三題噺などの落書き、プロフィールなど
8月の中旬、燃え盛るような酷暑。お盆休みに入ったので実家に帰ろうと思い、少しでも暑さを味わわないよう、午前中から支度して早めに出ようと思っていた。まぁ特に持ち出すものはないから、荷物はコンパクトだ。歯を磨いたら出るかなーと洗面所でシャコシャコ手を動かしていた。視界の右端、洗濯機の隙間からガサゴソ動く気配がする。
「うっっわ!!!!」
背中にタオルホルダーがめり込んで痛い。痛いが、それに気をやるのなど後回しで洗面所を飛び出し、洗面所のドアを思いっきり閉めた。2、3度、ちゃんと閉まったか触れて確認する。普段からちゃんと部屋を整理整頓していてよかった。実家だと、洗面所のドアは洗濯物が邪魔して閉まらない。歯ブラシは洗面所の中に落としてきてしまった。とりあえず、キッチンの流し場で口をゆすぐ。混乱しているので視線がおろおろと定まらない。ともかく、奴を始末しないと家を空けられない!!
「スマホ……」
わたわたとスマホを探す。ちゃんとテーブルの上にあったのに、見つけるまで時間がかかって苛立つ。迷いなく柴崎にコールする。3コールほどで、寝ぼけた声が電話に出る。
『はい、もしもし』
「ゴキブリが出た」
『おー……??』
「なんとかしてくれ」
『んーいいけど、今日俺仕事あんだよ』
「そこをなんとか!!」
『じゃあ終わったら行くけどよ。夕方になるぞ?』
「うー……」
しんどい。あまりにも辛い。洗面所に閉じ込めたはずだが、部屋に出てこないとも限らない。この家で待つのは無理だ。かと言って、放っておいて実家に帰るのはもっと無理。そこらじゅう這い回られたらひとたまりもないし、増えたりしたら最悪すぎる。
「実家に帰るのは諦めるか……」
『いや帰っとけよ』
「無理だろ部屋にいるんだぞ」
『あー、ま。とりあえず仕事終わったら行ってやるから、ちょっと待ってろ』
「うん……」
電話が切れる。仕方なく、必要な物だけ持って家を出た。封印するように鍵をかけて。どこで待っていようか。
「夜になったのは悪かったって。そんな顔すんなよ」
「なにも言ってない」
結局柴崎は、19時過ぎに俺の家に来た。カフェやファミレスを2度ハシゴする羽目になった。ドアを開けた途端に飛び出してきたら嫌だから、柴崎に開けてもらう。室内は太陽に熱されてこの時間でも蒸し蒸しとしていた。エアコンをつける。洗面所から1番離れた、部屋の角に立つ。
「で、どこで見た?」
「洗面所」
「洗面所ね」
柴崎がゴキジェットを手に、洗面所に入る。
「洗面所のどこ?」
「洗濯機の隙間!!」
大声でやり取りする。早く終わってくれ。柴崎がシューっとスプレーをする音がして、しばらく無音が続く。やがて、柴崎が首を傾げて出てきた。
「いねぇけど?」
「いない!?」
そんなはずはない、確かに見た。今更、本当にいないことの証明は出来ない。いるかもしれない可能性がなくなるまで、部屋を空けることは出来ないし、ここで生活も出来ないのだ。
「絶対いる。退治するまでいなくならないでくれ」
「めちゃくちゃだな……実家帰るんじゃないのか?」
「退治が最優先」
「あ、じゃあ俺始末しとくから鍵渡して帰っとけばよくね?」
「いや、ちゃんと奴の亡骸を見るまで納得出来ないし、お前を部屋に置いていくと荒らされそうで嫌だ」
「めんどくせぇなおい」
もーと柴崎は頭を掻いて、それから首を回して。しょうがねぇなと笑った。
「報酬は?明日も午後から仕事だから、朝までには終わらせるけど」
「なにが望みだ?」
「美味い焼き鳥と酒」
「分かった。飲み屋閉まる前に終わらせよう」
「国領はなにもしないだろが」
「…………エールを送ります!」
「いらねぇよ」
柴崎がカラカラと笑うと、緊張がほどけて眠くなってきた。あくびをすれば、寝とけとベッドを指差される。倒れ込んで、一眠りした。目が覚めたら終わってますように……。
「うっっわ!!!!」
背中にタオルホルダーがめり込んで痛い。痛いが、それに気をやるのなど後回しで洗面所を飛び出し、洗面所のドアを思いっきり閉めた。2、3度、ちゃんと閉まったか触れて確認する。普段からちゃんと部屋を整理整頓していてよかった。実家だと、洗面所のドアは洗濯物が邪魔して閉まらない。歯ブラシは洗面所の中に落としてきてしまった。とりあえず、キッチンの流し場で口をゆすぐ。混乱しているので視線がおろおろと定まらない。ともかく、奴を始末しないと家を空けられない!!
