プロトタイプ/蛹
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「俺、明日からいねぇから」
いつものように放課後に会いに行って。玲王先輩があっけらかんとそう呟く。そうなんだ、とビスケットを飲み込むような腹落ち。
「そうですか」
「つーか、多分しばらくいねぇかも!」
流石に詳細を知りたくなり、隣に腰掛けた。玲王先輩は勝手に私の手を取り握る。大きな手だ。この人ならなんだって掴むだろう。
「えっとなー。ブルーロックプロジェクトっていう、世界一のストライカーを生み出す企画に、選ばれた」
「流石です」
「凪が世界一だって、証明しにいく」
それは変じゃないか?とは思ったが。玲王先輩がどこかひずんでゆがんでいるのは、もともと知っているし。むしろ、玲王先輩が好き勝手やった後、跡が私の好物なわけで。今度は玲王先輩、なにするんだろう。
「あ!明日は私と昆虫展に行こうって言ってたじゃないですか」
別に1人でも行ける。あえて貴方と行きたいと主張してみる。玲王先輩は目を丸くしたあと、あーそういえばそうだった!と納得した声を出して。謝罪とばかりに私の頬を撫でた。
「悪りぃ悪りぃ。おっきいプロジェクトみたいでさ、しばらく帰れないし……明日の約束は無理だ!」
「でしょうね」
ちょっとだけ冷たいように見せるけど、頭は玲王先輩に委ねて。玲王先輩は頭を撫でる。貴方の所作の一つ一つ、全部が私の観察対象。知っていますか、優秀な観測者は予報が得意なんですよ?
「明日、ばあやに車出させるから。1人でよかったら、楽しんできてくれ」
「!!え、ブルーロックの見送りは」
「いらねぇよそんなもん。ただ証明しに行くだけだ」
玲王先輩は爽やかに、狡猾な舌を出して、自信満々にそう言って。その余裕、賞味期限そろそろ切れますよって私は知っている。黙っている。それから、賞味期限切れてからも捨てるつもりない。私の兄なのでしょ?御影玲王さん。見透かしても、見捨てはしないよ。
「カッコいいです。応援してます」
「おう任せとけ!」
玲王先輩が私の身体を持ち上げて、膝の上に乗せて。肩をぽんぽん叩きながら、前後に揺れる。玲王先輩は寂しがり屋で甘えん坊。おもちゃは誰かと遊びたい人。凪先輩いるから、大丈夫かな?あれこれ予測して心配したあとは、全部頭のゴミ箱に放り込む。だって、私は妹だから。ただただ、兄の言葉を信じて、進む道を見届けて、違う人生を歩む。それが私。虹富蛍。
「玲王先輩のプレー、見たいです」
「公開試合とかあんのかな?けど、心配しなくてもすぐ見せてやんよ!」
にっと歯を見せて笑った。釣られて、私も笑う。御影玲王のプレイが見たい。凪先輩も好きだけど、私が見たいのは御影玲王という王様の、パーフェクトワールドだ。先輩の望む場所は、そこでしょ?フットボール上に、貴方の世界を描く。それが貴方の夢だよ。
「待ってます、無理しないでくださいね」
夢の名前も、教えない。私の兄だもの、遅くたってちゃんと自分で気付くわ。旋風が木の葉を運んで、身体に絡んだ。もう閉校の時刻。玲王先輩は木の葉を払って、私をおぶって。
「凪と違って、お前は担ぎやすいわ」
そりゃそうですよ。私、貴方に担がれる覚悟ありますもん。貴方が妹と呼んでくれた、それに恥じない人生を。玲王先輩の首元の襟に、きゅっと触れた。ブルーロックプロジェクトで、彼はどこまで走り去ってしまうだろう。けれど心配も不安もないですよ。私は貴方の妹ですから。
いつものように放課後に会いに行って。玲王先輩があっけらかんとそう呟く。そうなんだ、とビスケットを飲み込むような腹落ち。
「そうですか」
「つーか、多分しばらくいねぇかも!」
流石に詳細を知りたくなり、隣に腰掛けた。玲王先輩は勝手に私の手を取り握る。大きな手だ。この人ならなんだって掴むだろう。
「えっとなー。ブルーロックプロジェクトっていう、世界一のストライカーを生み出す企画に、選ばれた」
「流石です」
「凪が世界一だって、証明しにいく」
それは変じゃないか?とは思ったが。玲王先輩がどこかひずんでゆがんでいるのは、もともと知っているし。むしろ、玲王先輩が好き勝手やった後、跡が私の好物なわけで。今度は玲王先輩、なにするんだろう。
「あ!明日は私と昆虫展に行こうって言ってたじゃないですか」
別に1人でも行ける。あえて貴方と行きたいと主張してみる。玲王先輩は目を丸くしたあと、あーそういえばそうだった!と納得した声を出して。謝罪とばかりに私の頬を撫でた。
「悪りぃ悪りぃ。おっきいプロジェクトみたいでさ、しばらく帰れないし……明日の約束は無理だ!」
「でしょうね」
ちょっとだけ冷たいように見せるけど、頭は玲王先輩に委ねて。玲王先輩は頭を撫でる。貴方の所作の一つ一つ、全部が私の観察対象。知っていますか、優秀な観測者は予報が得意なんですよ?
「明日、ばあやに車出させるから。1人でよかったら、楽しんできてくれ」
「!!え、ブルーロックの見送りは」
「いらねぇよそんなもん。ただ証明しに行くだけだ」
玲王先輩は爽やかに、狡猾な舌を出して、自信満々にそう言って。その余裕、賞味期限そろそろ切れますよって私は知っている。黙っている。それから、賞味期限切れてからも捨てるつもりない。私の兄なのでしょ?御影玲王さん。見透かしても、見捨てはしないよ。
「カッコいいです。応援してます」
「おう任せとけ!」
玲王先輩が私の身体を持ち上げて、膝の上に乗せて。肩をぽんぽん叩きながら、前後に揺れる。玲王先輩は寂しがり屋で甘えん坊。おもちゃは誰かと遊びたい人。凪先輩いるから、大丈夫かな?あれこれ予測して心配したあとは、全部頭のゴミ箱に放り込む。だって、私は妹だから。ただただ、兄の言葉を信じて、進む道を見届けて、違う人生を歩む。それが私。虹富蛍。
「玲王先輩のプレー、見たいです」
「公開試合とかあんのかな?けど、心配しなくてもすぐ見せてやんよ!」
にっと歯を見せて笑った。釣られて、私も笑う。御影玲王のプレイが見たい。凪先輩も好きだけど、私が見たいのは御影玲王という王様の、パーフェクトワールドだ。先輩の望む場所は、そこでしょ?フットボール上に、貴方の世界を描く。それが貴方の夢だよ。
「待ってます、無理しないでくださいね」
夢の名前も、教えない。私の兄だもの、遅くたってちゃんと自分で気付くわ。旋風が木の葉を運んで、身体に絡んだ。もう閉校の時刻。玲王先輩は木の葉を払って、私をおぶって。
「凪と違って、お前は担ぎやすいわ」
そりゃそうですよ。私、貴方に担がれる覚悟ありますもん。貴方が妹と呼んでくれた、それに恥じない人生を。玲王先輩の首元の襟に、きゅっと触れた。ブルーロックプロジェクトで、彼はどこまで走り去ってしまうだろう。けれど心配も不安もないですよ。私は貴方の妹ですから。
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