乙夜影汰を追いかけたい!の部屋
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烏が鳴きながら山に帰る。風は木々が囁く程度に揺れていた。だから、あぁそろそろ出会えるかなと思っていた。
「ちゅす、主将。帰ってきたよん」
「お前のことだから、一度も帰らず東京観光でもすると思ってたぜ」
「嘘乙。俺がそんな薄情、働くわけないっしょ?」
乙夜は少し疲れているように見えた。俺は手早く剣道着をまとめて、乙夜と並び立つ。体育祭を抜けて、どこへともなく。放課後のサイダーのような時間。
「試合、見てたよ。すごかったな」
「すごいのは確かなんですがー俺の凄さって画面に収まんないってかさー」
「いつものことだなぁ」
俺がいつもみたいに笑ったのに、乙夜は随分と寂しそうな瞳をしていたので。ちょっと背筋が凍った。少しでも乙夜を分かったつもりになった俺を叱責した。
「…………剣道、していくか?まだ今の時間なら借りられる」
主将に元気ないのバレた。重い空気を茶化すのは得意、そんでもってそれは俺の不誠実さ。分かってるよ、マジに向き合わなきゃいけない時くらい。剣道着を借りる。随分と頭が重たくなる。なんとか立ち上がって、竹刀を手に持つ。
「頭を叩けばいいスポーツだから」
雑にも程があるだろうがよそれは。笑いを面の中で噛み殺して。間合いをとる。突っ込まないで掻っ攫う。それが乙夜影汰のサッカースタイル。剣道に持ち込めるのかこの技術?そんなことを考えていたら、竹刀が頭を掠める。っぶ。
「次は捉えるぞ」
死刑宣告に聞こえたが、その音は優しかった。四の五の言うのやめた。狙いを頭に定めて、最短で踏み込んだ。あっけなく避けられて、今度こそ面を打たれた。自分のつけた仮面ごと、なにもかもが吹っ飛んだように感じた。
「どうだ、剣道もいいだろ?」
「……そうねぇ」
こいつと一緒に、剣道で夢追いかける可能性もあった。でも、俺が魂で選んだスポーツだから。それだけは、お前にもやるわけにはいかねーんだ。
「一対一じゃ、ムーヴが静かで燃えねー」
「あはは!そうかい」
主将は星が煌めき出す夜空を見上げて。俺の返答が嬉しかったのか、まだ笑っている。だから俺も笑った。これでいいんだ。いつか、こいつが魂まで燃やして挑んだ試合を、どこかで俺が見られたらならいい。逆も然り。俺たちお互い、恥にならないような試合を、潜り抜けて生きていく。それが続く限り、離れ離れなんて一生来ねーよ。
「ちゅす、主将。帰ってきたよん」
「お前のことだから、一度も帰らず東京観光でもすると思ってたぜ」
「嘘乙。俺がそんな薄情、働くわけないっしょ?」
乙夜は少し疲れているように見えた。俺は手早く剣道着をまとめて、乙夜と並び立つ。体育祭を抜けて、どこへともなく。放課後のサイダーのような時間。
「試合、見てたよ。すごかったな」
「すごいのは確かなんですがー俺の凄さって画面に収まんないってかさー」
「いつものことだなぁ」
俺がいつもみたいに笑ったのに、乙夜は随分と寂しそうな瞳をしていたので。ちょっと背筋が凍った。少しでも乙夜を分かったつもりになった俺を叱責した。
「…………剣道、していくか?まだ今の時間なら借りられる」
主将に元気ないのバレた。重い空気を茶化すのは得意、そんでもってそれは俺の不誠実さ。分かってるよ、マジに向き合わなきゃいけない時くらい。剣道着を借りる。随分と頭が重たくなる。なんとか立ち上がって、竹刀を手に持つ。
「頭を叩けばいいスポーツだから」
雑にも程があるだろうがよそれは。笑いを面の中で噛み殺して。間合いをとる。突っ込まないで掻っ攫う。それが乙夜影汰のサッカースタイル。剣道に持ち込めるのかこの技術?そんなことを考えていたら、竹刀が頭を掠める。っぶ。
「次は捉えるぞ」
死刑宣告に聞こえたが、その音は優しかった。四の五の言うのやめた。狙いを頭に定めて、最短で踏み込んだ。あっけなく避けられて、今度こそ面を打たれた。自分のつけた仮面ごと、なにもかもが吹っ飛んだように感じた。
「どうだ、剣道もいいだろ?」
「……そうねぇ」
こいつと一緒に、剣道で夢追いかける可能性もあった。でも、俺が魂で選んだスポーツだから。それだけは、お前にもやるわけにはいかねーんだ。
「一対一じゃ、ムーヴが静かで燃えねー」
「あはは!そうかい」
主将は星が煌めき出す夜空を見上げて。俺の返答が嬉しかったのか、まだ笑っている。だから俺も笑った。これでいいんだ。いつか、こいつが魂まで燃やして挑んだ試合を、どこかで俺が見られたらならいい。逆も然り。俺たちお互い、恥にならないような試合を、潜り抜けて生きていく。それが続く限り、離れ離れなんて一生来ねーよ。
