君の空色が誇りに変わるまで

「レッドベリル、しつこい」
「だって〜!!兄さんの寝巻きだよ!?とびきり可愛くなきゃ!!」
「僕は可愛くなりたくない」
「私より小さくて可愛いじゃない。可愛いでいいでしょ?」
エメの笑顔に、僕は口を閉じた。レッドベリルはアクアマリンと一緒に縫ったり切ったりを繰り返している。弟たちは、服を作るのが好きだ。兄のエメに似たのだろう。僕とは似てない。似てほしくもない。ジリジリと砂が擦れるような不安を、弟に背負わせようとは思わない。この孤独は、僕だけのもの。
「……今年もいっぱい戦ったね。お疲れ様」
エメが僕の頭を撫でた。双晶だから起きるコミュニケーション。他の者は知り得ないもの。誰も知らない、ということが、何故だか安心を運んでくる。エメのこと、うっとおしいと思うのに。
「なぁなぁ。俺の寝巻き、もっと派手に出来ねぇ?」
「スカイは寝相悪いし、背高いからすらっとしてた方がいいの!」
「えー。布の面積違いすぎね?リボン少なくね?」
「リボン好きなの?」
「いや、別に?」
なによそれ、とレッドベリルが笑うのを、満足そうに口元に弧を描く。スカイと組んでから、どれくらい経った?スカイの欠片は、今身体にいくつある?途中から数えるのをやめた。数を数えるのはユークレースに任せればいい。……優しくされてから、ユークレースとは話していない。
「ラルー、可愛いけど寝づらそうだな?」
「お前まで可愛いとか言うな……全部裂きたくなる」
「ははっ。好きよ、そーいうとこ」
スカイは軽々しい。じとっと睨んでも、笑い返される。どれだけ取り込んでも、スカイのことは分からない。分からないよ。分からないのが、1番怖い。ある日ある時、スカイと同じ笑みを浮かべるようになったら?もっと素直に、みんなにありがとうを伝えられたら?その方が、生きやすいのは分かっている。でも、同じにはなりたくない。エメとも、スカイとも。スカイは伸びをひとつして、あくびをした。うつった。それを見て、また目を細めて笑う。僕は視線を下に下げた。
「さぁて、枕投げ大会に参加すっかね!イエローとパパラチア、どっちにつこうかなー」
照明クラゲが跳ねる。スカイはそれにも話しかけて、手を振っていた。幸せそうだ。君の幸せな世界に、何故僕を呼ぶ?
「ラルーも早く来いよ」
スカイがそう言うと、急かさないでよー!と弟たちは躍起になった。そろそろ解放して欲しい。
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