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「みかん剥いて」
ため息がちに呟かれたのは、そんな要望だった。私の部屋に押し掛けてきてから、なにも言わない彼に、とりあえず好物を差し出したところこれだ。ころんと転がった楕円の物体に、しぶしぶ手を伸ばす。
「待って。手は洗って」
「注文多いな!? 潔癖症だっけ」
「若干」
いや絶対嘘だろ、と思いつつ、ウェットティッシュで手を拭いた。出水の目の前に、綺麗なのを確かめさせるため、手を突き出す。ん、と小さく彼は鳴いた。そこから、みかんの皮を剥いていく。ヘタの部分に親指を突き立て、皮を引っ張るとちぎれた。
「ヘタクソ」
「うるさいな」
淡々とみかんを剥いていき、終わりに近づいてきたところで。
「白いのも取って」
「マジかお前」
抗議しようとするも、本人が机に突っ伏しているためにはばかられた。小さくため息を吐き、丁寧に白いスジも取っていった。
「はい、完成しましたよ出水くん!」
「…………そこで終わりぃ?」
「!? そこで、とは……」
「もっとさあ、彼女ならさあ、なんかさあ」
「どうした出水くん、さては疲れてるな?」
ピク、と肩を揺らした出水は、恨めしそうに私の顔を見た。そうして盛大にため息を吐くと、その場にひっくり返ってジタバタしだした。
「そーですけどぉ? 疲れて彼女の家に来てはいけませんかぁ!」
「いや、別に構わないけど」
「疲れた疲れた疲れた疲れたあーもうつかれた!」
大の字になって動かなくなった出水は、もう一度私の方を見、そっぽを向いた。頬を指でつついてやれば、ほんのりと染まる耳。
「…………ちょーっと甘えてみたくなったんだよ」
ボソッと呟く彼に笑わずにはいられなかった。こんなに遠回しな甘えかたがあるだろうか。
「出水、」
「なんだよ」
「かーわいい」
「うっせ」
その可愛さに免じて、今日はお望み通りに甘やかしてやろう。私はみかんの房を手に取った。
「ほら出水、あーん」
「…………」
黙って口を開く出水の頬は真っ赤で、リンゴのようだった。
ため息がちに呟かれたのは、そんな要望だった。私の部屋に押し掛けてきてから、なにも言わない彼に、とりあえず好物を差し出したところこれだ。ころんと転がった楕円の物体に、しぶしぶ手を伸ばす。
「待って。手は洗って」
「注文多いな!? 潔癖症だっけ」
「若干」
いや絶対嘘だろ、と思いつつ、ウェットティッシュで手を拭いた。出水の目の前に、綺麗なのを確かめさせるため、手を突き出す。ん、と小さく彼は鳴いた。そこから、みかんの皮を剥いていく。ヘタの部分に親指を突き立て、皮を引っ張るとちぎれた。
「ヘタクソ」
「うるさいな」
淡々とみかんを剥いていき、終わりに近づいてきたところで。
「白いのも取って」
「マジかお前」
抗議しようとするも、本人が机に突っ伏しているためにはばかられた。小さくため息を吐き、丁寧に白いスジも取っていった。
「はい、完成しましたよ出水くん!」
「…………そこで終わりぃ?」
「!? そこで、とは……」
「もっとさあ、彼女ならさあ、なんかさあ」
「どうした出水くん、さては疲れてるな?」
ピク、と肩を揺らした出水は、恨めしそうに私の顔を見た。そうして盛大にため息を吐くと、その場にひっくり返ってジタバタしだした。
「そーですけどぉ? 疲れて彼女の家に来てはいけませんかぁ!」
「いや、別に構わないけど」
「疲れた疲れた疲れた疲れたあーもうつかれた!」
大の字になって動かなくなった出水は、もう一度私の方を見、そっぽを向いた。頬を指でつついてやれば、ほんのりと染まる耳。
「…………ちょーっと甘えてみたくなったんだよ」
ボソッと呟く彼に笑わずにはいられなかった。こんなに遠回しな甘えかたがあるだろうか。
「出水、」
「なんだよ」
「かーわいい」
「うっせ」
その可愛さに免じて、今日はお望み通りに甘やかしてやろう。私はみかんの房を手に取った。
「ほら出水、あーん」
「…………」
黙って口を開く出水の頬は真っ赤で、リンゴのようだった。
