布田くんはたまにめんどくさくて国領くんはクソ真面目、柴崎くんはちゃらんぽらん
ベッドの上が狭くて起きた。かなりぐっすり眠れた気がする。両脇に布田と柴崎が寝ており、昨日の失態を思い出して頭を抱えた。嘘ではない、し。本音ではある、けど。恥ずかしくて穴があったら入りたくなるのは、なんでだろうか。2人が笑ってくれたことに、酷く安心したのは確かであって。昨日の夜は、もういいかなと思えた。朝になって酔いが醒めると、どうしてもこのままではいけない気がしてしまう。不安で仕方がない。柴崎は眠りこけていて、しばらく起きそうもない。布田を見つめる。布田がちゃんと眠れてそうだと、やっぱりほっとする。起きて欲しいな、と僅かばかり願ったら、ぱちぱちと瞬きをするので面食らう。仰け反った瞬間に右手で柴崎の肩を踏んだ。い゙っと背後から呻き声がする。
「わ、悪い。びっくりして」
「なにが……?」
柴崎は寝ぼけた声で俺を確認して、なんでもないと分かるとまた寝始めた。申し訳ないので、踏んだ肩をさすっといてやった。布田に向き直ると、まだ眠たそうにぼーっとしている。でも起きるつもりらしく、目を擦ってあくびをした。
「おはよう」
「……おはよう」
「人と一緒に寝るのはいいもんだね。あったかくて」
布田があどけなくそんなことを言う。気恥ずかしくて返答に困っていると、布田が手を伸ばしてきて頬を指で突くもんだからびっくりする。危うくまた柴崎を踏みかける。
「な、に」
「国領もあんまり自分の欲求に逆らうと、俺みたいに病むよ」
指が離れていく。繊細そうな指だ。言われたことを頭で繰り返して。
「……いや、布田は頑張ってるだろ。病んでるのか?」
「えっ、?」
「うん……まぁ病んでてしんどいのかもしんないけど、頑張ってるだろ」
率直に、疑問に思ったことを伝える。なんか引っかかるのだ。布田が自分を悪者のように言うのは。
「…………話が随分、ズレたと思うけど」
「ん?あぁ、確かにそうかも……」
話を始めに戻して、布田の言ったことを頭から再生し直す。欲求に逆らうと、あまりよくない?
「……このままでいいのか?」
「いいんじゃないの、変わりたくないなら」
「変わらなきゃいけない気がすんだよ」
「それでも、変わりたくないなら変わらなくていい」
布田の顔を見る。布田もどこか、迷っているような表情だった。俺に答え合わせを求めるような、そんな眼差し。変わりたくない。これが本音なら、正直に身を任せてもいいのだろうか。自信がない、本当にこのまま、間違いかもしれないまま、歩いていっていいのだろうか。
「気が変わるまでは、一緒にいようぜ」
柴崎が急に喋るもんだから、肩を揺らす。起きてたのか。俺の問いかけには答えずに、背中を向けたまま柴崎は話した。
「先のことなんて、考えたって分かんねぇよ。環境も人間関係も、いつ崩れて変わるのかなんて誰にも分かんねぇ。でも俺は、なにがあってもお前らと友達やめるつもりはねぇ」
いつもの柴崎よりも、真剣で冷たい声だった。怒っているのか?心がざわついて、柴崎の左肩を掴んでこっちを向かせる。柴崎は目を丸くしたあと、いつもみたいに笑った。
「いけるとこまでいこうぜ。大丈夫だよ」
息を吐くと、力が抜けていく。布田を振り返る。似たような表情で、頷いていた。それから、薄く口を開いて消え入る声でそっと呟く。
「変わろうと思っても、変われないもんだよ」
それが脳裏に入り込み染み付いて、消えることない呪いのようになったら、少しは楽な気がした。変われないなら受け入れるしかないし、変われないなりのやり方を探すだけだ。変われると思うから、今の自分を肯定出来なくて辛いのだ。
「そうだな」
返事をして、どうしようもない自分を認める努力をすることにした。大事なもんは大事だと、胸を張れるように頑張ろうと思えた。間違いでも遠回りでも、2人といる時間が1番楽しいのだから、今はそれでもいいのだと。そう思うことにした。気が変わるまで。そんな瞬間は、訪れないと知っている。
「わ、悪い。びっくりして」
「なにが……?」
柴崎は寝ぼけた声で俺を確認して、なんでもないと分かるとまた寝始めた。申し訳ないので、踏んだ肩をさすっといてやった。布田に向き直ると、まだ眠たそうにぼーっとしている。でも起きるつもりらしく、目を擦ってあくびをした。
「おはよう」
「……おはよう」
「人と一緒に寝るのはいいもんだね。あったかくて」
布田があどけなくそんなことを言う。気恥ずかしくて返答に困っていると、布田が手を伸ばしてきて頬を指で突くもんだからびっくりする。危うくまた柴崎を踏みかける。
「な、に」
「国領もあんまり自分の欲求に逆らうと、俺みたいに病むよ」
指が離れていく。繊細そうな指だ。言われたことを頭で繰り返して。
「……いや、布田は頑張ってるだろ。病んでるのか?」
「えっ、?」
「うん……まぁ病んでてしんどいのかもしんないけど、頑張ってるだろ」
率直に、疑問に思ったことを伝える。なんか引っかかるのだ。布田が自分を悪者のように言うのは。
「…………話が随分、ズレたと思うけど」
「ん?あぁ、確かにそうかも……」
話を始めに戻して、布田の言ったことを頭から再生し直す。欲求に逆らうと、あまりよくない?
「……このままでいいのか?」
「いいんじゃないの、変わりたくないなら」
「変わらなきゃいけない気がすんだよ」
「それでも、変わりたくないなら変わらなくていい」
布田の顔を見る。布田もどこか、迷っているような表情だった。俺に答え合わせを求めるような、そんな眼差し。変わりたくない。これが本音なら、正直に身を任せてもいいのだろうか。自信がない、本当にこのまま、間違いかもしれないまま、歩いていっていいのだろうか。
「気が変わるまでは、一緒にいようぜ」
柴崎が急に喋るもんだから、肩を揺らす。起きてたのか。俺の問いかけには答えずに、背中を向けたまま柴崎は話した。
「先のことなんて、考えたって分かんねぇよ。環境も人間関係も、いつ崩れて変わるのかなんて誰にも分かんねぇ。でも俺は、なにがあってもお前らと友達やめるつもりはねぇ」
いつもの柴崎よりも、真剣で冷たい声だった。怒っているのか?心がざわついて、柴崎の左肩を掴んでこっちを向かせる。柴崎は目を丸くしたあと、いつもみたいに笑った。
「いけるとこまでいこうぜ。大丈夫だよ」
息を吐くと、力が抜けていく。布田を振り返る。似たような表情で、頷いていた。それから、薄く口を開いて消え入る声でそっと呟く。
「変わろうと思っても、変われないもんだよ」
それが脳裏に入り込み染み付いて、消えることない呪いのようになったら、少しは楽な気がした。変われないなら受け入れるしかないし、変われないなりのやり方を探すだけだ。変われると思うから、今の自分を肯定出来なくて辛いのだ。
「そうだな」
返事をして、どうしようもない自分を認める努力をすることにした。大事なもんは大事だと、胸を張れるように頑張ろうと思えた。間違いでも遠回りでも、2人といる時間が1番楽しいのだから、今はそれでもいいのだと。そう思うことにした。気が変わるまで。そんな瞬間は、訪れないと知っている。