「スマホ……」
わたわたとスマホを探す。ちゃんとテーブルの上にあったのに、見つけるまで時間がかかって苛立つ。迷いなく柴崎にコールする。3コールほどで、寝ぼけた声が電話に出る。
『はい、もしもし』
「ゴキブリが出た」
『おー……??』
「なんとかしてくれ」
『んーいいけど、今日俺仕事あんだよ』
「そこをなんとか!!」
『じゃあ終わったら行くけどよ。夕方になるぞ?』
「うー……」
しんどい。あまりにも辛い。洗面所に閉じ込めたはずだが、部屋に出てこないとも限らない。この家で待つのは無理だ。かと言って、放っておいて実家に帰るのはもっと無理。そこらじゅう這い回られたらひとたまりもないし、増えたりしたら最悪すぎる。
「実家に帰るのは諦めるか……」
『いや帰っとけよ』
「無理だろ部屋にいるんだぞ」
『あー、ま。とりあえず仕事終わったら行ってやるから、ちょっと待ってろ』
「うん……」
電話が切れる。仕方なく、必要な物だけ持って家を出た。封印するように鍵をかけて。どこで待っていようか。
「夜になったのは悪かったって。そんな顔すんなよ」
「なにも言ってない」
結局柴崎は、19時過ぎに俺の家に来た。カフェやファミレスを2度ハシゴする羽目になった。ドアを開けた途端に飛び出してきたら嫌だから、柴崎に開けてもらう。室内は太陽に熱されてこの時間でも蒸し蒸しとしていた。エアコンをつける。洗面所から1番離れた、部屋の角に立つ。
「で、どこで見た?」
「洗面所」
「洗面所ね」
柴崎がゴキジェットを手に、洗面所に入る。
「洗面所のどこ?」
「洗濯機の隙間!!」
大声でやり取りする。早く終わってくれ。柴崎がシューっとスプレーをする音がして、しばらく無音が続く。やがて、柴崎が首を傾げて出てきた。
「いねぇけど?」
「いない!?」
そんなはずはない、確かに見た。今更、本当にいないことの証明は出来ない。いるかもしれない可能性がなくなるまで、部屋を空けることは出来ないし、ここで生活も出来ないのだ。
「絶対いる。退治するまでいなくならないでくれ」
「めちゃくちゃだな……実家帰るんじゃないのか?」
「退治が最優先」
「あ、じゃあ俺始末しとくから鍵渡して帰っとけばよくね?」
「いや、ちゃんと奴の亡骸を見るまで納得出来ないし、お前を部屋に置いていくと荒らされそうで嫌だ」
「めんどくせぇなおい」
もーと柴崎は頭を掻いて、それから首を回して。しょうがねぇなと笑った。
「報酬は?明日も午後から仕事だから、朝までには終わらせるけど」
「なにが望みだ?」
「美味い焼き鳥と酒」
「分かった。飲み屋閉まる前に終わらせよう」
「国領はなにもしないだろが」
「…………エールを送ります!」
「いらねぇよ」
柴崎がカラカラと笑うと、緊張がほどけて眠くなってきた。あくびをすれば、寝とけとベッドを指差される。倒れ込んで、一眠りした。目が覚めたら終わってますように……。
