ネオプロトタイプ/実験場
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俺がゴールを決めたあとは、不思議と歓声が遠のいて無音の中にいる。ぼんやり立ち尽くして、ボールがネットを揺らした後に、ころころと白線に近づくのを見てる。
「乙夜ー!!」
チームメイトが名前を呼びながら俺に飛びついて、肩を叩く奴、ハイタッチを求める奴。それらをデータとして収集していく。ふーん、こいつはこういう感情表現なんだとか、あいつは自分がゴールしないと気が済まないんだなとか。あんまりにもゴール後に静かなせいなのか、俺には「忍者」とかいうあだ名がついた。まぁもともと忍者の末裔ですけど?俺は茶化して笑う。そのうち、気持ちのいいプレイの仕方も「抜き足差し足忍び足」といったところで、プレイヤーの影を縫って走るスタイルになった。まぁ忍者ですし?やっぱり俺は、空気に合わせて笑う。
あまり笑わない人を好きになった。かもしれない。琴羽さんはなにを見つめているのか分からない人で、たまにしか会えなくて、俺の四つ上。四つ上くらいの女なんて別に何食わぬ顔で食ってきたけど、この人はなんか違う気がする。シュートしても外しそう。なんかそれがみっともなく思えて、俺は口説きもしない。琴羽さんは、ただ俺が家を訪ねればなにも聞かずに泊めてくれた。爆発音が遠く聞こえる中、琴羽さんは静かにコーヒーを飲んで、新聞を読んでいた。その姿がどこにでも溶けているようで、なにからも侵されずに拒んでいるようで、そのひっかかりが、恋なんじゃないかとちょっと考えるのだ。
琴羽さんが好きな人は、多分俺に夢中なあの子。なのかもしれない。美唯はなにも気づかないようで、今日も俺にラブコールを送る。適当にいなして、たまにちょっとデレてやって。俺のひと言でくるくる表情が変わるのが可愛い。でも俺はまだ恋していたいから。恋を探していたいから、やっぱり彼女にシュートは撃たない。最低保証の大本命。美唯はそんなことをよく言う。だから、美唯から見捨てられたら、俺は男として終わってんだなと思う。美唯はよく笑う。琴羽さんは、笑う人が好きなのかもしれない。
もともと、知り合いだったのは琴羽さんと美唯の方で。琴羽さんにたどり着いたのはたまたま。琴羽さんに会いに行くたび、美唯がちょっと拗ねてるのを知ってる。下手すりゃ泣いてる。だけど、琴羽さんを落とさなきゃ、美唯を琴羽さんに獲られるんでしょ。考えすぎですか?でもさ、それはなんか嫌なんだよ。ああ、なにが恋なのか分かんなくなる。俺が恋してるのって琴羽さん?美唯?どっちなわけよ。ゴールした後の静寂を思い出す。ゴールしたって試合はロスタイムまで続くってのに、俺は立ちすくむ。ゴールしてなんぼの男女の世界で、俺はようやくキーパーを見つけた。見つけた途端、蹴る気がなくなった。忍者でいたくなくなった。琴羽さんにも、美唯にも。それなのに、あぁくそ。俺は波に漂うクラゲのように、流れに身を任せていたい。チルな音楽に、読めないムーヴ。安心してる、してていいのか?結局は波に飲まれるけど、俺だってちゃんと考えてんよ?だから、見捨てないでくれよな。
「乙夜ー!!」
チームメイトが名前を呼びながら俺に飛びついて、肩を叩く奴、ハイタッチを求める奴。それらをデータとして収集していく。ふーん、こいつはこういう感情表現なんだとか、あいつは自分がゴールしないと気が済まないんだなとか。あんまりにもゴール後に静かなせいなのか、俺には「忍者」とかいうあだ名がついた。まぁもともと忍者の末裔ですけど?俺は茶化して笑う。そのうち、気持ちのいいプレイの仕方も「抜き足差し足忍び足」といったところで、プレイヤーの影を縫って走るスタイルになった。まぁ忍者ですし?やっぱり俺は、空気に合わせて笑う。
あまり笑わない人を好きになった。かもしれない。琴羽さんはなにを見つめているのか分からない人で、たまにしか会えなくて、俺の四つ上。四つ上くらいの女なんて別に何食わぬ顔で食ってきたけど、この人はなんか違う気がする。シュートしても外しそう。なんかそれがみっともなく思えて、俺は口説きもしない。琴羽さんは、ただ俺が家を訪ねればなにも聞かずに泊めてくれた。爆発音が遠く聞こえる中、琴羽さんは静かにコーヒーを飲んで、新聞を読んでいた。その姿がどこにでも溶けているようで、なにからも侵されずに拒んでいるようで、そのひっかかりが、恋なんじゃないかとちょっと考えるのだ。
琴羽さんが好きな人は、多分俺に夢中なあの子。なのかもしれない。美唯はなにも気づかないようで、今日も俺にラブコールを送る。適当にいなして、たまにちょっとデレてやって。俺のひと言でくるくる表情が変わるのが可愛い。でも俺はまだ恋していたいから。恋を探していたいから、やっぱり彼女にシュートは撃たない。最低保証の大本命。美唯はそんなことをよく言う。だから、美唯から見捨てられたら、俺は男として終わってんだなと思う。美唯はよく笑う。琴羽さんは、笑う人が好きなのかもしれない。
もともと、知り合いだったのは琴羽さんと美唯の方で。琴羽さんにたどり着いたのはたまたま。琴羽さんに会いに行くたび、美唯がちょっと拗ねてるのを知ってる。下手すりゃ泣いてる。だけど、琴羽さんを落とさなきゃ、美唯を琴羽さんに獲られるんでしょ。考えすぎですか?でもさ、それはなんか嫌なんだよ。ああ、なにが恋なのか分かんなくなる。俺が恋してるのって琴羽さん?美唯?どっちなわけよ。ゴールした後の静寂を思い出す。ゴールしたって試合はロスタイムまで続くってのに、俺は立ちすくむ。ゴールしてなんぼの男女の世界で、俺はようやくキーパーを見つけた。見つけた途端、蹴る気がなくなった。忍者でいたくなくなった。琴羽さんにも、美唯にも。それなのに、あぁくそ。俺は波に漂うクラゲのように、流れに身を任せていたい。チルな音楽に、読めないムーヴ。安心してる、してていいのか?結局は波に飲まれるけど、俺だってちゃんと考えてんよ?だから、見捨てないでくれよな。
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