「それがオトナでしょ?はいはい」
「んあー……?」
鼻に春の香りが届く。目覚めて身体を起こすと、俺のために黒く染められた寝巻きの、肩のあたりがはだけていた。枕元には春になっても変わらない俺の冬服。レッドベリルに「全部黒がいい」と言った結果、俺だけ寝巻きも制服も更新なし!でも、色が煤けたら新調はしてくれるし、洗濯もしてはくれる。「黒なんて目立つのに変な子」と言われるが、別段自分を変だとは思わない。歳上連中には焦りがねぇからな……いけね、これあんま言わん方がいいこと。
「冬眠、いつ終わったんだろなー」
これも俺だけだが、黒いマスクをする。それから着替えて、先に起きていたレッドベリルの部屋に、寝巻きを返却した。
「寝坊してさーせんした」
「あんたそれ思ってないでしょ……みんなあんた起こさず出てったのよ。少し焦りなさい」
「嘘でーす。ネプチーが起こしたけど、起きなかったから放置したんしょ?」
「ネプチーの声聞こえてたなら起きなさいよ!?」
ケラケラ笑い飛ばして、俺は自分の部屋に剣を取りに行った。んー。今年の春は少し寒いんじゃねーか?20度くらい低いかな。みんなは分かんねーらしいんだわ。鈍いって便利よね。さて、見回りに行くか。俺にペアはいねぇ。余ってねーし。組みたい奴もいねぇし。フォスフォフィライトとは45歳差で歳は近いけど、十と三半じゃ無理だ。三半の暮らしに合わせるつもりもねぇし。少しだけ、可哀想だけどな。
「ボルツのにいちゃんはどっちの方なんかな……」
まぁ今日も遊撃だろ。1番強いしな。池の蓮の葉の上を渡る。水面に写る自分の顔。紫色の髪が陽の光をめちゃくちゃ分散して光る。いやダイヤモンド属って眩しいよね。バイオレットダイヤモンド、バイダー。誰が愛称を考えてくれたんだっけ。やべ、それくらいは覚えておかないと流石に冷たくねぇ?いや、朝礼に出ないだけで不良扱いなのも納得いかんけどもー?合理性感じないから出てないだけで……あー。バイダーって呼び出したの、多分ユークレースだな。朝礼に出ない?って。出ません。
(まぁバイダーって愛称は気に入ってるけどね)
足元の花を踏まないように、でもサクサクと歩く。踏み荒らしてく奴も全然いるけどね。俺は嫌なだけ。まぁ、黒点が出たらそんなこと言ってらんねぇ。でも、緊急時に振り払うからと言って、平時の今も花を踏む理由にはなんねーしな。気温がさっきより上がった。南から温かい風が吹く。目を細めて空を仰いでいると、足元のなにかに突っかかる。下を見て寝ているフォスフォフィライトだと気づいて慌てる。
「おっ…………とぉ!」
咄嗟にフォスの身体を乗り越えるように手をつき、足を腰ごと浮かせて上へ。一回転して、芝生に着地。危ねぇ。割れてないか確かめに戻る。寝てるし。まぁ靴のつま先と腹あたりがすこーしだけ当たっただけだし、多分大丈夫だろ。……三半ってどんくらい脆い?
