大空の方向は見失わない
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風紀委員の見回りを終え、ようやく恭弥さんから解放されての帰り道。今夜は一人鍋でもしようと、野菜などの材料を買い、マンションの階段を上がる。すると、自分の部屋のドアにもたれ掛かる骸を見つけた。
「こんばんは、随分と遅いのですね」
「……まあ、今日見回り当番だったし。寒くないの?」
「屍がもう少し早く帰ってきてくれれば寒くなかったです」
……どことなくご機嫌斜めな骸。とりあえず、部屋の鍵を取りだし中へ案内した。骸は黙って僕の部屋に上がる。そうして、我が物顔で僕のリビングの大きいクッションに沈みこんだ。のけぞって天井を見つめている。
「呼んでくれれば黒曜に行ったのに」
「…………そういう気分じゃ、なかった」
じゃあどういう気分なのか。探ろうにも、骸の心は五里霧中といったところで掴めない。鍋の材料を小さな冷蔵庫にしまいながら、様子をうかがっているとかち合った目。その目はいつもより活力がなく、迷子の子猫のようだった。思わず笑ってしまうと、眉を寄せて不満げな顔をする。骸がそんな表情をするのも珍しい。しかし、その長い腕は僕に差し出され。
「さっさとこっちに来てください。寒いんですよ」
「ご飯は?」
「そんなの、後でいいです」
僕はお腹がすいたのだが。今逆らってもいいことがないと見て、僕はおずおず骸の膝の上に座った。途端、後ろから抱きすくめられ、思いっきり前に体重をかけられた。重い。肘で後ろの骸を退かそうとするが、嫌と言うように更に力をかけてきた。諦めて、好きなようにさせる。
「……小さいですね、相変わらず」
「あの頃よりは伸びたよ」
「ほんの少しでしょう。あの頃の可愛い屍のままだ」
キュッと僕のシャツが握りしめられた。骸の顔は僕の肩口に埋まっていて見られない。どうやら、今日の骸は似合わない感傷に浸っているようだ。
「骸、僕はなにも気にしてないですよ」
「嘘だ。それが本当ならここに戻ってきたりしない」
僕が嘘を言ったことがあっただろうか。しかも、骸に対して。僕は望んで今、骸が見える位置に戻ってきたというのに。
「屍、君にこれ以上地獄は見せたくないんです」
「うん」
「それなのに、なんで僕の元に戻ってきてしまったんですか」
「……孤独には、飽きてしまったからね」
どうせ同じように醜いこの世界を歩むのなら、骸の隣がいい。遠い昔に、そうであったように。
「単純に、骸が好きなのさ」
「……!! 屍のその気持ちが、僕には何より痛い」
ああ、骸は痛いの嫌いだもんな。苦しめているのを詫びるように、僕は骸の頭を撫でた。
「こんばんは、随分と遅いのですね」
「……まあ、今日見回り当番だったし。寒くないの?」
「屍がもう少し早く帰ってきてくれれば寒くなかったです」
……どことなくご機嫌斜めな骸。とりあえず、部屋の鍵を取りだし中へ案内した。骸は黙って僕の部屋に上がる。そうして、我が物顔で僕のリビングの大きいクッションに沈みこんだ。のけぞって天井を見つめている。
「呼んでくれれば黒曜に行ったのに」
「…………そういう気分じゃ、なかった」
じゃあどういう気分なのか。探ろうにも、骸の心は五里霧中といったところで掴めない。鍋の材料を小さな冷蔵庫にしまいながら、様子をうかがっているとかち合った目。その目はいつもより活力がなく、迷子の子猫のようだった。思わず笑ってしまうと、眉を寄せて不満げな顔をする。骸がそんな表情をするのも珍しい。しかし、その長い腕は僕に差し出され。
「さっさとこっちに来てください。寒いんですよ」
「ご飯は?」
「そんなの、後でいいです」
僕はお腹がすいたのだが。今逆らってもいいことがないと見て、僕はおずおず骸の膝の上に座った。途端、後ろから抱きすくめられ、思いっきり前に体重をかけられた。重い。肘で後ろの骸を退かそうとするが、嫌と言うように更に力をかけてきた。諦めて、好きなようにさせる。
「……小さいですね、相変わらず」
「あの頃よりは伸びたよ」
「ほんの少しでしょう。あの頃の可愛い屍のままだ」
キュッと僕のシャツが握りしめられた。骸の顔は僕の肩口に埋まっていて見られない。どうやら、今日の骸は似合わない感傷に浸っているようだ。
「骸、僕はなにも気にしてないですよ」
「嘘だ。それが本当ならここに戻ってきたりしない」
僕が嘘を言ったことがあっただろうか。しかも、骸に対して。僕は望んで今、骸が見える位置に戻ってきたというのに。
「屍、君にこれ以上地獄は見せたくないんです」
「うん」
「それなのに、なんで僕の元に戻ってきてしまったんですか」
「……孤独には、飽きてしまったからね」
どうせ同じように醜いこの世界を歩むのなら、骸の隣がいい。遠い昔に、そうであったように。
「単純に、骸が好きなのさ」
「……!! 屍のその気持ちが、僕には何より痛い」
ああ、骸は痛いの嫌いだもんな。苦しめているのを詫びるように、僕は骸の頭を撫でた。
