本編
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なんもねぇ日。家には誰もいない。俺の家には俺の部屋がないから全部俺の空間だけど、だからこそ人がいないことが寂しく感じる。なにをしたって許されるけど、そんな自由は窮屈だ。
「拓磨の家、いこ」
俺はゲーム機と創作用のノートと、鞄に詰め込んで家を出る。斜向かいの一軒家のインターホンを押す。玄関先には、パンジーが植えてあって色とりどりに咲いていた。弓場ママが玄関から顔を出す。
「ノリくん、今日は元気?」
「ぼちぼちだよ〜。弓場ママ、今日も綺麗だね。元気そうでよかった」
「ノリくんは本当に、口上手ね〜」
「そんなことないよ。パンジー、綺麗に咲いたね」
「そうそう〜いろんな種類植えてみたのよね。気づいてくれるのノリくんだけだわ〜」
弓場ママが寒いわよね、ごめんごめんと俺を室内へ入れてくれた。我が家と違い、綺麗に掃除されていて広い。弓場ママがリビングへ行くのについていく。多分、話したいことがあるんだろう。迷いなくソファーに腰掛ける。弓場ママは俺のために紅茶を淹れてくれた。
「将磨がね〜なんか悩んでるみたいなんだけど。私にも拓磨にも話さないのよね」
「それとなく聞いてみますよ」
専業主婦の弓場ママの、話し相手になるのが好きだった。話し相手をしてもらってるのは、俺か。家に1人になる人間同士、昔からの馴染みだから、なにも気にせず話すことが出来る。
「ノリくん、本当に話しやすいわ。いつもありがとうね」
「俺でよければ、いつでも」
「お昼、簡単だけどチャーハンでいい?」
「高菜、いれたいです」
「あれ、最近高菜食べるんだ?」
「拓磨のを横取りしてハマって」
「ふふふ、そうなの」
弓場ママがキッチンへ行くので、俺も立ち上がったが。
「手伝うことないよ。座ってて」
「ありがとうございます。配膳はしますね」
勝手知ったる人の家、チャーハンを装う大皿と、レンゲ。コップを取り出して、水を汲む。テーブルに並べて待つ。弓場ママの手際はいい。すぐに美味しい高菜チャーハンが出来上がった。
「いただきます」
手を合わせる俺を、嬉しそうに弓場ママは見つめた。拓磨も、俺がいただきますをしてると嬉しそうなんだよな。弓場ママのは分かるけど、拓磨はよく分からん。高菜チャーハンを口に運ぶ。母が作るのとは少し違う味だが、確かにこの味もお袋の味なんだ。
「午後から買い物に出かけるけど、ノリくんいてくれていいからね」
「買い物、お手伝いしますか?」
「ううん!いいのよ、気にしないで。拓磨帰ってくるまで待つでしょ?」
「部屋にいれたらなぁと」
「拓磨今日、夕方には帰るって言ってたよ」
「そっか。よかった」
水を飲み干し、ごちそうさまと手を合わせる。皿を下げて、手早く洗い物をした。弓場ママは、やっぱり嬉しそうにしていた。
「ノリくんが息子だったらな〜」
「息子みたいなもんでしょ。それにそんなこと言ったら、拓磨も将磨も可哀想」
「そうなんだけどさ〜」
「俺も母にとっては、出来た息子ではないだろうし」
人と同じように、母が望むように、産まれてくることが出来なかった。母がそのことを責めることはないけれど、大人になる季節を目の前に、俺はまだ悩んでいる。
「そんなことないよ。ノブちゃんにとっても、自慢の息子だよノリくんは」
ノブちゃんとは、母のこと。俺の名前の一文字は、母の宜だ。
「ありがとう、ごめん」
俺が笑うと、弓場ママは俺の頭を撫でた。
「拓磨にはもう、してやれないのよね」
拓磨は背が高いからなぁ。顔を見合わせて笑った。家族じゃないけど、家族みたいな距離感の大切な人。家族じゃないから、本音を溢せる人。この家にいる方が、俺は体調がいい。
弓場ママが出かけてから、拓磨の部屋にいた。大きな本棚に、難しそうな本が並ぶ。勉強机の上に飾り棚があり、車のプラモデルが並ぶ。拓磨は実在する車種のプラモデルをたまに作る。ミニカーは嫌いだ、拓磨は昔盛大にすっ転んだから。20歳になったら、免許取るんだろうか。どんな車に乗るんだろう。助手席に乗せてくれるかな。そんなことを考えながら、遠慮せずベットに寝転んだ。弓場家の柔軟剤の匂いがする。酷く眠たくなる匂いだ。いいか、今日はなんもねぇ日だし。なにも出来なくても。掛け布団に身体を滑り込ませて眠った。怖い夢を見るかもなんて、不安もなく。
「ノリ、おい。起きろ」