「あー……」
気になるから、もうしばらくここで待つか。フォスの隣に腰を下ろした。夕方まで起きねぇかもしれねぇけど、俺が起きたこと知ってるのはレッドベリルだけだし。俺も冬眠の時無理に起こされなかったわけですし。今フォスフォフィライトを俺が起こすのは、俺的に筋違いなので。
「あーあー、雲がちょうど出てきたな。月人来るなよー」
流石にフォスフォフィライトを背に戦うのはゴメンだからな。ダイヤモンド属ですから?それなりに鍛錬は積みましたけども。イエローお兄様ほどの脚もない、ボルツのにいちゃんには当然敵わないし。ダイヤモンド?そうねぇあいつはモノの見方が分散してるね。1番光るからねぇ。フォスフォフィライトを見る。浅瀬色の髪が柔い陽光を受け取り、穏やかな風を呼んでいるように感じた。
「いい色だよなぁ」
まぁ色に貴賤なんてありませんが?ぼんやり遠くを見る。孤立?孤独じゃないなら問題ねぇ。問題があるのは、出口のねぇこの生活だろ。海の向こう、月の向こうにはなにがいる。……なにかいるとして、俺だけじゃどうにもならなそうなのが、恐ろしい話ですよこれは。あくびをした。どうだっていいですわ、俺は俺の好きなようにやんだよ。
鼻に春の香りが届く。目覚めて身体を起こすと、俺のために黒く染められた寝巻きの、肩のあたりがはだけていた。枕元には春になっても変わらない俺の冬服。レッドベリルに「全部黒がいい」と言った結果、俺だけ寝巻きも制服も更新なし!でも、色が煤けたら新調はしてくれるし、洗濯もしてはくれる。「黒なんて目立つのに変な子」と言われるが、別段自分を変だとは思わない。歳上連中には焦りがねぇからな……いけね、これあんま言わん方がいいこと。
「冬眠、いつ終わったんだろなー」
これも俺だけだが、黒いマスクをする。それから着替えて、先に起きていたレッドベリルの部屋に、寝巻きを返却した。
「寝坊してさーせんした」
「あんたそれ思ってないでしょ……みんなあんた起こさず出てったのよ。少し焦りなさい」
「嘘でーす。ネプチーが起こしたけど、起きなかったから放置したんしょ?」
「ネプチーの声聞こえてたなら起きなさいよ!?」
ケラケラ笑い飛ばして、俺は自分の部屋に剣を取りに行った。んー。今年の春は少し寒いんじゃねーか?20度くらい低いかな。みんなは分かんねーらしいんだわ。鈍いって便利よね。さて、見回りに行くか。俺にペアはいねぇ。余ってねーし。組みたい奴もいねぇし。フォスフォフィライトとは45歳差で歳は近いけど、十と三半じゃ無理だ。三半の暮らしに合わせるつもりもねぇし。少しだけ、可哀想だけどな。
「ボルツのにいちゃんはどっちの方なんかな……」
まぁ今日も遊撃だろ。1番強いしな。池の蓮の葉の上を渡る。水面に写る自分の顔。紫色の髪が陽の光をめちゃくちゃ分散して光る。いやダイヤモンド属って眩しいよね。バイオレットダイヤモンド、バイダー。誰が愛称を考えてくれたんだっけ。やべ、それくらいは覚えておかないと流石に冷たくねぇ?いや、朝礼に出ないだけで不良扱いなのも納得いかんけどもー?合理性感じないから出てないだけで……あー。バイダーって呼び出したの、多分ユークレースだな。朝礼に出ない?って。出ません。
(まぁバイダーって愛称は気に入ってるけどね)
足元の花を踏まないように、でもサクサクと歩く。踏み荒らしてく奴も全然いるけどね。俺は嫌なだけ。まぁ、黒点が出たらそんなこと言ってらんねぇ。でも、緊急時に振り払うからと言って、平時の今も花を踏む理由にはなんねーしな。気温がさっきより上がった。南から温かい風が吹く。目を細めて空を仰いでいると、足元のなにかに突っかかる。下を見て寝ているフォスフォフィライトだと気づいて慌てる。
「おっ…………とぉ!」
咄嗟にフォスの身体を乗り越えるように手をつき、足を腰ごと浮かせて上へ。一回転して、芝生に着地。危ねぇ。割れてないか確かめに戻る。寝てるし。まぁ靴のつま先と腹あたりがすこーしだけ当たっただけだし、多分大丈夫だろ。……三半ってどんくらい脆い?
「あー……」
気になるから、もうしばらくここで待つか。フォスの隣に腰を下ろした。夕方まで起きねぇかもしれねぇけど、俺が起きたこと知ってるのはレッドベリルだけだし。俺も冬眠の時無理に起こされなかったわけですし。今フォスフォフィライトを俺が起こすのは、俺的に筋違いなので。
「あーあー、雲がちょうど出てきたな。月人来るなよー」
流石にフォスフォフィライトを背に戦うのはゴメンだからな。ダイヤモンド属ですから?それなりに鍛錬は積みましたけども。イエローお兄様ほどの脚もない、ボルツのにいちゃんには当然敵わないし。ダイヤモンド?そうねぇあいつはモノの見方が分散してるね。1番光るからねぇ。フォスフォフィライトを見る。浅瀬色の髪が柔い陽光を受け取り、穏やかな風を呼んでいるように感じた。
「いい色だよなぁ」
まぁ色に貴賤なんてありませんが?ぼんやり遠くを見る。孤立?孤独じゃないなら問題ねぇ。問題があるのは、出口のねぇこの生活だろ。海の向こう、月の向こうにはなにがいる。……なにかいるとして、俺だけじゃどうにもならなそうなのが、恐ろしい話ですよこれは。あくびをした。どうだっていいですわ、俺は俺の好きなようにやんだよ。
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