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「おおきくなったら、こうくんとけっこんするー!」
「うん、あきちゃんとけっこんする」
幼い頃の美しい思い出。当時は意味なんて分かってなくて、ただ大好きだから交わした約束。まあ、私の初恋も、今好きな人も、あの頃と変わらずに鋼なのだが。自分でも呆れるくらい一途だと思う。けど、そうとはバレないように、幼馴染という関係を壊さぬように、今日まで振舞ってきた。
今だって、さも偶然見つけたように、廊下で鋼に声をかけた。本当は、会えないかな、と狙いすまして廊下をうろついていた癖に。
「あき、髪切ったか?」
「あ、うん。一昨日切りに行ったよ」
ちょっとした変化に気づいてもらえただけで、心は浮つく。本当、単純だな。
「最近どう? ボーダーとか順調?」
「うん。ランク戦始まるからまた忙しくなるよ」
鋼は微笑みを浮かべながら、私の知らないことを話す。大きくなるにつれて、お互い知らないことが増えていった。その度に、もう子供の頃の様な距離には戻れないと卑屈になる。
「……あき? どうかしたか?」
「!! いや、なんでもないよ」
鋼は心配そうな顔をしている。慌てて取り繕うが、鋼の表情は変わらない。あれ、うまく笑えてないのかな。
「……俺、来月で18になる」
「?? うん、知ってるよ」
忘れるわけない、大好きな人の生まれた日。今からなにをしてあげようか悩みに悩んでいる。
「あきは、小さい頃した約束、覚えてる?」
「えっ」
約束、っていったら、思い当たるのは一つしかない。けれど、何故今その話をされるのだろうか。
「覚えてる、よ」
「よかった」
よかった? よかったって? 諦めていた恋心が、小さな期待を膨らませる。心臓がドキドキと早くなる。
「俺は、約束を守りたいと思ってるんだけど、」
横を見れば、鋼と目が合う。赤みの差した、彼の頬。
「あき、俺と結婚してくれる?」
時間が止まったかと思った。もう一度、その言葉が聞けるなんて。
「ずっと、あきのこと守るよ。だから、悲しそうな顔しないでくれ」
鋼の手が伸びてきて、私の頭を撫でる。胸から熱いものがこみ上げてきて、一粒、また一粒、涙になる。
「!! 泣くほど嫌か?」
「違う、違うの、嬉しくて」
それ以上は言葉にならなかった。ほっとした顔を見せると、鋼は私を抱きしめ、ゆっくり背中を撫ぜた。距離を感じていたのは、臆病な私だけだったんだね。今は、こんなにも近い。
「うん、あきちゃんとけっこんする」
幼い頃の美しい思い出。当時は意味なんて分かってなくて、ただ大好きだから交わした約束。まあ、私の初恋も、今好きな人も、あの頃と変わらずに鋼なのだが。自分でも呆れるくらい一途だと思う。けど、そうとはバレないように、幼馴染という関係を壊さぬように、今日まで振舞ってきた。
今だって、さも偶然見つけたように、廊下で鋼に声をかけた。本当は、会えないかな、と狙いすまして廊下をうろついていた癖に。
「あき、髪切ったか?」
「あ、うん。一昨日切りに行ったよ」
ちょっとした変化に気づいてもらえただけで、心は浮つく。本当、単純だな。
「最近どう? ボーダーとか順調?」
「うん。ランク戦始まるからまた忙しくなるよ」
鋼は微笑みを浮かべながら、私の知らないことを話す。大きくなるにつれて、お互い知らないことが増えていった。その度に、もう子供の頃の様な距離には戻れないと卑屈になる。
「……あき? どうかしたか?」
「!! いや、なんでもないよ」
鋼は心配そうな顔をしている。慌てて取り繕うが、鋼の表情は変わらない。あれ、うまく笑えてないのかな。
「……俺、来月で18になる」
「?? うん、知ってるよ」
忘れるわけない、大好きな人の生まれた日。今からなにをしてあげようか悩みに悩んでいる。
「あきは、小さい頃した約束、覚えてる?」
「えっ」
約束、っていったら、思い当たるのは一つしかない。けれど、何故今その話をされるのだろうか。
「覚えてる、よ」
「よかった」
よかった? よかったって? 諦めていた恋心が、小さな期待を膨らませる。心臓がドキドキと早くなる。
「俺は、約束を守りたいと思ってるんだけど、」
横を見れば、鋼と目が合う。赤みの差した、彼の頬。
「あき、俺と結婚してくれる?」
時間が止まったかと思った。もう一度、その言葉が聞けるなんて。
「ずっと、あきのこと守るよ。だから、悲しそうな顔しないでくれ」
鋼の手が伸びてきて、私の頭を撫でる。胸から熱いものがこみ上げてきて、一粒、また一粒、涙になる。
「!! 泣くほど嫌か?」
「違う、違うの、嬉しくて」
それ以上は言葉にならなかった。ほっとした顔を見せると、鋼は私を抱きしめ、ゆっくり背中を撫ぜた。距離を感じていたのは、臆病な私だけだったんだね。今は、こんなにも近い。