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既成事実、という言葉は僕はあまり好きではないんだけれども、場合によっては必要な場面もあると思う。例えば、どうしても彼女が振り向いてくれない時。どうしたって、どうやったって、あの男に正攻法では勝てない時。慎重さも、良心も、なにもかもを殴り捨てて、それでもあの子が欲しい時。
「王子、離してっ……!」
「君の答えを聞くまで離さない」
放課後の教室、西日を背に彼女を廊下側の窓際に追い詰める。追い詰められた僕の顔は、逆光で彼女には見えないだろうか。それがまた、彼女を不安にさせているだろうな。
「だから、好きな人なんていないって……」
「嘘はよくないな。それなら、僕の気持ちに応えてくれてもいいはずだろう」
「だから、王子のこともそういう意味で好きじゃないから、付き合えないってば」
涙目になる君を、嗚呼可哀想にと見下ろす。頑なに、強情に、僕を傷つけまいとする弱さに、僕の胸は痛む。いっそのこと、砕き切ってしまった方が楽だというのに。
「さあ、答えて。君は誰が好きなの?」
「…………私が、好きなのは、」
言いかけた唇を、僕のそれで塞いだ。その瞬間を、覗いている男に見せつけるように。男がパタパタと走っていくのを遠耳に、名残惜しくも唇を離す。
「な、なにすんの……!!」
「いやあ、奪っちゃった」
君の好きな人も。それとも、奪われたのは僕の心だろうか。どちらにせよ、もう戻れない。
「大人しく僕に奪われてよ」
軋む胸から吐き出した言葉は、君に一筋の涙をもたらした。
「王子、離してっ……!」
「君の答えを聞くまで離さない」
放課後の教室、西日を背に彼女を廊下側の窓際に追い詰める。追い詰められた僕の顔は、逆光で彼女には見えないだろうか。それがまた、彼女を不安にさせているだろうな。
「だから、好きな人なんていないって……」
「嘘はよくないな。それなら、僕の気持ちに応えてくれてもいいはずだろう」
「だから、王子のこともそういう意味で好きじゃないから、付き合えないってば」
涙目になる君を、嗚呼可哀想にと見下ろす。頑なに、強情に、僕を傷つけまいとする弱さに、僕の胸は痛む。いっそのこと、砕き切ってしまった方が楽だというのに。
「さあ、答えて。君は誰が好きなの?」
「…………私が、好きなのは、」
言いかけた唇を、僕のそれで塞いだ。その瞬間を、覗いている男に見せつけるように。男がパタパタと走っていくのを遠耳に、名残惜しくも唇を離す。
「な、なにすんの……!!」
「いやあ、奪っちゃった」
君の好きな人も。それとも、奪われたのは僕の心だろうか。どちらにせよ、もう戻れない。
「大人しく僕に奪われてよ」
軋む胸から吐き出した言葉は、君に一筋の涙をもたらした。