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芦虎は俺よりお姉ちゃんだけど、とにかく危なっかしくて目が離せない。
「お会計648円になります」
墓参りの帰りに、コンビニで菓子とお茶を買った。半分こしようか、とソフトクリームも。芦虎は財布から千円札1枚と、100円玉と、8円だけ出して呆けている。店員が苦笑いした。
「芦虎、それじゃ400円返ってくる」
「なんで?」
心底不思議そうに俺を見上げている。なんでもかんでもあるかよ。俺は自分の財布を出し、50円玉を追加した。510円、おつりが返ってくる。ほえーっと芦虎は目をぱちくりさせた。そんな大層なことじゃねぇよ。芦虎は510円財布にしまったかと思えば、ずっと小銭入れをがさごそしている。
「ごめん、50円ない」
「いいよそれくらい」
芦虎にさっさと財布を仕舞わせて、ソフトクリームを押しつける。つめたい、と呟きながら芦虎はソフトクリームを吸った。なんか、歯を立てると歯がキンキンするから嫌だと言ってた。兄ちゃんがそれを馬鹿にしてたのをよく覚えている。あークソ兄貴のこと思い出してイライラするな。少し曇りがちの空を見上げて、視線を芦虎に戻すと鼻の頭にクリームをつけていて思わず笑う。芦虎は俺が笑ったのを見て気付いたようで、恥ずかしそうにしている。
「ちょっと、ティッシュ出すから持ってて」
ソフトクリームを渡される。半分くらい食べられたそれを、思いっきり歯を立ててかじる。やっぱソフトクリームは歯ごたえないから、ガリガリくんのが好き。
「やべ、ティッシュ忘れた」
「ハンカチは?」
「それも忘れた」
女子力がねぇ。これも兄貴が言いそうだなと思ってイラっとする。俺は芦虎に優しくしてぇんだよ引っ込んでろ。
「持ってて」
ソフトクリームを返して、自分の鞄を漁る。いつだったか駅前で配られていたティッシュを見つけて、芦虎の鼻の頭を拭いてやる。ありがとう、と芦虎は薄く笑った。芦虎はなんにでもありがとうを言えるいい子だ。
「あと食べていいよ」
芦虎はもう食べないらしい。残すところはコーンだけになったそれを、溢さないように注意しながら食べていく。残った紙を捨てるとこないかな、とゴミ箱を探していたら視界の端で芦虎が躓く。
「あぶねっ」
咄嗟に腕を掴んだ。ぐっ、と引っ張り起こす。芦虎はまたほえーっと口に出し、目を丸くしている。
「びっくりした」
「びっくりしたじゃねぇよ気をつけろ」
「うーんどうやるの?」
そう問われると、言葉に詰まってしまう。別に俺はなにも気にしなくともコケることねぇし。なにに気をつければコケねぇのか、分からない。
「…………足元見て、ちゃんと足上げろ」
「はぁい」
芦虎は言われた通りに足元を見て歩く。素直すぎんだろ。どっちが歳上なんだか分かんねぇ。まぁ別に、芦虎がお姉ちゃんらしくなくても、俺は好きだけどさ。うん。
「っぶね」
また芦虎の腕を引っ張る。芦虎は足元を見過ぎて、今度は前から来る人にぶつかりそうになっている。不器用かよ。芦虎は申し訳なさそうに俺を見上げて、ありがとうと言う。背伸びをして、何故か俺の頭に触れようとするから、少しだけ屈む。芦虎は髪をすくように俺の頭を撫でた。
「さらさら」
「…………」
なんの時間だこれ。くすぐってぇ。なんでこの流れで俺の頭を撫でるんだ。芦虎は時たま、俺の頭とか顔に触れたがる。幼い頃からの癖?いや、むしろ背を追い越してからのが触られてる気がする。ちら、と顔を伺えば、安心したような表情で触れている。まぁ、いいか。芦虎が満足するなら。ちょっと恥ずかしいけど。やがて手が離れていくので、身体を起こした。
「…………手、繋いどけよ」
この流れで手を繋ぐのは、おかしくない。芦虎は素直に手を差し出して、俺のと繋ぐ。ちっせぇ。手がこんだけ小さいなら足も小さいだろうから、確かにコケるかもなぁと思う。ずっと下にある頭を見下ろす。ちっせぇ。ちっせぇから、いろんなことから守ってやんなきゃなんないな。それは俺の務めだろ。
