プロトタイプ/試金石
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「琴羽さんのプレイリスト、全部見たい」
乙夜くんは少し頬を膨らまして、不機嫌をアピールしていた。私の散らかったソファーの上、着替えが畳んであるのをはじに寄せて。ネットの扱いには気をつけてたつもりだけど、あっさりとバレた正体のまま、今もこうして乙夜影汰が生活に滑り込んだことを許している。怒りも湧かなかった。喜びにも近かった。乙夜が側にいることは、嫌いじゃない。今はまだ、嫌いじゃないとしか言えないんだけどね。
「先々の楽しみ、なくなるよ?」
「なくなるわけねーじゃん、俺があんたから貰った曲、どれだけ大事にしてると思ってんの?」
誤魔化すように目線を外した。所詮、あの日壊れた鍵盤にもう一度触れるのに怯えて、好きな曲だけ集めたプレイリストを、こっそり世界の隅っこに垂れ流しているに過ぎない。自分で曲を作ることには興味がない。誰かが作った曲を、誰か以上の完成度で演奏することにしか、興味が。そんなことをしてる暇もないしね。そ、私は忙しい。目線を乙夜くんに戻すと、柔くため息を吐いて、見逃しちゃいそうな微笑みを見せて。
「わーってます、分かってますって。ネタバレが終わっちまったら、俺といる意味がなくなんでしょ?そんくらい、分かってる」
乙夜くんがまっすぐ私を見るのに、顔を背けてしまう私。それすらも許してくれる。それだから、余所見したって私に叱れるわけもない。本気で弄ばれている。本気の熱が高いから、弄びは擦り切れて。なんだって、こういう馬鹿正直な愛を実践してる男ばかりなんだ、私の周りは。私が呼んでいるの?まさかね。
「……楽しみは、遠い未来まで欲しいでしょ?」
「おっなになに。俺と添い遂げちゃう覚悟決まった?」
「乙夜にはないでしょ。だから、私にもないよ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ案外近い未来だったり?」
乙夜はソファから立ち上がって、スーツ姿の私の、右肩にそっと触れて払った。その仕草に、少し寂しくなった。
「ごめ、俺もほんとは本気になっちゃうの怖い」
ようやっと、乙夜の瞳を覗き込んだ。緑のメッシュからチラつくその瞳は揺れていて、でも、私なんかいなくても勝手に立ち去るのは知っていた。乙夜の頬に触れれば、重ねて擦り寄って。
「俺がマジになった瞬間に、恋が終わるのが怖い」
「今までマジになった人、いないの?」
「いねぇよ付き合うとかマジでめんどくせー」
乙夜は髪をかきあげて、瞬きを一つした瞬間には、安くて極上の微笑みを讃えて戻ってきて。
「んなわけで。琴羽さんをそんな勝手で誠意の足りない理由で振りたくないんです!」
「振ること前提なのね」
「そ。だからさ、」
乙夜が声のトーンを落とした。誰が何回、この子に騙されたんだろうね。そのいくつが、後悔となったんだろう。
「なーんも気にせず、俺で遊んでちょうだいな♡」
悪魔にしては甘過ぎて、ペットにしては賢すぎる。堕ちていく、怖いと叫ぶことすら忘れて。空に放ったのにって、あんたは言い訳するだろうね。
乙夜くんは少し頬を膨らまして、不機嫌をアピールしていた。私の散らかったソファーの上、着替えが畳んであるのをはじに寄せて。ネットの扱いには気をつけてたつもりだけど、あっさりとバレた正体のまま、今もこうして乙夜影汰が生活に滑り込んだことを許している。怒りも湧かなかった。喜びにも近かった。乙夜が側にいることは、嫌いじゃない。今はまだ、嫌いじゃないとしか言えないんだけどね。
「先々の楽しみ、なくなるよ?」
「なくなるわけねーじゃん、俺があんたから貰った曲、どれだけ大事にしてると思ってんの?」
誤魔化すように目線を外した。所詮、あの日壊れた鍵盤にもう一度触れるのに怯えて、好きな曲だけ集めたプレイリストを、こっそり世界の隅っこに垂れ流しているに過ぎない。自分で曲を作ることには興味がない。誰かが作った曲を、誰か以上の完成度で演奏することにしか、興味が。そんなことをしてる暇もないしね。そ、私は忙しい。目線を乙夜くんに戻すと、柔くため息を吐いて、見逃しちゃいそうな微笑みを見せて。
「わーってます、分かってますって。ネタバレが終わっちまったら、俺といる意味がなくなんでしょ?そんくらい、分かってる」
乙夜くんがまっすぐ私を見るのに、顔を背けてしまう私。それすらも許してくれる。それだから、余所見したって私に叱れるわけもない。本気で弄ばれている。本気の熱が高いから、弄びは擦り切れて。なんだって、こういう馬鹿正直な愛を実践してる男ばかりなんだ、私の周りは。私が呼んでいるの?まさかね。
「……楽しみは、遠い未来まで欲しいでしょ?」
「おっなになに。俺と添い遂げちゃう覚悟決まった?」
「乙夜にはないでしょ。だから、私にもないよ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ案外近い未来だったり?」
乙夜はソファから立ち上がって、スーツ姿の私の、右肩にそっと触れて払った。その仕草に、少し寂しくなった。
「ごめ、俺もほんとは本気になっちゃうの怖い」
ようやっと、乙夜の瞳を覗き込んだ。緑のメッシュからチラつくその瞳は揺れていて、でも、私なんかいなくても勝手に立ち去るのは知っていた。乙夜の頬に触れれば、重ねて擦り寄って。
「俺がマジになった瞬間に、恋が終わるのが怖い」
「今までマジになった人、いないの?」
「いねぇよ付き合うとかマジでめんどくせー」
乙夜は髪をかきあげて、瞬きを一つした瞬間には、安くて極上の微笑みを讃えて戻ってきて。
「んなわけで。琴羽さんをそんな勝手で誠意の足りない理由で振りたくないんです!」
「振ること前提なのね」
「そ。だからさ、」
乙夜が声のトーンを落とした。誰が何回、この子に騙されたんだろうね。そのいくつが、後悔となったんだろう。
「なーんも気にせず、俺で遊んでちょうだいな♡」
悪魔にしては甘過ぎて、ペットにしては賢すぎる。堕ちていく、怖いと叫ぶことすら忘れて。空に放ったのにって、あんたは言い訳するだろうね。
