プロトタイプ/蛹
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玲王先輩が白宝高校に進学して。私は中学校で1人になった。特に友達はいないけれど、別段不自由もしていない。授業はちゃんと真面目に聞いて、昼休みには校庭の隅にある花壇に昆虫を探しに行き、放課後はさっさと帰宅する。昆虫たちの世話がある。ひとりぼっちを寂しいとは思わない。ひとりが寂しいと思う時は、誰かと自分を比べている時で、本当のところは寂しいのではなくて苦しいのだと思う。人と違う自分に、自信がなくて迷子になっている時だ。だから、寂しいわけじゃない。私は1人でも大丈夫。
「……??」
校門の方がなにやら賑やかで、人だかりが出来ている。なにも気にせず通り過ぎようとすれば、「蛍さん」と声が聞こえる。そこで初めて、御影コーポレーションのリムジンが止まっていて、ばあやさんに声をかけられたと気づく。
「ばあやさん、こんにちは」
「こんにちは。蛍さん、どうぞお乗りください」
「なぜ?どこかへ行くのですか」
「貴方のお見送りをするように、玲王坊ちゃんから仰せつかっております」
ふむ。私は顎に手をあてて、少し考えた。ばあやさんは急かさずに待ってくれる。玲王先輩がわざわざ、私のために用意してくれたのは分かる。私のことが心配なんだろうということも分かる。けれども、そんなに心配されるほど私はか弱くないし、別に家までもそんなに遠いわけじゃない。なにより、ばあやさんがこちらにいるという事は、玲王先輩の足がないのではないか。玲王先輩は、帰り道どうするのだろう。
「玲王先輩は、どうしてるんですか?」
「坊ちゃんは最近部活動をなさってから帰りますので、ご心配にはおよびませんよ。蛍さんを見送ったあとのお迎えで充分間に合います」
なるほど、ふむ。そういうことなら、厄介になってもいいのかもしれないが。
「ばあやさん、30分だけ時間をいただいてもいいですか?」
「構いませんが、いかがされましたか?」
「あのですね、」
私が提案すると、ばあやさんは優しく微笑んだ。
「それでは、一度蛍さんのお家に行きましょうか」
白宝高校は想像していたよりも広くて、立派な造りの学校だった。偏差値も高かった覚えがある。リムジンが校門の前に止められて、私が降りるのと同時くらいに玲王先輩がやってくる。私の姿を見つけると、玲王先輩は驚きながらも駆け寄ってきた。
「蛍!!なんで!?」
「お迎えが来たのでそのままついてきました」
正確に言えば一度私の家に寄ってもらって、昆虫たちの世話を終えてから改めて車に乗ったのだ。どうしてかって?どうしてだろうか。多分、玲王先輩は寂しがり屋だから会いたがっているんじゃないかな、とか勝手に思ったりしたし。
「なんだよそれ、かわいいやつだな〜」
玲王先輩は嬉しそうに私の頭を撫でて、抱き上げてそのまま車に乗る。私を座らせると、シートベルトしろよと注意する。鼻唄を歌って、機嫌よさそう。そう、私も玲王先輩の明るい表情を見たかったのだ。ひとりでも大丈夫。私も玲王先輩だってそうだろうけど、会えば楽しいのだから会いにきたっていいだろう。サプライズなら尚のこと喜んでもらえたりするよね?玲王先輩の表情を観察すれば、目が合って微笑まれる。どうやら、計算は合っていたようだ。
「蛍は、進級して大変な事はないか?」
「今まで通りですよ。特に問題はありません」
「そっか。なにかあればいつでも俺に言えよ」
玲王先輩は私の頭を撫でて、当然とばかりにそう言う。
「蛍の頭なら、白宝も楽勝だと思うし。受験も心配いらねぇな」
何故だか私の志望校も白宝高校なことになっている。まぁ、別にいいけど。特に希望の高校があるわけじゃないし、変更があれば伝えればいい。今のところは、白宝高校に進学する予定ってことで。
