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「本日、残業確定でーす」
オペのオサノちゃんの声が、吹雪に紛れて聞こえる。本日、諏訪隊と組んでの防衛任務は、大雪に見舞われての過酷なものであった。いや、一応訓練は積んできているものの、やはり積雪の足場の悪い中、吹雪で視界も悪いのは、だいぶ堪える。
「うっそだろ! なんで残業だ!」
「交代の風間隊がまだ到着出来ないんだってー」
「風間の野郎……!!」
諏訪さんがぐちぐちと文句を言っているが、決まってしまったものは仕方がない。私は日佐人君を気遣いながら、白い雪面の中に足を踏み入れた。
「うおわっと!」
足を取られて思い切り転んでしまった。女子らしからぬ声と共に。トリオン体とはいえ、首筋に雪が入ると冷たくて、背筋が張り詰める。
「おいおい、大丈夫かよ」
「大丈夫ですか?」
諏訪さんと日佐人君、両方から手が差し伸べられる。あれ、なんだかこれって究極の選択のよう。まじまじと見つめていたら、照れ臭くなったのか、諏訪さんが
「おら、早く手ぇ取れよ」
と急かしてきた。なんとなく反射で日佐人君の手を取ってしまった。日佐人君は私をしっかりと引き起こしてくれた。
「ありがとう、日佐人君」
「あっ、いえ……」
日佐人君はなんともいえないポーズで固まった諏訪さんを見て、反応に困っているようだ。私は恥ずかしいので、さっさと先に進む。後ろで堤さんが、諏訪さんに何か話しかけたのが聞こえた。と、同時に鳴り響くゲート発生の警鐘。一気に場の空気は引き締まる。ゲートから現れたのは、黒いモールモッドが4体。なかなかの大漁だ。ゲートの一番近くにいた私は真っ先に狙われた。すぐさま、真正面の1体に発砲したが、横に回った別の1体のブレードが迫る。あ、こりゃ死んだな。そう思ったのだが。
キィィィン
ブレードをシールドが防ぐ音。諏訪さんだった。
「離れんじゃねえ! 集中砲火で確実に仕留めんぞ!」
急に隊長らしいことを言う諏訪さんを、ちょっぴりカッコいいと思った。すぐに陣形を整え、迎え撃つ。足場が悪くて、動きが鈍くなるので、基本的に動かずに向かってくる敵を撃つ。日佐人君が私達の方へ、敵を誘導してくれたおかげで、案外手早く排除することが出来た。ほっと胸を撫で下ろす。
「おっし。任務完了だな」
「お疲れー。丁度風間さん達到着したって」
あとは回収班に任せ、撤収の準備をする。体に積もった雪を払いながら、本部へ帰る。諏訪さんの背中を見つめ、少し体温が上がる。思い返すと、随分とカッコよく助けられてしまった。
「諏訪さん」
「んー?」
「助けてくれてありがとう。その……カッコよかったです」
そう伝えると、ふうーっと大きく息を吐き出した。
「別に? 隊長としての仕事をしたまでだぜ?」
「でも、離れて歩いたのは私のミスだし……」
「あーあー、気にすんな。そんなこともある……この話、終わりな!」
諏訪さんが耳まで赤いのは、寒さからかそれとも。諏訪さん煙草の煙が、どんより重い雪空に吸われていった。
オペのオサノちゃんの声が、吹雪に紛れて聞こえる。本日、諏訪隊と組んでの防衛任務は、大雪に見舞われての過酷なものであった。いや、一応訓練は積んできているものの、やはり積雪の足場の悪い中、吹雪で視界も悪いのは、だいぶ堪える。
「うっそだろ! なんで残業だ!」
「交代の風間隊がまだ到着出来ないんだってー」
「風間の野郎……!!」
諏訪さんがぐちぐちと文句を言っているが、決まってしまったものは仕方がない。私は日佐人君を気遣いながら、白い雪面の中に足を踏み入れた。
「うおわっと!」
足を取られて思い切り転んでしまった。女子らしからぬ声と共に。トリオン体とはいえ、首筋に雪が入ると冷たくて、背筋が張り詰める。
「おいおい、大丈夫かよ」
「大丈夫ですか?」
諏訪さんと日佐人君、両方から手が差し伸べられる。あれ、なんだかこれって究極の選択のよう。まじまじと見つめていたら、照れ臭くなったのか、諏訪さんが
「おら、早く手ぇ取れよ」
と急かしてきた。なんとなく反射で日佐人君の手を取ってしまった。日佐人君は私をしっかりと引き起こしてくれた。
「ありがとう、日佐人君」
「あっ、いえ……」
日佐人君はなんともいえないポーズで固まった諏訪さんを見て、反応に困っているようだ。私は恥ずかしいので、さっさと先に進む。後ろで堤さんが、諏訪さんに何か話しかけたのが聞こえた。と、同時に鳴り響くゲート発生の警鐘。一気に場の空気は引き締まる。ゲートから現れたのは、黒いモールモッドが4体。なかなかの大漁だ。ゲートの一番近くにいた私は真っ先に狙われた。すぐさま、真正面の1体に発砲したが、横に回った別の1体のブレードが迫る。あ、こりゃ死んだな。そう思ったのだが。
キィィィン
ブレードをシールドが防ぐ音。諏訪さんだった。
「離れんじゃねえ! 集中砲火で確実に仕留めんぞ!」
急に隊長らしいことを言う諏訪さんを、ちょっぴりカッコいいと思った。すぐに陣形を整え、迎え撃つ。足場が悪くて、動きが鈍くなるので、基本的に動かずに向かってくる敵を撃つ。日佐人君が私達の方へ、敵を誘導してくれたおかげで、案外手早く排除することが出来た。ほっと胸を撫で下ろす。
「おっし。任務完了だな」
「お疲れー。丁度風間さん達到着したって」
あとは回収班に任せ、撤収の準備をする。体に積もった雪を払いながら、本部へ帰る。諏訪さんの背中を見つめ、少し体温が上がる。思い返すと、随分とカッコよく助けられてしまった。
「諏訪さん」
「んー?」
「助けてくれてありがとう。その……カッコよかったです」
そう伝えると、ふうーっと大きく息を吐き出した。
「別に? 隊長としての仕事をしたまでだぜ?」
「でも、離れて歩いたのは私のミスだし……」
「あーあー、気にすんな。そんなこともある……この話、終わりな!」
諏訪さんが耳まで赤いのは、寒さからかそれとも。諏訪さん煙草の煙が、どんより重い雪空に吸われていった。