プロトタイプ/落書き
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シエスタになると家に押しかけるのが習慣になってしまった。最近は瑠璃さんもなにも言わずに家に招いてくれる。簡単にタパスを作ってくれ、振る舞ってくれた。料理もそれなりに出来るみたいだ。残さず平らげながら、瑠璃さんのことをずっと目で追っていた。部屋の中で、瑠璃さんは特に俺を気にすることもなくテレビを見たり、絵を描いたり、あげくには昼寝したり。気ままに過ごしている。時たま、俺の側に寄ってきて気まぐれに頬に触れる。なんですか、と問う前に離れていく。弄ばれている。悔しいのに、なにもする気が起きない。瑠璃さんの生活する空気の中にいる、乱したくない。あと、なにをしたらいいのかさっぱり分からない。瑠璃さんが窓に背を向けて絵を描くのを、向かいでぼんやりと見つめる。話しかけて、いいだろうか。
「瑠璃さん、あの」
「なあに」
「明後日くらいからイースター休暇ですよね。なにか予定ありますか?」
「特にないのよね。ここのところ可愛こさんが毎日家に来るおかげで」
「えっと……謝った方がいいですか?」
「さてね。冴くんはどう思うの?」
黄金の瞳に見つめられて、思考が止まる。どう?どう思う?
「俺は……毎日瑠璃さんの顔が見れて嬉しい」
「可愛い人。私に悪いとは思わないの?」
「だって瑠璃さん、嫌とは言わないじゃないですか」
「まぁ、ね。言ってないわね」
「……嫌なんですか?」
「さて、ね」
嫌われてるのならあまりにも寂しくて辛い。不安で胸の内が掻き回される。でも、嫌いなら追い返せばいいじゃないか。つれないけれど、この人は俺のことを嫌いなんかじゃない。
「瑠璃さん」
「ん?」
「休みに、デートしてくれませんか」
唇が震えた。何故だか体温が上がった感覚がする。瑠璃さんはキャンバスに絵筆を叩いていたが、手を止めて筆を置いて立ち上がった。こちらに歩いてきて、俺の顎を掬う。蠱惑的な仕草に、息が止まる。
「デートで、なにをするの?」
「え、」
「スマートで素敵な男性には、デートプランがあるものだわ?」
「えっ、と。その」
なにも考えていなかった。とにかく、1日この人と一緒に過ごせればなんでもよかった。近づくことが出来れば、なんだって。でも、それでは瑠璃さんはお気に召さないという。頭を必死に回すが、どうしたらこの人が喜ぶのかが分からない。俺がこの人となにをしたいのかも。黙っている俺を見かねて、瑠璃さんはゆるく笑みを湛えながら俺の隣に座る。肩に手をやり、覗き込むように俺を見上げる。クラクラする、ドキドキする。余計になにも考えられない。
「冴くん、私のことなにも知らないでしょ?」
「そんな、ことは」
「好きな色は?」
「青ですよね?」
俺が答えたら、瑠璃さんは鳩が豆鉄砲を食ったように驚いた顔をした。大袈裟に驚く顔が可愛くて、キュンとする。
「違いました?」
「いや……合ってるけど。教えてないのによく分かったわね」
「だって瑠璃さん、いつも着てる服に青が入ってる」
今日なんかは、真っ青な襟のブラウスを着ている。思わず襟に触れて撫ぜた。
「似合ってる」
瑠璃さんが恥ずかしそうに視線を逸らして。ほんのり、頬が赤く染まっている。愛らしくてうっとりとしてしまう。
「と、ともかく!私の喜ぶことなにも知らないのに、デートのお誘いなんて一万年早いわ!」
「デートするまで一万年、一緒にいてくれるのか」
「もう!そういうことじゃない!」
瑠璃さんはペースを乱されて、ぷりぷり怒っている。あやすように額に触れて撫でてあげたら、俯いて黙った。この人になんだってしてあげたいな。喜ぶこと、なんだって。
「…………私も冴くんのこと、知りたい」
「うん?」
「デートは、男女がどちらとも楽しめなくちゃダメなの。自分だけ楽しいのはダメ」
「俺は瑠璃さんといられれば多分なんでも楽しいけど」
「……なかなかずるいこと言うね、冴くんは」
瑠璃さんは俺の手を取って、指を絡めて膝に置いた。心臓の脈打つ音が鼓膜の奥で響く。
「私も楽しくなくちゃ、ダメなのよ」
「そうなのか」
「そ。だから、もっとちゃんとお喋りしましょ?」
瑠璃さんが首を傾げて、妖艶な笑みを浮かべる。全部手に入れて、独り占めしたい。瑠璃さんのことしか考えない時間があったら、きっと幸せな気持ちになれる。だから、自分のことを考えるのをやめそうになってしまう。
「ちゃんとお喋りって、どうするんだ?」
「とりあえず、冴くんはもう少し口数を増やしてね?」
「ごめん、頑張る」
瑠璃さんが俺の手を握って離して、次は俺の頬に触れて撫でて。心地よさに目を細めた。知りたいことは山ほどあれど、なにも知らなくても貴方が好きなんです。だから話すのを忘れてしまうんだ。
「瑠璃さん、あの」
「なあに」
「明後日くらいからイースター休暇ですよね。なにか予定ありますか?」
「特にないのよね。ここのところ可愛こさんが毎日家に来るおかげで」
「えっと……謝った方がいいですか?」
「さてね。冴くんはどう思うの?」
黄金の瞳に見つめられて、思考が止まる。どう?どう思う?
