三角錐で見る夢
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トルキエ暦74年、陶器月チニリ10日。リジュが夏風邪をひいてから6日が経った。本人は3日ほどで全快しており、薬は飲み続けているものの、元気に今日もイスマイルの後ろを歩いていた。イスマイルはといえば、遠征する商売の予定を3日ほど(本人は絶対に言わないがリジュのためだけに)ずらし、今日は出発の準備に勤しんでいた。季節は初夏、夏の日差しが眩しい日である。
暑い。屋内にいるというのに茹だるような暑さだ。まぁ、明日からの遠征の為に荷物をまとめているから、仕方ないといえば仕方ない。リジュにはまだ休んでいてほしいのだが、次から次へと仕事をせがむので、ほどほどに手伝わせている。休め、と言っても聞かないから困る。
「イスマイル様、お水をお持ちしましょうか?」
「あぁ、頼む」
リジュが水を取りに行ったのを合図に、一服入れることにした。汗をかいたので、上着だけでも着替えよう。そう思い、襟に手をかけた時だった。
「ひっひゃあっ!!」
「!?」
素っ頓狂な叫びに肩を揺らした。扉の方を見れば、リジュが真っ赤な顔を手で覆っている。持ってきた水はひっくり返して、床は水浸しだ。
「おま……なにやってるんだ?」
「すみませんすみません!!」
割れたガラスで怪我でもしてやしないか、近付いて確認しようとすると、ずるずると後退されてしまう。
「?? どうした」
「そのあの……お着替え中とは思わなくて……」
消え入るような声でそう言われて、自分の今の格好を確認する。前ははだけて、胸の辺りまで晒していた。カッと身体が熱くなる。
「で、出てけー!! いいって言うまで入ってくるな!!」
「す、すみません!!」
バタン、と閉じられた扉の向こうで、リジュがなにを考えているのか、想像してまた恥ずかしくなる。着替えくらいであんなになるとは、思いもよらなかった。
(俺も少しは意識されているのか……)
いや、そんなことはどうでもいいのだが。ああもう、あれこれ考えてしまってたかが着替えに手こずってしまう。床の掃除もしなければならない。
「#リジュ#、雑巾持って入ってこい」
「は、はい!」
しばらくして、リジュが掃除用具を持って戻ってきた。顔はまだ赤いまま。ここまで来ると、少し悪戯心が湧いてくる。襟元を普段より少し緩めにして、リジュの前に屈む。
「またガラス割って……お前にワレモノは持たせられないな」
「申し訳ございません……」
「仕方ない、手伝ってやる」
俺が雑巾を手にしたところで、気付いたのかリジュの目が泳ぐ。
「どうした?」
「いえ、その……襟元が」
「あぁ、暑いからな。お前も緩めていいぞ」
「えっと、えっと」
顔を真っ赤に染めてギュッと目を瞑る彼女に、ゾクゾクと背中がくり立つ感覚を覚える。そっとリジュの襟元を緩めようと手を伸ばしたのだがーー。
「イ、イスマイル様の意地悪ーっ!!」
「いっ痛っ!!」
思い切り手を叩かれてしまった。ジンジンと痛む手に、自分のしでかしたことの大きさというか、恥ずかしさを知る。リジュはハッと我に帰るとすぐに俺の手を心配した。
「も、申し訳ありませんイスマイル様……! 今、塗り薬お持ちします!」
ピューッと逃げるように部屋を出ていく#リジュ#が、戻ってくるまでにこの情けない顔をどうにかしなければ。中途半端になっている床の後片付けをしながら、さっきのリジュの反応を思い返す。
(イスマイル様の意地悪ーっ!!)