拓磨の声と、身体が揺さぶられるので目を覚ます。時計を見ると、17時過ぎだった。俺の肩を掴む拓磨の手に触れる。
「おはよぉ。おかえり〜」
「…………ただいま」
拓磨は俺から離れると、勉強机の椅子に腰掛けた。長い足組んで、腕組んで。かっこいいよなぁ。
「将磨、なんか悩んでんの?」
「あ?俺は知らねぇよ」
「そっか」
俺はベットの縁に座って、大きく伸びをしてあくびをした。お前にあくびが伝染る。嬉しくて笑ったら、拓磨は照れ臭そうにした。
「眠い?寝るか?」
「いや、今寝たら夜寝れねぇだろ」
「それもそうか。今日はなにする?」
「お前の好きなことでいい」
「いつもそれじゃんか。俺としたいことないの?」
そう言ったら、拓磨がふっと蝋燭の火が消えるように黙るので。怖くなって顔を見た。拓磨も不安そうな顔をしていて。同じ顔を突き合わせてるけど、腹の中が分からないまま。
「……ノリがしてぇことが、俺のしたいことだよ」
「うん?」
なんで言葉は優しいのに、そんな悲しい顔をするのだろう。拓磨は優しい奴だ。いつだって、俺に合わせてくれる。無理してないかな。俺の側にいるの。
「なんか、無理してねぇ?」
「そんなことねぇよ」
「本当に?」
「俺がお前に嘘言ったこと、あるか」
「…………あるんじゃねぇ?」
「あるか。あったわ」
可笑しくなって、2人で笑う。全ての日々を、君と生きてきたことを思い出す。そうだ、不安なんていらない。必要ない。余計な心配はしない。君が悲しい顔をしても、話してくれるまで待つ。拓磨の喜びも悲しみも、怒りも。分かち合える場所にいたい。そのためにはきっと、黙っていることも必要だ。
「じゃあさ、トランプでもやろうぜ。この前買った2人遊び用の本、あったろ」
「高かったやつなァ」
「な。まぁ2人で割ったから1600円くらいだけど」
俺の家に置く場所はないので、拓磨の部屋に置いていった。本棚を探すが、見当たらない。
「ここだァ」
「あ、そんな上に置いたら俺取れるわけないじゃん!」
「お前が取る必要、ねぇだろォ」
「俺だって1人の時、読みたい!」
「俺の部屋だぞ、ここ」
「拓磨の部屋は俺の部屋!」
「ジャイアンか」
拓磨は俺の頭の上に、分厚いルールブックを置いた。受け取り、ページをめくる。2人遊びのゲーム、こんなにあるんだ。
「せっかくだし、全部やろうぜ」
「当たり前だろ。そのために買ったんだろが」
「じゃあ頭からやるか〜」
2人でひとつの本を覗き込む。だいたいルールを把握して、いざプレイしようと思ったのだが。
「…………トランプは?」
「…………どこやったかなァ」
綺麗好きで整理整頓が得意な拓磨にしては珍しく、部屋からトランプを見つけることが出来ない。昔は、よく遊んでいた気がするのだが。
「トランプ、昔はノリの家のを使ってただろォ」
「えっそうだっけ」
「俺ん家にはねぇよ、多分」
顔を見合わせる。ため息を吐いた。
「俺ん家にもねぇよ」
「いや、捨ててなきゃお前の家にはあんだろ」
「出てくるわけないじゃん!覚えてねぇよ!」
「いい加減、片付けろ!手伝ってやっから」
「いーやーだー」
舌を出して意思表示をすると、拓磨は観念したように笑った。それから、俺の頬をつねる。
「ったく、しょうがねぇなお前は」
「へへへ。ごめん」
「で、どうすんだ?トランプはねぇぞ」
「んー100均でも売ってんだろ?買いに行こうぜ」
俺は立ち上がり、鞄を引っ掴んで。拓磨の家に来ることだけ考えてたから、少しばかり薄着だ。
「拓磨、マフラーとか帽子とか貸して」
「本当にしょうがねぇなお前」
拓磨が寄越すマフラーを首に巻く。ま、100均行くだけだし。ちょい上着とかと色合ってねぇけど、いいっしょ。
「帰りになんか外で食っていくか?」
「えっだったら家に一回帰って自分のマフラーしてくる」
「お前なぁ……」
拓磨にじとっと睨まれてしまった。面倒くさいと思われたかなぁ。でも、おしゃれって身だしなみよ。
「気になるじゃん」
「俺は気にしねぇよ」
「俺が気にする!」
「分かった分かった」
拓磨はため息をひとつ溢して、わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。それから肩を軽く組んで、離れる。
「行くなら早くしろ」
「はいはい」
