布田くんはたまにめんどくさくて国領くんはクソ真面目、柴崎くんはちゃらんぽらん
『今日の夜、国領ん家で飲もうぜ~』
週終わりの金曜日。お昼休みにスマホを覗いたら、3人のトークルームに投げられていた。あいつ、さっき起きただろ……。布田は『いいね』とだけ返事している。おい、勝手に決めるな。
『俺の家なの、決定なのか?』
『別にどこでもいいけど、じゃあ飲みは決定でいいよな!』
しまった、流れ持ってかれた。柴崎といるといつもこうだ。予定が入ってようが、気が向かないとしても、大抵柴崎のペースに飲まれて合わせる羽目になる。不思議なことに、それが嫌だと思ったことがない。他人のペースに合わせるなんて、ごめんなのに。
『俺は宅飲みがいい』
布田にそう言われちゃうとなー……断れねぇよなぁ。俺は布田には甘いんだと思う。なんか放っておくと、気づいたらどこかへいなくなってしまいそうで。いや、布田が決めるんならどこへ行こうと勝手な話ではあるんだけども。
『分かった。夜はうちで飲みな』
わーい!と喜んでるスタンプが2つ送られてくる。可愛いやつら。いい歳のおっさんなんだけどな……おっさんって何歳から言うんだ?人によって定義が違うものはなんか気持ち悪い。はっきりしないものは、嫌いだ。
(まぁ、なんだっていいか)
サブカルチャーとか世俗的な話は、然程興味がない。スマホを置いて、弁当を食べ始める。ふと、なんで自分は柴崎なんかとずっと一緒にいるのか、ぼんやりと考えてみる。食事しながらだから、大して真剣には思考しないが。
最初の印象はよく覚えている。落ち着きのない奴だ。中学の入学初日、知らない奴1人1人に話題振って喋りまくってたのが柴崎だった。なにをそんなに張り切っているのか、よく分からなかった。俺は自分の席に座って、黙々と自分の勉強をしていた。他の奴らとは、喋らなかった。
そのうち、席が最前列の隣同士になる。なんの授業だったか。確か数学かなんかの授業で、柴崎が思いっきり居眠りしていて。当然、先生に叱られて起こされて。俺は知らんぷりで自分の勉強を進めていた。
「で?この問いの答えはなんですか?」
「俺は分からないけど、隣の国領くんなら分かると思います!」
「は?」
おいおい、巻き込むなよ。その時も柴崎は楽しそうに笑っていた。反省の色なし。先生も叱っているのにあまりに陽気だから、困惑していた。問いを見る。実は俺も勉強に夢中で授業を聞いていなかった。けれど、簡単な問題だったのでぱぱっと暗算して。
「えーっと……18じゃないですか?」
「……はい、正解ですね」
先生は、すごすごと退散して授業を再開した。柴崎を見る。目が合うとニコッと笑うので、呆れながらもつられて笑ってしまった。
「さんきゅ!」
「巻き込むなよ」
「国領、頭良いんだなー別のことしてるから、解けねぇと思った」
別のことをしていると、バレたことにびっくりした。この頃から、柴崎は観察力だけはずば抜けていた。周囲のこと、驚くほどによく見ている。まぁ、見てるだけで生かす知識は少ねぇんだけど。
「意地の悪い奴だな……俺まで叱られるとこだった」
「悪かったって!授業聞いてない者同士、仲良くしようぜ」
「いや一緒にすんなよ」
なんでだか、その時も安心に似た居心地の良さを覚えたのを、今でもはっきりと。一緒に勉強するわけでもないのに、隣にいるのを許すのは柴崎くらいのもので。あの日から、どうしてかずっと隣に柴崎がいる。結局、なんでなのかは今日も分からない。この思考も何度目か分からない。いつだって堂々巡り。
(俺が柴崎の隣を選んでいるのか、柴崎が俺の隣を選んでいるのか?)
