三角錐で見る夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トルキエ暦70年、白砂糖月シェケル15日。タウロ市のエルバッハへ友人のリザンから手紙が届いた。#リジュ#から手紙がきたと思ったエルバッハは肩を落とす。
(女の子からの手紙ならまだしも……友達とはいえ、野郎からなんて)
そうは思いつつ、憎からず大事な友人からの便りなので、エルバッハは渋々読み始めた。
『エルバッハへ
俺からの手紙なんて驚いたか? 恐らく渋い顔してんだろうな。実は一つ、頼み事があって連絡した。#リジュ#のことなんだが、今年で10歳になるのに傭兵になると言って聞かないんだ。家族は全員反対……まぁ、勿論俺も反対なんだが。言ってもまったく聞く耳を持たないので、いっそ現実を知ってもらおうってことになり、タウロ市に送ることにした。』
「……はぁ!?」
『タウロ市で牡牛団エル・トーロの訓練をさせれば、諦めるんじゃないかって寸法だ。』
「あ、びっくりした! そっちか。え?」
『……正直、俺は目覚めさせるだけだと思うんだが。まぁ、いい。長くなった。タウロ市にいる間、リジュのこと気にかけてやってくれないか。一人でもなんとかするとは思うが、兄としては心配なので。誕生日に送り出すから、3日4日でそっち着くと思う。』
「いやいやいや」
『そんな感じで、よろしく頼む。今度会った時に礼はするから! リザンより』
「え、えー……」
手紙を読み終えて、エルバッハは頭を抱えた。タウロ市は、10歳の女の子が一人で練り歩ける市ではない。それはエルバッハが一番よく理解していた。
力と金が全てのこの市に、10歳の女の子を一人で送り込むなんて、どうかしてるとしか思えない。しかも、牡牛団エル・トーロの訓練を受けさせるなんて。あんなか弱い#リジュ#ちゃんが、言っても聞かないからって……リザンへの文句はふつふつと溢れてくるが、本人がいないためぶつけるあてはない。
「待って!? 今日、何日!!」
日付を確認して、急いで家を飛び出した。今日は4月15日、リザンが知らせたリジュちゃんの到着予定日だ。日はまだてっぺんまで登り切ってないが、もし、もし#リジュ#ちゃんが既に到着していたら……人攫いとか暴漢とか悪い大人にあれやこれやされるかもしれないじゃん!! 全速力で駆け出して、急停止。
「どこの入り口からくるの……!?」
タウロ市にだって、門は複数ある。#リジュ#ちゃんの家の方角から一番近い門が有力だが、10歳の女の子が最短距離で来るという保証はない。……手当たり次第に訊いて周るしか。
「あーもうもっと詳しく書いてよ!!」
友人の説明不足にイラつきながら、オレはまた駆け出した。一番近い門がよりによってオレの家から一番遠い。門に到着すると、門番が驚いた顔でオレを見る。構わず、#リジュ#ちゃんのことを訊ねた。
「これくらいの……小さくてすごい可愛い女の子、通らなかった!?」
「女の子……? いや、通ってねぇなぁ」
答えを聞いて、弾かれるように次の門へ。でも、次も次も最後の門でも、#リジュ#ちゃんらしき子を見た、という門番はいなかった。まだ到着してないのか……? 日は登りきっている。なんだか嫌な予感がして、いてもたってもいられずに街中を駆け巡った。
「#リジュ#ちゃーん! いないー?!」
街ゆく人の視線が痛い。走るのも疲れた。#リジュ#ちゃんは見つからない。なんだか切なくなってきて、オレは娼館通りの入り口にヘタレ込んだ。
「あ、エルバッハだぁ」
すると、隣で呑気に水筒から水を飲む#リジュ#️⃣ちゃんが現れるではないか。オレは目を擦った。
「リジュちゃん! #リジュ#ちゃんだ! 無事!?」
「?? 元気だよー。エルバッハは、大丈夫?」
ゼーゼーと荒い息のオレを#リジュ#ちゃんが心配する。オレは安心から急に力が抜けて、道端に仰向けに倒れた。
「エルバッハ、大丈夫!?」
「はは、大丈夫だよ。なんもなくてよかった」
しゃがんでオレを覗き込む瞳は、相変わらず綺麗で吸い込まれそうになる。頭を撫でてあげれば、もじもじ手遊びをした。可愛い。
「あのね、兄上がエルバッハによろしくって」
「あーあいつはあとでぶん殴る」
「あ、兄上に乱暴しないで!?」
オレは起き上がると、服についた埃を払った。立ち上がって、リジュちゃんと手を繋ぐ。小さな手を引き、とりあえずオレの家に向かうことにした。
オマケ
娼館通りを抜けて家に帰る途中、前に買った女に出会った。
「あらエルバッハ。隠し子?」
「ちげーよ。オレ、マナーは守る方」
「……お姉さん、だあれ?」
リジュちゃんは訝しげに女を見上げる。女はリジュちゃんの顔を見ると妖艶に微笑んだ。
「あら、素敵なお顔ね! スタイルもいいし。将来うちで働かない?」
「えっと……??」
「リジュちゃん、行こう。お前も絡んでくるな、この子はそんなんじゃないから」
足早にその場を後にする。やっぱり早めに見つけてよかった。リジュちゃんが不安そうに、オレに問いかける。