とりあえず、俺の家に寄って。それから夜の街に。いくつになっても、拓磨の部屋で馬鹿やりたいし拓磨とどこへでも出かけたい。それを願いと気付かないほど、お前のことを信じていた。
「拓磨の家、いこ」
俺はゲーム機と創作用のノートと、鞄に詰め込んで家を出る。斜向かいの一軒家のインターホンを押す。玄関先には、パンジーが植えてあって色とりどりに咲いていた。弓場ママが玄関から顔を出す。
「ノリくん、今日は元気?」
「ぼちぼちだよ〜。弓場ママ、今日も綺麗だね。元気そうでよかった」
「ノリくんは本当に、口上手ね〜」
「そんなことないよ。パンジー、綺麗に咲いたね」
「そうそう〜いろんな種類植えてみたのよね。気づいてくれるのノリくんだけだわ〜」
弓場ママが寒いわよね、ごめんごめんと俺を室内へ入れてくれた。我が家と違い、綺麗に掃除されていて広い。弓場ママがリビングへ行くのについていく。多分、話したいことがあるんだろう。迷いなくソファーに腰掛ける。弓場ママは俺のために紅茶を淹れてくれた。
「将磨がね〜なんか悩んでるみたいなんだけど。私にも拓磨にも話さないのよね」
「それとなく聞いてみますよ」
専業主婦の弓場ママの、話し相手になるのが好きだった。話し相手をしてもらってるのは、俺か。家に1人になる人間同士、昔からの馴染みだから、なにも気にせず話すことが出来る。
「ノリくん、本当に話しやすいわ。いつもありがとうね」
「俺でよければ、いつでも」
「お昼、簡単だけどチャーハンでいい?」
「高菜、いれたいです」
「あれ、最近高菜食べるんだ?」
「拓磨のを横取りしてハマって」
「ふふふ、そうなの」
弓場ママがキッチンへ行くので、俺も立ち上がったが。
「手伝うことないよ。座ってて」
「ありがとうございます。配膳はしますね」
勝手知ったる人の家、チャーハンを装う大皿と、レンゲ。コップを取り出して、水を汲む。テーブルに並べて待つ。弓場ママの手際はいい。すぐに美味しい高菜チャーハンが出来上がった。
「いただきます」
手を合わせる俺を、嬉しそうに弓場ママは見つめた。拓磨も、俺がいただきますをしてると嬉しそうなんだよな。弓場ママのは分かるけど、拓磨はよく分からん。高菜チャーハンを口に運ぶ。母が作るのとは少し違う味だが、確かにこの味もお袋の味なんだ。
「午後から買い物に出かけるけど、ノリくんいてくれていいからね」
「買い物、お手伝いしますか?」
「ううん!いいのよ、気にしないで。拓磨帰ってくるまで待つでしょ?」
「部屋にいれたらなぁと」
「拓磨今日、夕方には帰るって言ってたよ」
「そっか。よかった」
水を飲み干し、ごちそうさまと手を合わせる。皿を下げて、手早く洗い物をした。弓場ママは、やっぱり嬉しそうにしていた。
「ノリくんが息子だったらな〜」
「息子みたいなもんでしょ。それにそんなこと言ったら、拓磨も将磨も可哀想」
「そうなんだけどさ〜」
「俺も母にとっては、出来た息子ではないだろうし」
人と同じように、母が望むように、産まれてくることが出来なかった。母がそのことを責めることはないけれど、大人になる季節を目の前に、俺はまだ悩んでいる。
「そんなことないよ。ノブちゃんにとっても、自慢の息子だよノリくんは」
ノブちゃんとは、母のこと。俺の名前の一文字は、母の宜だ。
「ありがとう、ごめん」
俺が笑うと、弓場ママは俺の頭を撫でた。
「拓磨にはもう、してやれないのよね」
拓磨は背が高いからなぁ。顔を見合わせて笑った。家族じゃないけど、家族みたいな距離感の大切な人。家族じゃないから、本音を溢せる人。この家にいる方が、俺は体調がいい。
弓場ママが出かけてから、拓磨の部屋にいた。大きな本棚に、難しそうな本が並ぶ。勉強机の上に飾り棚があり、車のプラモデルが並ぶ。拓磨は実在する車種のプラモデルをたまに作る。ミニカーは嫌いだ、拓磨は昔盛大にすっ転んだから。20歳になったら、免許取るんだろうか。どんな車に乗るんだろう。助手席に乗せてくれるかな。そんなことを考えながら、遠慮せずベットに寝転んだ。弓場家の柔軟剤の匂いがする。酷く眠たくなる匂いだ。いいか、今日はなんもねぇ日だし。なにも出来なくても。掛け布団に身体を滑り込ませて眠った。怖い夢を見るかもなんて、不安もなく。
「ノリ、おい。起きろ」
拓磨の声と、身体が揺さぶられるので目を覚ます。時計を見ると、17時過ぎだった。俺の肩を掴む拓磨の手に触れる。
「おはよぉ。おかえり〜」
「…………ただいま」