前者なわけない、と意地を張ったり。後者だとしたら、何故?しか浮かばない。証明出来ないことを考えるのは苦手だし、答え合わせも出来ないなら尚更嫌いだ。それでも、この問いに向き合うのは。やっぱやめよう、それだけあいつが大事だって話にしかならない。
週終わりの金曜日。お昼休みにスマホを覗いたら、3人のトークルームに投げられていた。あいつ、さっき起きただろ……。布田は『いいね』とだけ返事している。おい、勝手に決めるな。
『俺の家なの、決定なのか?』
『別にどこでもいいけど、じゃあ飲みは決定でいいよな!』
しまった、流れ持ってかれた。柴崎といるといつもこうだ。予定が入ってようが、気が向かないとしても、大抵柴崎のペースに飲まれて合わせる羽目になる。不思議なことに、それが嫌だと思ったことがない。他人のペースに合わせるなんて、ごめんなのに。
『俺は宅飲みがいい』
布田にそう言われちゃうとなー……断れねぇよなぁ。俺は布田には甘いんだと思う。なんか放っておくと、気づいたらどこかへいなくなってしまいそうで。いや、布田が決めるんならどこへ行こうと勝手な話ではあるんだけども。
『分かった。夜はうちで飲みな』
わーい!と喜んでるスタンプが2つ送られてくる。可愛いやつら。いい歳のおっさんなんだけどな……おっさんって何歳から言うんだ?人によって定義が違うものはなんか気持ち悪い。はっきりしないものは、嫌いだ。
(まぁ、なんだっていいか)
サブカルチャーとか世俗的な話は、然程興味がない。スマホを置いて、弁当を食べ始める。ふと、なんで自分は柴崎なんかとずっと一緒にいるのか、ぼんやりと考えてみる。食事しながらだから、大して真剣には思考しないが。
最初の印象はよく覚えている。落ち着きのない奴だ。中学の入学初日、知らない奴1人1人に話題振って喋りまくってたのが柴崎だった。なにをそんなに張り切っているのか、よく分からなかった。俺は自分の席に座って、黙々と自分の勉強をしていた。他の奴らとは、喋らなかった。
そのうち、席が最前列の隣同士になる。なんの授業だったか。確か数学かなんかの授業で、柴崎が思いっきり居眠りしていて。当然、先生に叱られて起こされて。俺は知らんぷりで自分の勉強を進めていた。
「で?この問いの答えはなんですか?」
「俺は分からないけど、隣の国領くんなら分かると思います!」
「は?」
おいおい、巻き込むなよ。その時も柴崎は楽しそうに笑っていた。反省の色なし。先生も叱っているのにあまりに陽気だから、困惑していた。問いを見る。実は俺も勉強に夢中で授業を聞いていなかった。けれど、簡単な問題だったのでぱぱっと暗算して。
「えーっと……18じゃないですか?」
「……はい、正解ですね」
先生は、すごすごと退散して授業を再開した。柴崎を見る。目が合うとニコッと笑うので、呆れながらもつられて笑ってしまった。
「さんきゅ!」
「巻き込むなよ」
「国領、頭良いんだなー別のことしてるから、解けねぇと思った」
別のことをしていると、バレたことにびっくりした。この頃から、柴崎は観察力だけはずば抜けていた。周囲のこと、驚くほどによく見ている。まぁ、見てるだけで生かす知識は少ねぇんだけど。
「意地の悪い奴だな……俺まで叱られるとこだった」
「悪かったって!授業聞いてない者同士、仲良くしようぜ」
「いや一緒にすんなよ」
なんでだか、その時も安心に似た居心地の良さを覚えたのを、今でもはっきりと。一緒に勉強するわけでもないのに、隣にいるのを許すのは柴崎くらいのもので。あの日から、どうしてかずっと隣に柴崎がいる。結局、なんでなのかは今日も分からない。この思考も何度目か分からない。いつだって堂々巡り。
(俺が柴崎の隣を選んでいるのか、柴崎が俺の隣を選んでいるのか?)
前者なわけない、と意地を張ったり。後者だとしたら、何故?しか浮かばない。証明出来ないことを考えるのは苦手だし、答え合わせも出来ないなら尚更嫌いだ。それでも、この問いに向き合うのは。やっぱやめよう、それだけあいつが大事だって話にしかならない。
