プロトタイプ/落書き
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「あら?今月の9日は弟さんの誕生日じゃなかったかしら?」
「…………なんで瑠璃さんが俺の弟の誕生日を知ってる」
「だって、ブルーロックプロジェクト参加選手のプロフィール、サイトに置いてあるんだもの」
サッカー選手のプロフィールなんて、どうでもいいだろうに。プレイが全てだ。けれど、瑠璃さんが俺の家族を気にかけてくれたことは、存外嬉しかった。そして、あいつの誕生日なんて忘れていた。自分のが近いことも今更だ。
「連絡のひとつくらい、入れたらどう?」
「必要ない」
瑠璃さんに背を向けて、窓の外を見据えていた。夏の終わり、外は雨らしい。
「あら、冷たいのね」
自分の手のひらの温度を確かめる。首元に触れる。別に温かい。……兄として出来る、最善ではないだろうが、最良は選んでるはずだ。あの時、選んだ。だからもう俺から言うことなんてない。
「……寂しいのね、冴くん」
「!」
瑠璃さんの言葉を拾い、振り向いて目を合わせる。金色の瞳がまばたいて、口元が緩く弧を描いている。
「案外、弟くんも寂しいんじゃないかしら?」
「……寂しさで約束をやり直すほど、子供じゃない」
「あらあら。まだ子供でいてもいいんじゃない?少なくとも、弟さんはまだ子供でしょう?」
「…………」
言い返すことが、出来なくなった。俺よりも凛は、まだ子供か。子供にキツく、当たり過ぎたか。厳しかったか。でもあいつは馬鹿なんだ、俺は一生、お前の味方だってちゃんと言ったのにな。
「冴くん、言葉ってね。油絵の具みたいに重なって、最初のデッサンは見えなくなるのよ」
「…………絵に例えられても、俺には分からないよ」
「嘘つきね」
瑠璃さんは緩く肩を落とし、あくびをして自分の部屋へ行ってしまった。窓の外は、まだ雨。
「ジローさん、ひとつ頼めるか」
俺の優秀なマネージャーは、今から準備するから明日になっちゃうよ、と言った。それで構わないと電話を切った。静かな部屋で自分の呼吸を味わうように、耳を澄ませた。雨音が頑固な絵の具を、洗い流していく気がした。
「…………なんで瑠璃さんが俺の弟の誕生日を知ってる」
「だって、ブルーロックプロジェクト参加選手のプロフィール、サイトに置いてあるんだもの」
サッカー選手のプロフィールなんて、どうでもいいだろうに。プレイが全てだ。けれど、瑠璃さんが俺の家族を気にかけてくれたことは、存外嬉しかった。そして、あいつの誕生日なんて忘れていた。自分のが近いことも今更だ。
「連絡のひとつくらい、入れたらどう?」
「必要ない」
瑠璃さんに背を向けて、窓の外を見据えていた。夏の終わり、外は雨らしい。
「あら、冷たいのね」
自分の手のひらの温度を確かめる。首元に触れる。別に温かい。……兄として出来る、最善ではないだろうが、最良は選んでるはずだ。あの時、選んだ。だからもう俺から言うことなんてない。
「……寂しいのね、冴くん」
「!」
瑠璃さんの言葉を拾い、振り向いて目を合わせる。金色の瞳がまばたいて、口元が緩く弧を描いている。
「案外、弟くんも寂しいんじゃないかしら?」
「……寂しさで約束をやり直すほど、子供じゃない」
「あらあら。まだ子供でいてもいいんじゃない?少なくとも、弟さんはまだ子供でしょう?」
「…………」
言い返すことが、出来なくなった。俺よりも凛は、まだ子供か。子供にキツく、当たり過ぎたか。厳しかったか。でもあいつは馬鹿なんだ、俺は一生、お前の味方だってちゃんと言ったのにな。
「冴くん、言葉ってね。油絵の具みたいに重なって、最初のデッサンは見えなくなるのよ」
「…………絵に例えられても、俺には分からないよ」
「嘘つきね」
瑠璃さんは緩く肩を落とし、あくびをして自分の部屋へ行ってしまった。窓の外は、まだ雨。
「ジローさん、ひとつ頼めるか」
俺の優秀なマネージャーは、今から準備するから明日になっちゃうよ、と言った。それで構わないと電話を切った。静かな部屋で自分の呼吸を味わうように、耳を澄ませた。雨音が頑固な絵の具を、洗い流していく気がした。