「さっきの人、結局だれ?」
「んーー……内緒」
微笑んで誤魔化しても、君は納得してくれなくて。しばらく、誰なのか問い詰められた。
(女の子からの手紙ならまだしも……友達とはいえ、野郎からなんて)
そうは思いつつ、憎からず大事な友人からの便りなので、エルバッハは渋々読み始めた。
『エルバッハへ
俺からの手紙なんて驚いたか? 恐らく渋い顔してんだろうな。実は一つ、頼み事があって連絡した。#リジュ#のことなんだが、今年で10歳になるのに傭兵になると言って聞かないんだ。家族は全員反対……まぁ、勿論俺も反対なんだが。言ってもまったく聞く耳を持たないので、いっそ現実を知ってもらおうってことになり、タウロ市に送ることにした。』
「……はぁ!?」
『タウロ市で牡牛団エル・トーロの訓練をさせれば、諦めるんじゃないかって寸法だ。』
「あ、びっくりした! そっちか。え?」
『……正直、俺は目覚めさせるだけだと思うんだが。まぁ、いい。長くなった。タウロ市にいる間、リジュのこと気にかけてやってくれないか。一人でもなんとかするとは思うが、兄としては心配なので。誕生日に送り出すから、3日4日でそっち着くと思う。』
「いやいやいや」
『そんな感じで、よろしく頼む。今度会った時に礼はするから! リザンより』
「え、えー……」
手紙を読み終えて、エルバッハは頭を抱えた。タウロ市は、10歳の女の子が一人で練り歩ける市ではない。それはエルバッハが一番よく理解していた。
力と金が全てのこの市に、10歳の女の子を一人で送り込むなんて、どうかしてるとしか思えない。しかも、牡牛団エル・トーロの訓練を受けさせるなんて。あんなか弱い#リジュ#ちゃんが、言っても聞かないからって……リザンへの文句はふつふつと溢れてくるが、本人がいないためぶつけるあてはない。
「待って!? 今日、何日!!」
日付を確認して、急いで家を飛び出した。今日は4月15日、リザンが知らせたリジュちゃんの到着予定日だ。日はまだてっぺんまで登り切ってないが、もし、もし#リジュ#ちゃんが既に到着していたら……人攫いとか暴漢とか悪い大人にあれやこれやされるかもしれないじゃん!! 全速力で駆け出して、急停止。
「どこの入り口からくるの……!?」
タウロ市にだって、門は複数ある。#リジュ#ちゃんの家の方角から一番近い門が有力だが、10歳の女の子が最短距離で来るという保証はない。……手当たり次第に訊いて周るしか。
「あーもうもっと詳しく書いてよ!!」
友人の説明不足にイラつきながら、オレはまた駆け出した。一番近い門がよりによってオレの家から一番遠い。門に到着すると、門番が驚いた顔でオレを見る。構わず、#リジュ#ちゃんのことを訊ねた。
「これくらいの……小さくてすごい可愛い女の子、通らなかった!?」
「女の子……? いや、通ってねぇなぁ」
答えを聞いて、弾かれるように次の門へ。でも、次も次も最後の門でも、#リジュ#ちゃんらしき子を見た、という門番はいなかった。まだ到着してないのか……? 日は登りきっている。なんだか嫌な予感がして、いてもたってもいられずに街中を駆け巡った。
「#リジュ#ちゃーん! いないー?!」
街ゆく人の視線が痛い。走るのも疲れた。#リジュ#ちゃんは見つからない。なんだか切なくなってきて、オレは娼館通りの入り口にヘタレ込んだ。
「あ、エルバッハだぁ」
すると、隣で呑気に水筒から水を飲む#リジュ#️⃣ちゃんが現れるではないか。オレは目を擦った。
「リジュちゃん! #リジュ#ちゃんだ! 無事!?」
「?? 元気だよー。エルバッハは、大丈夫?」
ゼーゼーと荒い息のオレを#リジュ#ちゃんが心配する。オレは安心から急に力が抜けて、道端に仰向けに倒れた。
「エルバッハ、大丈夫!?」
「はは、大丈夫だよ。なんもなくてよかった」
しゃがんでオレを覗き込む瞳は、相変わらず綺麗で吸い込まれそうになる。頭を撫でてあげれば、もじもじ手遊びをした。可愛い。
「あのね、兄上がエルバッハによろしくって」
「あーあいつはあとでぶん殴る」
「あ、兄上に乱暴しないで!?」
オレは起き上がると、服についた埃を払った。立ち上がって、リジュちゃんと手を繋ぐ。小さな手を引き、とりあえずオレの家に向かうことにした。
オマケ
娼館通りを抜けて家に帰る途中、前に買った女に出会った。
「あらエルバッハ。隠し子?」
「ちげーよ。オレ、マナーは守る方」
「……お姉さん、だあれ?」
リジュちゃんは訝しげに女を見上げる。女はリジュちゃんの顔を見ると妖艶に微笑んだ。
「あら、素敵なお顔ね! スタイルもいいし。将来うちで働かない?」
「えっと……??」
「リジュちゃん、行こう。お前も絡んでくるな、この子はそんなんじゃないから」
足早にその場を後にする。やっぱり早めに見つけてよかった。リジュちゃんが不安そうに、オレに問いかける。
「さっきの人、結局だれ?」
「んーー……内緒」
微笑んで誤魔化しても、君は納得してくれなくて。しばらく、誰なのか問い詰められた。