なんだ、俺に対してあんな顔もするのだ。どうにもニヤける自分が気持ち悪いが。いつも従順だから、つまらないとも思っていたんだ。
オマケ
塗り薬を投げて寄越してから、リジュが俺に近づかない。
「もうしませんか?」
「しないぞ」
「水の精霊ナバラトに誓って?」
「あ、あぁ……」
神に誓わせるほど嫌だったのか? ……俺はもしかして嫌われているのだろうか。そんなこと、素直になんて訊けないけれど。
暑い。屋内にいるというのに茹だるような暑さだ。まぁ、明日からの遠征の為に荷物をまとめているから、仕方ないといえば仕方ない。リジュにはまだ休んでいてほしいのだが、次から次へと仕事をせがむので、ほどほどに手伝わせている。休め、と言っても聞かないから困る。
「イスマイル様、お水をお持ちしましょうか?」
「あぁ、頼む」
リジュが水を取りに行ったのを合図に、一服入れることにした。汗をかいたので、上着だけでも着替えよう。そう思い、襟に手をかけた時だった。
「ひっひゃあっ!!」
「!?」
素っ頓狂な叫びに肩を揺らした。扉の方を見れば、リジュが真っ赤な顔を手で覆っている。持ってきた水はひっくり返して、床は水浸しだ。
「おま……なにやってるんだ?」
「すみませんすみません!!」
割れたガラスで怪我でもしてやしないか、近付いて確認しようとすると、ずるずると後退されてしまう。
「?? どうした」
「そのあの……お着替え中とは思わなくて……」
消え入るような声でそう言われて、自分の今の格好を確認する。前ははだけて、胸の辺りまで晒していた。カッと身体が熱くなる。
「で、出てけー!! いいって言うまで入ってくるな!!」
「す、すみません!!」
バタン、と閉じられた扉の向こうで、リジュがなにを考えているのか、想像してまた恥ずかしくなる。着替えくらいであんなになるとは、思いもよらなかった。
(俺も少しは意識されているのか……)
いや、そんなことはどうでもいいのだが。ああもう、あれこれ考えてしまってたかが着替えに手こずってしまう。床の掃除もしなければならない。
「#リジュ#、雑巾持って入ってこい」
「は、はい!」
しばらくして、リジュが掃除用具を持って戻ってきた。顔はまだ赤いまま。ここまで来ると、少し悪戯心が湧いてくる。襟元を普段より少し緩めにして、リジュの前に屈む。
「またガラス割って……お前にワレモノは持たせられないな」
「申し訳ございません……」
「仕方ない、手伝ってやる」
俺が雑巾を手にしたところで、気付いたのかリジュの目が泳ぐ。
「どうした?」
「いえ、その……襟元が」
「あぁ、暑いからな。お前も緩めていいぞ」
「えっと、えっと」
顔を真っ赤に染めてギュッと目を瞑る彼女に、ゾクゾクと背中がくり立つ感覚を覚える。そっとリジュの襟元を緩めようと手を伸ばしたのだがーー。
「イ、イスマイル様の意地悪ーっ!!」
「いっ痛っ!!」
思い切り手を叩かれてしまった。ジンジンと痛む手に、自分のしでかしたことの大きさというか、恥ずかしさを知る。リジュはハッと我に帰るとすぐに俺の手を心配した。
「も、申し訳ありませんイスマイル様……! 今、塗り薬お持ちします!」
ピューッと逃げるように部屋を出ていく#リジュ#が、戻ってくるまでにこの情けない顔をどうにかしなければ。中途半端になっている床の後片付けをしながら、さっきのリジュの反応を思い返す。
(イスマイル様の意地悪ーっ!!)
なんだ、俺に対してあんな顔もするのだ。どうにもニヤける自分が気持ち悪いが。いつも従順だから、つまらないとも思っていたんだ。
オマケ
塗り薬を投げて寄越してから、リジュが俺に近づかない。
「もうしませんか?」
「しないぞ」
「水の精霊ナバラトに誓って?」
「あ、あぁ……」
神に誓わせるほど嫌だったのか? ……俺はもしかして嫌われているのだろうか。そんなこと、素直になんて訊けないけれど。