「白宝高校、楽しいですか?」
「まぁ中学と比べて別段に楽しいって事はねぇけど〜」
玲王先輩とのんびりおしゃべりする。きっと私たちは変わっているのだろう。人と比べるのは苦しいから、考えない。ひとりぼっちでも、ふたりきりでも。寂しくはない、先輩がいるから。
「……??」
校門の方がなにやら賑やかで、人だかりが出来ている。なにも気にせず通り過ぎようとすれば、「蛍さん」と声が聞こえる。そこで初めて、御影コーポレーションのリムジンが止まっていて、ばあやさんに声をかけられたと気づく。
「ばあやさん、こんにちは」
「こんにちは。蛍さん、どうぞお乗りください」
「なぜ?どこかへ行くのですか」
「貴方のお見送りをするように、玲王坊ちゃんから仰せつかっております」
ふむ。私は顎に手をあてて、少し考えた。ばあやさんは急かさずに待ってくれる。玲王先輩がわざわざ、私のために用意してくれたのは分かる。私のことが心配なんだろうということも分かる。けれども、そんなに心配されるほど私はか弱くないし、別に家までもそんなに遠いわけじゃない。なにより、ばあやさんがこちらにいるという事は、玲王先輩の足がないのではないか。玲王先輩は、帰り道どうするのだろう。
「玲王先輩は、どうしてるんですか?」
「坊ちゃんは最近部活動をなさってから帰りますので、ご心配にはおよびませんよ。蛍さんを見送ったあとのお迎えで充分間に合います」
なるほど、ふむ。そういうことなら、厄介になってもいいのかもしれないが。
「ばあやさん、30分だけ時間をいただいてもいいですか?」
「構いませんが、いかがされましたか?」
「あのですね、」
私が提案すると、ばあやさんは優しく微笑んだ。
「それでは、一度蛍さんのお家に行きましょうか」
白宝高校は想像していたよりも広くて、立派な造りの学校だった。偏差値も高かった覚えがある。リムジンが校門の前に止められて、私が降りるのと同時くらいに玲王先輩がやってくる。私の姿を見つけると、玲王先輩は驚きながらも駆け寄ってきた。
「蛍!!なんで!?」
「お迎えが来たのでそのままついてきました」
正確に言えば一度私の家に寄ってもらって、昆虫たちの世話を終えてから改めて車に乗ったのだ。どうしてかって?どうしてだろうか。多分、玲王先輩は寂しがり屋だから会いたがっているんじゃないかな、とか勝手に思ったりしたし。
「なんだよそれ、かわいいやつだな〜」
玲王先輩は嬉しそうに私の頭を撫でて、抱き上げてそのまま車に乗る。私を座らせると、シートベルトしろよと注意する。鼻唄を歌って、機嫌よさそう。そう、私も玲王先輩の明るい表情を見たかったのだ。ひとりでも大丈夫。私も玲王先輩だってそうだろうけど、会えば楽しいのだから会いにきたっていいだろう。サプライズなら尚のこと喜んでもらえたりするよね?玲王先輩の表情を観察すれば、目が合って微笑まれる。どうやら、計算は合っていたようだ。
「蛍は、進級して大変な事はないか?」
「今まで通りですよ。特に問題はありません」
「そっか。なにかあればいつでも俺に言えよ」
玲王先輩は私の頭を撫でて、当然とばかりにそう言う。
「蛍の頭なら、白宝も楽勝だと思うし。受験も心配いらねぇな」
何故だか私の志望校も白宝高校なことになっている。まぁ、別にいいけど。特に希望の高校があるわけじゃないし、変更があれば伝えればいい。今のところは、白宝高校に進学する予定ってことで。
「白宝高校、楽しいですか?」
「まぁ中学と比べて別段に楽しいって事はねぇけど〜」
玲王先輩とのんびりおしゃべりする。きっと私たちは変わっているのだろう。人と比べるのは苦しいから、考えない。ひとりぼっちでも、ふたりきりでも。寂しくはない、先輩がいるから。
