プロトタイプ/落書き
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「そういえば、弟さんに連絡は取らなくていいのかしら?」
U-20戦の次の日、俺の作ったソーセージ入りのオムレツを、食べながら瑠璃さんはなんの意図もなく訊ねる。ただただ不思議そうに、首を傾げた。
「話すことなんてねぇよ」
「ピッチで一声かけてたわよね?」
「それだけで充分だ」
瑠璃さんはそうなの、とひとつこぼして、寂しそうに残りのオムレツを食べた。なんで、瑠璃さんが寂しそうにするのだろうか。
「瑠璃さん、俺なにか変だった?」
「変じゃないわ、いつもの冴くんよ。けどさ、」
瑠璃さんはゆっくり瞬きをして、息を吐いた。それから、自分にも刻み込むよう、はっきり口に出した。
「家族の絆って、そうそう切ってはいけないものよ」
今度は俺が考える番で、手が止まりそうだったからオムレツは手早く平らげた。
「別に切り離したつもりは、ないんだが」
「冷たいんじゃない?なにか理由、あるのかしら?」
雪まじりの雨の中のプレーと、昨日のプレーとがダブって脳内で再生される。あれでよかったと思う。凛は俺を乗り越えた。凛はまだ、サッカーの神様に挑む権利がある。俺みたいな、一生神になれず、誰にも理解されずに進むいばらみちは通らなくていい。俺は凛の神様じゃない。ただ、兄でありたいだけ。何回伝えても、分かんねーバカ弟。
「あら、今少し笑った?」
「いいや?バカな兄弟がいると骨が折れるんだよ」
「そ。いつか紹介してくれる?」
一瞬だけ、時間が止まった。瑠璃さんが将来的な約束をしてくれることは少ない。飛びつきたい。でも、俺は兄として凛を紹介できるのか?憎ませることでしか、愛を差し出せなかった。自分でも分かってる、他のやり方もあった。でも俺には、ああすることしか出来なかった。だって、あの日確かに俺の心は割れたのだから。
「今更、冴くんの弟に私が意地悪すると思う?」
「え」
「あーでも、凛ちゃんもカッコいいわよね。冴くんより背も高くて」
「瑠璃さん」
俺が思わず不機嫌な声を出すと、ね?と小首を傾げた。それから、テーブルを立つと俺の後ろに回って、抱きしめられる。俺はよく分からないまま、瑠璃さんの腕に触れた。
「冴くんは冴くんよ。間違えたりしないわ」
呼吸が凍えていたことに気づく。霜柱を破るように、パリンと割れて熱が灯る。俺の人生は俺のもので。俺は凛の神様じゃない。凛にはまだ、神様を探す時間がたっぷりあるのだから、俺みたいな道は選ばなきゃいいのにな。神はいた。そこへ辿り着く道は、見つけられなかった。なまじ頭がいいもんで、がむしゃらにもなれなかった。でもやめられない。どうせ地獄行きなら、欲の深さを見せつけながら、走れるとこまでは走るさ。
「瑠璃さん、」
「なぁに」
甘い声で、背筋が凍る。この人を地獄へ道連れにする勇気なんて、出るわけもない。愛しています、誰よりも。どうか、どうか。俺のゴールにはこの人を用意して。幸せになりたい。俺の世界で誰かが代弁して泣く。泣くかよ、その程度で。俺は一度、肩を上げて脱力して。瑠璃さんの髪に触れて辿って、キスをした。
「瑠璃さんはまだ、俺のこと描きたい?」
「あら、気分次第ですよそれは」
瑠璃さんと目を合わせる。金箔を貼ったような、蒼い瞳。泣き出しそうになって、顔を離そうとしたら頬に手を添えられて、身動きが出来なくなった。
「大丈夫。なにがあっても、冴くんは冴くんだわ」
「……そう言って、そんなこと言って、あんたは」
最後には俺を1人にするんでしょう。俺が俺を証明するために、竜胆瑠璃はいらないからって。そんなの、あんまりだ。そんなこと言ったら、誰も出逢わないし迷わない。ねぇ、瑠璃さんの証明に、糸師冴が必要だって。言ってくれよ、頼むから。俺が言葉にする前に、瑠璃さんは離れて昼食の後片付けをする。
「瑠璃さん、」
「あとでちゃんと聞くし、喋りたくなくなったら別に忘れるわ」
いつだって逃げ道を用意して。俺のことを迷わせて。神様?竜胆瑠璃のことなんじゃないか?それでもいいと膝を折るのを、我慢しながら走り続けてる。たまには、褒めてくれよ。人は神様の前では、あまりにも無力だよ。
