プロトタイプ/落書き
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リビングにヨガマットを敷いて、クールダウンのヨガと瞑想をする。身体も思考も、ほぐすのは大事だ。瑠璃さんが背後のソファーで横になっている。いつものこの時間は眠そうで退屈しているのに、今日は少し様子が違うのは感じていた。でも、なにも聞かなかった。ちょっとした意地の張り合いと、意気地なしだから。相手にされないことが、都合のいい男になってしまうことが、どちらも怖かった。
「さえ〜」
情けない声を出して、背中に覆い被さられて心臓がひっくり返る。と同時に、ヨガの邪魔をされたのにはイラッとする。
「……瑠璃さん」
「…………」
「瑠璃さん?」
黙りこくって、背中からのいたと思えば胴に腕を回され、ぎゅーっと抱きつかれる。どうでもよくなってしまった。ヨガは中断する。まぁ、この人が落ち着いてからやっても構わないのだから。この瞬間を逃したら、瑠璃さんは他の男のところへ行くだろうし。拗ねてしまわれたら、胸が痛む。
「どうしたんです?」
「うー」
「言わねぇと分かんないだろ。いつもあんたが俺に言うんだぞ」
対等じゃないことを咎める。いつも子供扱いする男に甘えてるんだから、説明ぐらい欲しいもんだ。まぁ、なにも聞かないで、と泣きつかれたら、その通りにしてしまうだろうけど。
「……絵が描けないの」
「今日も楽しそうに描いてたぞ、出来はともかく」
「楽しそうに見せてただけで、全然楽しくない」
啜り泣き始めるから、参ってしまう。どうしてやったら、この人は満足するだろう。俺にも、サッカーをやっていて楽しくない瞬間はある。出来ない、と思い悩む時もある。でもそんな時に、人に甘えたいとはあまり思ったことがなく。参考にならない。他の誰かだったら甘ったれるなと突き放すだろうけど、生憎この人にそんなこと出来るわけがない。俺は瑠璃さんが好きだから。
「……どうして欲しいんだ」
瑠璃さんが背中に頬を擦り付けて、長い髪が肌に触れるのでくすぐったい。なんだか忙しない気分になる。心地よさやら昂りやら、迷いだとかがないまぜになって胸を埋める。抱きしめてあげたいが、振り向く勇気は出ない。
「…………ぅ」
「なんでもしてやる」
言っておいて、なにを言われるかが怖い。出来なかったらどうしようと。そんなことが恐ろしくなったことなどない。この人が初めてだ。知らない世界をくれる。サッカーだけの俺は、そのことが今更大事に思えて。サッカーしかやりたくない、サッカーしか俺にはない。そのはずなのに、そうありたいのに。後戻り出来ないはずなのに、どうしても瑠璃さんが知りたい。瑠璃さんがいっそう身を寄せる、じれったくて仕方がない。
「…………だっこ、してほしい」
大人びたあなたのわがままが、あまりにも子供染みていて。吹き出して笑ってしまった。瑠璃さんがパッと離れて逃げる気配がする。たまらず捕まえた。俺と同じように地べたに座らせて、髪を撫で頬を撫でる。金色の瞳は潤んでいる。かわいい、いとしい。瑠璃さんが涙を浮かべながら俺を睨むから、視線から逃れるように正面から抱きとめた。心音が速いのはバレるだろうな。どうでもいいか。好きな気持ちは隠しようがない。
「う〜しんどいよぉ」
「そうか」
瑠璃さんが泣き止むまで、ずっと前後に揺れながら背中を撫でた。遠く懐かしい記憶が甦って消える。瑠璃さんを手に入れたい、俺のものにはしたくない。ずっと一緒にいたい。答えを探しながら、見つからずに夜は更けていく。
「さえ〜」
情けない声を出して、背中に覆い被さられて心臓がひっくり返る。と同時に、ヨガの邪魔をされたのにはイラッとする。
「……瑠璃さん」
「…………」
「瑠璃さん?」
黙りこくって、背中からのいたと思えば胴に腕を回され、ぎゅーっと抱きつかれる。どうでもよくなってしまった。ヨガは中断する。まぁ、この人が落ち着いてからやっても構わないのだから。この瞬間を逃したら、瑠璃さんは他の男のところへ行くだろうし。拗ねてしまわれたら、胸が痛む。
「どうしたんです?」
「うー」
「言わねぇと分かんないだろ。いつもあんたが俺に言うんだぞ」
対等じゃないことを咎める。いつも子供扱いする男に甘えてるんだから、説明ぐらい欲しいもんだ。まぁ、なにも聞かないで、と泣きつかれたら、その通りにしてしまうだろうけど。
「……絵が描けないの」
「今日も楽しそうに描いてたぞ、出来はともかく」
「楽しそうに見せてただけで、全然楽しくない」
啜り泣き始めるから、参ってしまう。どうしてやったら、この人は満足するだろう。俺にも、サッカーをやっていて楽しくない瞬間はある。出来ない、と思い悩む時もある。でもそんな時に、人に甘えたいとはあまり思ったことがなく。参考にならない。他の誰かだったら甘ったれるなと突き放すだろうけど、生憎この人にそんなこと出来るわけがない。俺は瑠璃さんが好きだから。
「……どうして欲しいんだ」
瑠璃さんが背中に頬を擦り付けて、長い髪が肌に触れるのでくすぐったい。なんだか忙しない気分になる。心地よさやら昂りやら、迷いだとかがないまぜになって胸を埋める。抱きしめてあげたいが、振り向く勇気は出ない。
「…………ぅ」
「なんでもしてやる」
言っておいて、なにを言われるかが怖い。出来なかったらどうしようと。そんなことが恐ろしくなったことなどない。この人が初めてだ。知らない世界をくれる。サッカーだけの俺は、そのことが今更大事に思えて。サッカーしかやりたくない、サッカーしか俺にはない。そのはずなのに、そうありたいのに。後戻り出来ないはずなのに、どうしても瑠璃さんが知りたい。瑠璃さんがいっそう身を寄せる、じれったくて仕方がない。
「…………だっこ、してほしい」
大人びたあなたのわがままが、あまりにも子供染みていて。吹き出して笑ってしまった。瑠璃さんがパッと離れて逃げる気配がする。たまらず捕まえた。俺と同じように地べたに座らせて、髪を撫で頬を撫でる。金色の瞳は潤んでいる。かわいい、いとしい。瑠璃さんが涙を浮かべながら俺を睨むから、視線から逃れるように正面から抱きとめた。心音が速いのはバレるだろうな。どうでもいいか。好きな気持ちは隠しようがない。
「う〜しんどいよぉ」
「そうか」
瑠璃さんが泣き止むまで、ずっと前後に揺れながら背中を撫でた。遠く懐かしい記憶が甦って消える。瑠璃さんを手に入れたい、俺のものにはしたくない。ずっと一緒にいたい。答えを探しながら、見つからずに夜は更けていく。