんだ。
「なんだ、無事じゃん」
「朝からどうしたの、澄晴くん」
あきの差し出す手を握り、立ち上がる。顔を見れば夢で見た白い顔ではなく、ちゃんと血が通っていた。それに自然と笑みが溢れた。
「ふふ、あははは」
「??」
「生きてるじゃん、あき」
「当たり前でしょ。変な澄晴くん」
困った顔で君も笑う。当たり前に君がここにいることが、大事なんだと知った朝だった。
「…………は」
その顔は間違いなく彼女だった。けれど、顔は酷く青ざめていて、この世のものとは思えなくて。ふらり、とバムスターに向かい合うと、そのまま近づいていく。両手を広げながら。一歩、また一歩。バムスターは大口を開いた。
「待て、やめろ……!」
俺の声は驚くほどに掠れていた。夢、これは夢だ。だから、慌てることはない。目覚めの悪い悪夢だが、起きればまた普段通りの日常のはず。だから。早く夢なら覚めろよ。
「犬飼くん、」
名前を呼ばれるのと同時に、バムスターが彼女を踏みつけた。そうして、大口の中へ飲み込もうとする。まだ目は覚めない。
「助けて」
「あきっ!!」
気づけば大声で名前を呼んで、手を伸ばしていた。瞬間、耳に飛び込んできたのはけたたましい目覚ましの音。
「夢…………」
夢だと分かりきっていたはずなのに、俺の身体は汗ばんでいて、現実に戻った安堵で脱力していた。額に手をやり、呼吸を落ち着かせる。よかった、夢で。そう心で唱えると、不思議なことに本当に夢だったのか、と不安が押し寄せてきた。その不安は真っ黒に俺の心を塗り潰し、あきの安全が心配で堪らなくさせた。
『助けて』
そう夢の中で言った、彼女の顔は笑っていて。思い出すと背筋が凍るようで。俺は飛び起きると、急いで学校へ行く支度を済ませた。
「澄晴、あんた朝ごはんは?」
「いらない」
別に遅刻するような時刻でもない。けれど、俺は学校へ向かって全速力で走り出した。会いたい。顔が見たい。早く安心したくて、ローファーを飛ばしそうになりながら走った。普段、生身で走ることなんかないから、脇腹は痛いし、冷たい空気が肺を刺すようで痛い。それでも、俺は足を止めることはしなかった。ようやっと校門が見える。先生の注意も振りきって、教室に駆け込んだ。クラスメイトは、驚いた様子で俺を見つめる。その中にあきを見つけて、俺はその場にしゃがみこんだ。
「なんだ、無事じゃん」
「朝からどうしたの、澄晴くん」
あきの差し出す手を握り、立ち上がる。顔を見れば夢で見た白い顔ではなく、ちゃんと血が通っていた。それに自然と笑みが溢れた。
「ふふ、あははは」
「??」
「生きてるじゃん、あき」
「当たり前でしょ。変な澄晴くん」
困った顔で君も笑う。当たり前に君がここにいることが、大事なんだと知った朝だった。