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「瑠璃さん、俺明日誕生日」
「あらあら、余韻のないお誘いだこと。明日が誕生日だからなんなの?」
家のバルコニーで、風に当たる瑠璃さんの隣に立つ。満月が海を照らす。遠く、波の音が聞こえる。
「瑠璃さんこそ、意地悪だぞ。俺が瑠璃さんと一緒にいたいこと、知ってるくせに」
瑠璃さんは猫が鳴くみたいにふふふと口を鳴らす。また負けかな。負けても悔しくない試合など、知らなかった。これを愛しいと言うのだろうか。でも、今日は負けてしまったら、明日泣いてしまいそうだから。思い切って瑠璃さんの手を引いて、胸に抱き留めた。首筋から漏れる香りで、頭がクラクラする。胸の中、瑠璃さんがごそごそと動く。胸を押すので少し身体を離すと、俺に映画の半券を差し出す。明日の午前中、リバイバル上映の「ローマの休日」。
「明日はめいいっぱい、楽しい日にしましょ?冴くんの誕生日だもの」
急に子供みたいにはしゃぐ表情になって、キラキラとするから。余韻なんて埋め尽くすほどの貴方が、俺への最大の贈り物だ。とにかく抱きしめた。気まぐれな瑠璃さんが、逃げ出さないように。明日は誕生日。山ほどの贈り物がマネージャーのところに来るだろうけど、全部瑠璃さんに明け渡してしまってもいいな。贈り物の数だけ、キスしてもらおうか。ジローさんが怒りそう。
「冴くん」
思考が止まり、目を合わせる。瑠璃さんの金色の瞳が少し潤んでて、はちみつみたい。
「どうしたの」
「ううん、内緒」
暴こうとしたら、口付けを喰らった。分かった、内緒は内緒だな。もうしばらく、このままでいよう。瑠璃さんの背を、さらりと撫でる。自分の心音ですら、酔いそうな夜。部屋に入った。満月はカーテンでシャットアウトして。ソファに腰掛けたら、指を絡めて寄り添って。言葉もなく、日付が変わるのを待つ。
「誕生日おめでとう、冴くん」
「…………ありがとう」
貴方の指が俺の頬に触れる。それだけで満ち足りて、どこへでもいけそうな気分になる。俺のろくでもない欲に塗れた人生が、少し洗い流される。ありがとう、瑠璃さん。俺、生まれてきてよかったよ。
「あらあら、余韻のないお誘いだこと。明日が誕生日だからなんなの?」
家のバルコニーで、風に当たる瑠璃さんの隣に立つ。満月が海を照らす。遠く、波の音が聞こえる。
「瑠璃さんこそ、意地悪だぞ。俺が瑠璃さんと一緒にいたいこと、知ってるくせに」
瑠璃さんは猫が鳴くみたいにふふふと口を鳴らす。また負けかな。負けても悔しくない試合など、知らなかった。これを愛しいと言うのだろうか。でも、今日は負けてしまったら、明日泣いてしまいそうだから。思い切って瑠璃さんの手を引いて、胸に抱き留めた。首筋から漏れる香りで、頭がクラクラする。胸の中、瑠璃さんがごそごそと動く。胸を押すので少し身体を離すと、俺に映画の半券を差し出す。明日の午前中、リバイバル上映の「ローマの休日」。
「明日はめいいっぱい、楽しい日にしましょ?冴くんの誕生日だもの」
急に子供みたいにはしゃぐ表情になって、キラキラとするから。余韻なんて埋め尽くすほどの貴方が、俺への最大の贈り物だ。とにかく抱きしめた。気まぐれな瑠璃さんが、逃げ出さないように。明日は誕生日。山ほどの贈り物がマネージャーのところに来るだろうけど、全部瑠璃さんに明け渡してしまってもいいな。贈り物の数だけ、キスしてもらおうか。ジローさんが怒りそう。
「冴くん」
思考が止まり、目を合わせる。瑠璃さんの金色の瞳が少し潤んでて、はちみつみたい。
「どうしたの」
「ううん、内緒」
暴こうとしたら、口付けを喰らった。分かった、内緒は内緒だな。もうしばらく、このままでいよう。瑠璃さんの背を、さらりと撫でる。自分の心音ですら、酔いそうな夜。部屋に入った。満月はカーテンでシャットアウトして。ソファに腰掛けたら、指を絡めて寄り添って。言葉もなく、日付が変わるのを待つ。
「誕生日おめでとう、冴くん」
「…………ありがとう」
貴方の指が俺の頬に触れる。それだけで満ち足りて、どこへでもいけそうな気分になる。俺のろくでもない欲に塗れた人生が、少し洗い流される。ありがとう、瑠璃さん。俺、生まれてきてよかったよ。
