プロトタイプ/落書き
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瑠璃さんが退屈しないように、夕方からデートに出かけた。瑠璃さんは毛糸の青いマフラーをして、ベージュのピーコートを着て。足元は、少しだけ踵のある黒いブーツ。耳当てをして、手袋をして完全装備。鼻先が少し赤いのが可愛い。お互いの吐く息が白くて、冷えた空気に溶けていく。
「瑠璃さん」
自分の左手でそーっと、瑠璃さんの右手を攫う。拒まれるかな、今日はどうだろう。瑠璃さんは優しく笑うと、わざわざ手袋を外して俺と繋いだ。胸の内で花が咲いたような嬉しさ。全然、寒くなんかない。瑠璃さんの右手を自分のポッケに仕舞い込んで、上機嫌で歩く。
「どこまでいく?」
「んー特に目的はないなぁ」
「じゃあ駅前まで歩いて、なんか美味しそうなお店あったら入ろう」
「うん!」
瑠璃さんが素直に頷く。恋をしたのは大人の瑠璃さんにかもしれないけれど、今は素直な瑠璃さんをずっと見ていたいなと思う。明るくて気分屋で、ちょっと子供っぽくて。俺の前でだけならいいな。そうじゃないんだろうな。恋の対象からは外れてしまった?隣にいるのに、いつもあれこれ悩んで不安になる。繋いだ手をキュッと握った。握り返してくれたことに、震えるほど安心する。
「瑠璃さん」
「なに?」
「俺って瑠璃さんの恋愛対象に入ってる?」
「……冴くんはまだ子供だからなぁ」
「また言ってる。俺もうとっくに18だけど」
文句をつければ、瑠璃さんは知らないフリで誤魔化そうとする。まったく。ため息が出る。曖昧な関係のまま、一緒に暮らして、手を繋いで歩いて。恋人って、言っていいのか?なんか、それもあんまりしっくりこなくなってきてる。恋人には、なりたいんだけど。
「恋人にはなりたいけど。なんか、恋人ってこんな感じなのか?」
「どゆこと?」
「なんか、こう。瑠璃さんが言う恋人同士ってこんなんじゃないんだろ?」
「そうね。だから冴くんとは恋人じゃないわ」
やっぱそう言われるよな。聞き方が悪かったな。なんだろうな、瑠璃さんの描く恋人像と、俺の求める関係性のズレ?瑠璃さんの描く恋人になりたい時期もあったけど、それを叶えたらつまらない男になって、そのうち捨てられるような気がするんだ。そんなんじゃ嫌だ。俺はずっと、瑠璃さんと一緒にいたい。
「ねぇ瑠璃さん。俺と新しい恋人になろうよ」
「新しい恋人?」
「新しくやり直す、生まれ変われるみたいな恋人」
瑠璃さんは小さく笑った。駅の近くまで来て、人が多くなってきた。瑠璃さんをいっそう引き寄せる。瑠璃さんは、街の明かりをぼんやり眺めて考えている。
「そんなお伽話の魔法みたいなこと、出来る?」
「出来るよ、俺と瑠璃さんなら」
俺の過去も、瑠璃さんの過去も。ゼロにして新しく始めようよ。……全部ゼロなんて、無理かもだけど。でも、忘れられるくらいの魔法は、かけてあげるよ。俺だってそうだから。
「生まれ変わった瑠璃さんも、きっと変わらず素敵」
「………そうね。生まれ変われたら、ね」
瑠璃さんは曖昧な返事を出す。生まれ変われる自信がないんだろう。俺は貴方のせいで変わっていくことは、怖くない。貴方が隣にいるのならば。いつでも卵は割ってあげるから、合図をくれよ。優しく、割るから。
「瑠璃さん」
自分の左手でそーっと、瑠璃さんの右手を攫う。拒まれるかな、今日はどうだろう。瑠璃さんは優しく笑うと、わざわざ手袋を外して俺と繋いだ。胸の内で花が咲いたような嬉しさ。全然、寒くなんかない。瑠璃さんの右手を自分のポッケに仕舞い込んで、上機嫌で歩く。
「どこまでいく?」
「んー特に目的はないなぁ」
「じゃあ駅前まで歩いて、なんか美味しそうなお店あったら入ろう」
「うん!」
瑠璃さんが素直に頷く。恋をしたのは大人の瑠璃さんにかもしれないけれど、今は素直な瑠璃さんをずっと見ていたいなと思う。明るくて気分屋で、ちょっと子供っぽくて。俺の前でだけならいいな。そうじゃないんだろうな。恋の対象からは外れてしまった?隣にいるのに、いつもあれこれ悩んで不安になる。繋いだ手をキュッと握った。握り返してくれたことに、震えるほど安心する。
「瑠璃さん」
「なに?」
「俺って瑠璃さんの恋愛対象に入ってる?」
「……冴くんはまだ子供だからなぁ」
「また言ってる。俺もうとっくに18だけど」
文句をつければ、瑠璃さんは知らないフリで誤魔化そうとする。まったく。ため息が出る。曖昧な関係のまま、一緒に暮らして、手を繋いで歩いて。恋人って、言っていいのか?なんか、それもあんまりしっくりこなくなってきてる。恋人には、なりたいんだけど。
「恋人にはなりたいけど。なんか、恋人ってこんな感じなのか?」
「どゆこと?」
「なんか、こう。瑠璃さんが言う恋人同士ってこんなんじゃないんだろ?」
「そうね。だから冴くんとは恋人じゃないわ」
やっぱそう言われるよな。聞き方が悪かったな。なんだろうな、瑠璃さんの描く恋人像と、俺の求める関係性のズレ?瑠璃さんの描く恋人になりたい時期もあったけど、それを叶えたらつまらない男になって、そのうち捨てられるような気がするんだ。そんなんじゃ嫌だ。俺はずっと、瑠璃さんと一緒にいたい。
「ねぇ瑠璃さん。俺と新しい恋人になろうよ」
「新しい恋人?」
「新しくやり直す、生まれ変われるみたいな恋人」
瑠璃さんは小さく笑った。駅の近くまで来て、人が多くなってきた。瑠璃さんをいっそう引き寄せる。瑠璃さんは、街の明かりをぼんやり眺めて考えている。
「そんなお伽話の魔法みたいなこと、出来る?」
「出来るよ、俺と瑠璃さんなら」
俺の過去も、瑠璃さんの過去も。ゼロにして新しく始めようよ。……全部ゼロなんて、無理かもだけど。でも、忘れられるくらいの魔法は、かけてあげるよ。俺だってそうだから。
「生まれ変わった瑠璃さんも、きっと変わらず素敵」
「………そうね。生まれ変われたら、ね」
瑠璃さんは曖昧な返事を出す。生まれ変われる自信がないんだろう。俺は貴方のせいで変わっていくことは、怖くない。貴方が隣にいるのならば。いつでも卵は割ってあげるから、合図をくれよ。優しく、割るから。