「お会計648円になります」
墓参りの帰りに、コンビニで菓子とお茶を買った。半分こしようか、とソフトクリームも。芦虎は財布から千円札1枚と、100円玉と、8円だけ出して呆けている。店員が苦笑いした。
「芦虎、それじゃ400円返ってくる」
「なんで?」
心底不思議そうに俺を見上げている。なんでもかんでもあるかよ。俺は自分の財布を出し、50円玉を追加した。510円、おつりが返ってくる。ほえーっと芦虎は目をぱちくりさせた。そんな大層なことじゃねぇよ。芦虎は510円財布にしまったかと思えば、ずっと小銭入れをがさごそしている。
「ごめん、50円ない」
「いいよそれくらい」
芦虎にさっさと財布を仕舞わせて、ソフトクリームを押しつける。つめたい、と呟きながら芦虎はソフトクリームを吸った。なんか、歯を立てると歯がキンキンするから嫌だと言ってた。兄ちゃんがそれを馬鹿にしてたのをよく覚えている。あークソ兄貴のこと思い出してイライラするな。少し曇りがちの空を見上げて、視線を芦虎に戻すと鼻の頭にクリームをつけていて思わず笑う。芦虎は俺が笑ったのを見て気付いたようで、恥ずかしそうにしている。
「ちょっと、ティッシュ出すから持ってて」
ソフトクリームを渡される。半分くらい食べられたそれを、思いっきり歯を立ててかじる。やっぱソフトクリームは歯ごたえないから、ガリガリくんのが好き。
「やべ、ティッシュ忘れた」
「ハンカチは?」
「それも忘れた」
女子力がねぇ。これも兄貴が言いそうだなと思ってイラっとする。俺は芦虎に優しくしてぇんだよ引っ込んでろ。
「持ってて」
ソフトクリームを返して、自分の鞄を漁る。いつだったか駅前で配られていたティッシュを見つけて、芦虎の鼻の頭を拭いてやる。ありがとう、と芦虎は薄く笑った。芦虎はなんにでもありがとうを言えるいい子だ。
「あと食べていいよ」
芦虎はもう食べないらしい。残すところはコーンだけになったそれを、溢さないように注意しながら食べていく。残った紙を捨てるとこないかな、とゴミ箱を探していたら視界の端で芦虎が躓く。
「あぶねっ」
咄嗟に腕を掴んだ。ぐっ、と引っ張り起こす。芦虎はまたほえーっと口に出し、目を丸くしている。
「びっくりした」
「びっくりしたじゃねぇよ気をつけろ」
「うーんどうやるの?」
そう問われると、言葉に詰まってしまう。別に俺はなにも気にしなくともコケることねぇし。なにに気をつければコケねぇのか、分からない。
「…………足元見て、ちゃんと足上げろ」
「はぁい」
芦虎は言われた通りに足元を見て歩く。素直すぎんだろ。どっちが歳上なんだか分かんねぇ。まぁ別に、芦虎がお姉ちゃんらしくなくても、俺は好きだけどさ。うん。
「っぶね」
また芦虎の腕を引っ張る。芦虎は足元を見過ぎて、今度は前から来る人にぶつかりそうになっている。不器用かよ。芦虎は申し訳なさそうに俺を見上げて、ありがとうと言う。背伸びをして、何故か俺の頭に触れようとするから、少しだけ屈む。芦虎は髪をすくように俺の頭を撫でた。
「さらさら」
「…………」
なんの時間だこれ。くすぐってぇ。なんでこの流れで俺の頭を撫でるんだ。芦虎は時たま、俺の頭とか顔に触れたがる。幼い頃からの癖?いや、むしろ背を追い越してからのが触られてる気がする。ちら、と顔を伺えば、安心したような表情で触れている。まぁ、いいか。芦虎が満足するなら。ちょっと恥ずかしいけど。やがて手が離れていくので、身体を起こした。
「…………手、繋いどけよ」
この流れで手を繋ぐのは、おかしくない。芦虎は素直に手を差し出して、俺のと繋ぐ。ちっせぇ。手がこんだけ小さいなら足も小さいだろうから、確かにコケるかもなぁと思う。ずっと下にある頭を見下ろす。ちっせぇ。ちっせぇから、いろんなことから守ってやんなきゃなんないな。それは俺の務めだろ。
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