拓磨は俺から離れると、勉強机の椅子に腰掛けた。長い足組んで、腕組んで。かっこいいよなぁ。
「将磨、なんか悩んでんの?」
「あ?俺は知らねぇよ」
「そっか」
俺はベットの縁に座って、大きく伸びをしてあくびをした。お前にあくびが伝染る。嬉しくて笑ったら、拓磨は照れ臭そうにした。
「眠い?寝るか?」
「いや、今寝たら夜寝れねぇだろ」
「それもそうか。今日はなにする?」
「お前の好きなことでいい」
「いつもそれじゃんか。俺としたいことないの?」
そう言ったら、拓磨がふっと蝋燭の火が消えるように黙るので。怖くなって顔を見た。拓磨も不安そうな顔をしていて。同じ顔を突き合わせてるけど、腹の中が分からないまま。
「……ノリがしてぇことが、俺のしたいことだよ」
「うん?」
なんで言葉は優しいのに、そんな悲しい顔をするのだろう。拓磨は優しい奴だ。いつだって、俺に合わせてくれる。無理してないかな。俺の側にいるの。
「なんか、無理してねぇ?」
「そんなことねぇよ」
「本当に?」
「俺がお前に嘘言ったこと、あるか」
「…………あるんじゃねぇ?」
「あるか。あったわ」
可笑しくなって、2人で笑う。全ての日々を、君と生きてきたことを思い出す。そうだ、不安なんていらない。必要ない。余計な心配はしない。君が悲しい顔をしても、話してくれるまで待つ。拓磨の喜びも悲しみも、怒りも。分かち合える場所にいたい。そのためにはきっと、黙っていることも必要だ。
「じゃあさ、トランプでもやろうぜ。この前買った2人遊び用の本、あったろ」
「高かったやつなァ」
「な。まぁ2人で割ったから1600円くらいだけど」
俺の家に置く場所はないので、拓磨の部屋に置いていった。本棚を探すが、見当たらない。
「ここだァ」
「あ、そんな上に置いたら俺取れるわけないじゃん!」
「お前が取る必要、ねぇだろォ」
「俺だって1人の時、読みたい!」
「俺の部屋だぞ、ここ」
「拓磨の部屋は俺の部屋!」
「ジャイアンか」
拓磨は俺の頭の上に、分厚いルールブックを置いた。受け取り、ページをめくる。2人遊びのゲーム、こんなにあるんだ。
「せっかくだし、全部やろうぜ」
「当たり前だろ。そのために買ったんだろが」
「じゃあ頭からやるか〜」
2人でひとつの本を覗き込む。だいたいルールを把握して、いざプレイしようと思ったのだが。
「…………トランプは?」
「…………どこやったかなァ」
綺麗好きで整理整頓が得意な拓磨にしては珍しく、部屋からトランプを見つけることが出来ない。昔は、よく遊んでいた気がするのだが。
「トランプ、昔はノリの家のを使ってただろォ」
「えっそうだっけ」
「俺ん家にはねぇよ、多分」
顔を見合わせる。ため息を吐いた。
「俺ん家にもねぇよ」
「いや、捨ててなきゃお前の家にはあんだろ」
「出てくるわけないじゃん!覚えてねぇよ!」
「いい加減、片付けろ!手伝ってやっから」
「いーやーだー」
舌を出して意思表示をすると、拓磨は観念したように笑った。それから、俺の頬をつねる。
「ったく、しょうがねぇなお前は」
「へへへ。ごめん」
「で、どうすんだ?トランプはねぇぞ」
「んー100均でも売ってんだろ?買いに行こうぜ」
俺は立ち上がり、鞄を引っ掴んで。拓磨の家に来ることだけ考えてたから、少しばかり薄着だ。
「拓磨、マフラーとか帽子とか貸して」
「本当にしょうがねぇなお前」
拓磨が寄越すマフラーを首に巻く。ま、100均行くだけだし。ちょい上着とかと色合ってねぇけど、いいっしょ。
「帰りになんか外で食っていくか?」
「えっだったら家に一回帰って自分のマフラーしてくる」
「お前なぁ……」
拓磨にじとっと睨まれてしまった。面倒くさいと思われたかなぁ。でも、おしゃれって身だしなみよ。
「気になるじゃん」
「俺は気にしねぇよ」
「俺が気にする!」
「分かった分かった」
拓磨はため息をひとつ溢して、わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。それから肩を軽く組んで、離れる。
「行くなら早くしろ」
「はいはい」
とりあえず、俺の家に寄って。それから夜の街に。いくつになっても、拓磨の部屋で馬鹿やりたいし拓磨とどこへでも出かけたい。それを願いと気付かないほど、お前のことを信じていた。
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