「俺は……毎日瑠璃さんの顔が見れて嬉しい」
「可愛い人。私に悪いとは思わないの?」
「だって瑠璃さん、嫌とは言わないじゃないですか」
「まぁ、ね。言ってないわね」
「……嫌なんですか?」
「さて、ね」
嫌われてるのならあまりにも寂しくて辛い。不安で胸の内が掻き回される。でも、嫌いなら追い返せばいいじゃないか。つれないけれど、この人は俺のことを嫌いなんかじゃない。
「瑠璃さん」
「ん?」
「休みに、デートしてくれませんか」
唇が震えた。何故だか体温が上がった感覚がする。瑠璃さんはキャンバスに絵筆を叩いていたが、手を止めて筆を置いて立ち上がった。こちらに歩いてきて、俺の顎を掬う。蠱惑的な仕草に、息が止まる。
「デートで、なにをするの?」
「え、」
「スマートで素敵な男性には、デートプランがあるものだわ?」
「えっ、と。その」
なにも考えていなかった。とにかく、1日この人と一緒に過ごせればなんでもよかった。近づくことが出来れば、なんだって。でも、それでは瑠璃さんはお気に召さないという。頭を必死に回すが、どうしたらこの人が喜ぶのかが分からない。俺がこの人となにをしたいのかも。黙っている俺を見かねて、瑠璃さんはゆるく笑みを湛えながら俺の隣に座る。肩に手をやり、覗き込むように俺を見上げる。クラクラする、ドキドキする。余計になにも考えられない。
「冴くん、私のことなにも知らないでしょ?」
「そんな、ことは」
「好きな色は?」
「青ですよね?」
俺が答えたら、瑠璃さんは鳩が豆鉄砲を食ったように驚いた顔をした。大袈裟に驚く顔が可愛くて、キュンとする。
「違いました?」
「いや……合ってるけど。教えてないのによく分かったわね」
「だって瑠璃さん、いつも着てる服に青が入ってる」
今日なんかは、真っ青な襟のブラウスを着ている。思わず襟に触れて撫ぜた。
「似合ってる」
瑠璃さんが恥ずかしそうに視線を逸らして。ほんのり、頬が赤く染まっている。愛らしくてうっとりとしてしまう。
「と、ともかく!私の喜ぶことなにも知らないのに、デートのお誘いなんて一万年早いわ!」
「デートするまで一万年、一緒にいてくれるのか」
「もう!そういうことじゃない!」
瑠璃さんはペースを乱されて、ぷりぷり怒っている。あやすように額に触れて撫でてあげたら、俯いて黙った。この人になんだってしてあげたいな。喜ぶこと、なんだって。
「…………私も冴くんのこと、知りたい」
「うん?」
「デートは、男女がどちらとも楽しめなくちゃダメなの。自分だけ楽しいのはダメ」
「俺は瑠璃さんといられれば多分なんでも楽しいけど」
「……なかなかずるいこと言うね、冴くんは」
瑠璃さんは俺の手を取って、指を絡めて膝に置いた。心臓の脈打つ音が鼓膜の奥で響く。
「私も楽しくなくちゃ、ダメなのよ」
「そうなのか」
「そ。だから、もっとちゃんとお喋りしましょ?」
瑠璃さんが首を傾げて、妖艶な笑みを浮かべる。全部手に入れて、独り占めしたい。瑠璃さんのことしか考えない時間があったら、きっと幸せな気持ちになれる。だから、自分のことを考えるのをやめそうになってしまう。
「ちゃんとお喋りって、どうするんだ?」
「とりあえず、冴くんはもう少し口数を増やしてね?」
「ごめん、頑張る」
瑠璃さんが俺の手を握って離して、次は俺の頬に触れて撫でて。心地よさに目を細めた。知りたいことは山ほどあれど、なにも知らなくても貴方が好きなんです。だから話すのを忘れてしまうんだ。