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星や月というのは、夜になればどこででも現れるものだと思っていた。近界という異世界に初めて遠征に来て、いつも通りの調子でトリガーオンをした。そうして、遠征艇を出て空を見上げて私は絶句したのだ。月がない。星もない。何も映さぬ、真っ暗な闇が広がる空が、こんなにもぞっとするとは思わなかった。じゃり、と地面を靴が擦る音が聞こえる。無意識のうちに、後ずさりをしていた。
「真っ暗で明かりがないっぽいねー。今、視覚支援するから待ってねー」
柚宇ちゃんの声ではっと我に帰る。ぼうっと暗闇の中に輪郭が浮かび上がる。そうして、左前に慶が立っていることに今更気がついた。
「どうした? びびってんのか」
月のように光る瞳が、私を嘲笑う。ムッとしたので、弧月を引き抜き大股で横を通り過ぎた。
「別に。暗いからちょっと驚いただけ、」
そう、言い切ろうとすれば、どこからともなくサイレンが鳴り響く。ビクッと肩を揺らせば、背後の男はくつくつ笑う。
「無理すんなって。遠征は初めてだろ?」
「…………初めて」
近界民が近付いてくる気配がする。身体がすくむ。震えながら弧月を握り締めれば、ぽん、と肩を叩かれた。
「ま、その不安は俺がたいらげる。から、お前はいつも通りにやれ」
駆け出した慶の背中は、闇の中でもたくましく思えた。少し、悔しい。そうだ、私はここに何をしに来たんだ。ボーダーの進歩のため、近界民を排除するために来たんだ。暗闇から足を動かせば、もう怖くなんてなくなっていた。
「俺も援護するんで。程々に暴れてくださいよー」
出水君の声を聞きながら、私は近界民をバラすために駆け出していた。
「真っ暗で明かりがないっぽいねー。今、視覚支援するから待ってねー」
柚宇ちゃんの声ではっと我に帰る。ぼうっと暗闇の中に輪郭が浮かび上がる。そうして、左前に慶が立っていることに今更気がついた。
「どうした? びびってんのか」
月のように光る瞳が、私を嘲笑う。ムッとしたので、弧月を引き抜き大股で横を通り過ぎた。
「別に。暗いからちょっと驚いただけ、」
そう、言い切ろうとすれば、どこからともなくサイレンが鳴り響く。ビクッと肩を揺らせば、背後の男はくつくつ笑う。
「無理すんなって。遠征は初めてだろ?」
「…………初めて」
近界民が近付いてくる気配がする。身体がすくむ。震えながら弧月を握り締めれば、ぽん、と肩を叩かれた。
「ま、その不安は俺がたいらげる。から、お前はいつも通りにやれ」
駆け出した慶の背中は、闇の中でもたくましく思えた。少し、悔しい。そうだ、私はここに何をしに来たんだ。ボーダーの進歩のため、近界民を排除するために来たんだ。暗闇から足を動かせば、もう怖くなんてなくなっていた。
「俺も援護するんで。程々に暴れてくださいよー」
出水君の声を聞きながら、私は近界民をバラすために駆け出していた。