U-20戦の次の日、俺の作ったソーセージ入りのオムレツを、食べながら瑠璃さんはなんの意図もなく訊ねる。ただただ不思議そうに、首を傾げた。
「話すことなんてねぇよ」
「ピッチで一声かけてたわよね?」
「それだけで充分だ」
瑠璃さんはそうなの、とひとつこぼして、寂しそうに残りのオムレツを食べた。なんで、瑠璃さんが寂しそうにするのだろうか。
「瑠璃さん、俺なにか変だった?」
「変じゃないわ、いつもの冴くんよ。けどさ、」
瑠璃さんはゆっくり瞬きをして、息を吐いた。それから、自分にも刻み込むよう、はっきり口に出した。
「家族の絆って、そうそう切ってはいけないものよ」
今度は俺が考える番で、手が止まりそうだったからオムレツは手早く平らげた。
「別に切り離したつもりは、ないんだが」
「冷たいんじゃない?なにか理由、あるのかしら?」
雪まじりの雨の中のプレーと、昨日のプレーとがダブって脳内で再生される。あれでよかったと思う。凛は俺を乗り越えた。凛はまだ、サッカーの神様に挑む権利がある。俺みたいな、一生神になれず、誰にも理解されずに進むいばらみちは通らなくていい。俺は凛の神様じゃない。ただ、兄でありたいだけ。何回伝えても、分かんねーバカ弟。
「あら、今少し笑った?」
「いいや?バカな兄弟がいると骨が折れるんだよ」
「そ。いつか紹介してくれる?」
一瞬だけ、時間が止まった。瑠璃さんが将来的な約束をしてくれることは少ない。飛びつきたい。でも、俺は兄として凛を紹介できるのか?憎ませることでしか、愛を差し出せなかった。自分でも分かってる、他のやり方もあった。でも俺には、ああすることしか出来なかった。だって、あの日確かに俺の心は割れたのだから。
「今更、冴くんの弟に私が意地悪すると思う?」
「え」
「あーでも、凛ちゃんもカッコいいわよね。冴くんより背も高くて」
「瑠璃さん」
俺が思わず不機嫌な声を出すと、ね?と小首を傾げた。それから、テーブルを立つと俺の後ろに回って、抱きしめられる。俺はよく分からないまま、瑠璃さんの腕に触れた。
「冴くんは冴くんよ。間違えたりしないわ」
呼吸が凍えていたことに気づく。霜柱を破るように、パリンと割れて熱が灯る。俺の人生は俺のもので。俺は凛の神様じゃない。凛にはまだ、神様を探す時間がたっぷりあるのだから、俺みたいな道は選ばなきゃいいのにな。神はいた。そこへ辿り着く道は、見つけられなかった。なまじ頭がいいもんで、がむしゃらにもなれなかった。でもやめられない。どうせ地獄行きなら、欲の深さを見せつけながら、走れるとこまでは走るさ。
「瑠璃さん、」
「なぁに」
甘い声で、背筋が凍る。この人を地獄へ道連れにする勇気なんて、出るわけもない。愛しています、誰よりも。どうか、どうか。俺のゴールにはこの人を用意して。幸せになりたい。俺の世界で誰かが代弁して泣く。泣くかよ、その程度で。俺は一度、肩を上げて脱力して。瑠璃さんの髪に触れて辿って、キスをした。
「瑠璃さんはまだ、俺のこと描きたい?」
「あら、気分次第ですよそれは」
瑠璃さんと目を合わせる。金箔を貼ったような、蒼い瞳。泣き出しそうになって、顔を離そうとしたら頬に手を添えられて、身動きが出来なくなった。
「大丈夫。なにがあっても、冴くんは冴くんだわ」
「……そう言って、そんなこと言って、あんたは」
最後には俺を1人にするんでしょう。俺が俺を証明するために、竜胆瑠璃はいらないからって。そんなの、あんまりだ。そんなこと言ったら、誰も出逢わないし迷わない。ねぇ、瑠璃さんの証明に、糸師冴が必要だって。言ってくれよ、頼むから。俺が言葉にする前に、瑠璃さんは離れて昼食の後片付けをする。
「瑠璃さん、」
「あとでちゃんと聞くし、喋りたくなくなったら別に忘れるわ」
いつだって逃げ道を用意して。俺のことを迷わせて。神様?竜胆瑠璃のことなんじゃないか?それでもいいと膝を折るのを、我慢しながら走り続けてる。たまには、褒めてくれよ。人は神様の前では、あまりにも無力だよ。
