プロトタイプ/落書き
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「瑠璃ちゃんの中にはかいぶつはいる?」
「優先生もその話よくするけど、生憎見当たらないのよね」
そう言う瑠璃ちゃんは、寂しそうだった。瑠璃ちゃんは絵を描くスピードを落とさない。集中してるけど、こっちの話も聞いてる。いい調子なんだろう。土日に東京で遊んで、いいことあったのかな?瑠璃ちゃんは一度家を出ると、なかなか家に帰らない。放浪癖がある。俺ん家と瑠璃ちゃん家は、幼馴染だけどそれなりに距離がある。瑠璃ちゃんが一人で行動出来るようになってから、俺の家に入り浸ることが増えた。俺の母さんは、笑って受け入れてなにも言わない。瑠璃ちゃんの母さんがなんて言ってるのかは知らない。瑠璃ちゃんはお母さんのことが大好きだけど、なるべく距離を取っている気がする。そんな寂しいこと、しなければいいのに。瑠璃ちゃんの中のかいぶつは、きっとすごく弱くって小さくて。でもとびきり、大きな声で泣くんじゃないかと思う。だから瑠璃ちゃんは、必死で口を抑えてる。
「瑠璃ちゃん、しんどくない?」
「いつも楽しい話してるでしょ?」
「うん。俺にだけって、分かってるよ」
俺にだけ、なんでもかんでも話してくれてるのは知ってる。だからこそ、その中から本音を見つけるのに苦労する。あんまりしつこく探してしまうと、きっとなにも話してくれなくなる。だから、どんなことだって笑って相槌を打ってあげないといけない。ちょっとしんどいよ、俺。でも、瑠璃ちゃんには俺だけなのも分かってるから。今は、俺だけ。
「なあに、廻。抱きつかれたら絵が描きづらいわ」
「へへ、ごめん。瑠璃ちゃんの中のかいぶつが寂しいって言うから」
「そんなのいないったら」
瑠璃ちゃんを背中から抱きしめる。ちゃんと聞こえるよ、俺には。瑠璃ちゃんはいつだって、誰といても寂しいんだ。その寂しさが、瑠璃ちゃんのかいぶつ。俺が埋めてあげたいけれど、俺じゃないって言うんだよね。きっと、俺じゃないんだ。そのことが少し残念で、少し安心してる。だって俺に友達が出来た時に、瑠璃ちゃんが泣いてしまうのは嫌だ。瑠璃ちゃんが俺の腕を退かす。瑠璃ちゃんが自分の絵にのめり込んでいく。その瞬間だけ、瑠璃ちゃんのかいぶつは安心して笑うように思う。
「瑠璃ちゃん、好きだよ」
「うん」
聞こえなくなったみたい。俺は瑠璃ちゃんから離れて、真正面から眺めるようにした。時計の秒針の音だけ、部屋に響く。居心地が悪くて、ヘッドフォンで音楽を聴いた。俺も放っておかれると、少し寂しいや。サッカーの次に、母さんの絵が好き。母さんの絵と比べられないくらいに、瑠璃ちゃんが好き。サッカー以外のことは、比べたって仕方ない。同率銀メダルです。瑠璃ちゃんに金メダルをあげられる奴は誰なんだろうな。サッカーしてるかな?そいつとサッカーが出来たら、幸せだなぁって思うんだけど。ちょっと難しいことかな。絵空事だろうか。瑠璃ちゃんがスケッチブックから顔を離した。
「描けた?見せて!」
「うーん」
瑠璃ちゃんは納得いってないような恥ずかしいような、ないまぜになった顔でスケッチブックを差し出した。瑠璃ちゃんの好きなサッカー選手が、繊細なタッチと大胆な線で描かれている。
「俺、こいつとサッカーしたいなぁ」
「そう?上手く描けてる?」
「上手いし、好き」
瑠璃ちゃんは灯った蝋燭みたいに、温かく笑った。こんな瞬間を増やしてあげたいんだ。俺が夢中でサッカーをやった先に、そんな未来があると信じてる。信じることしか出来なくて、ごめん。
「優先生もその話よくするけど、生憎見当たらないのよね」
そう言う瑠璃ちゃんは、寂しそうだった。瑠璃ちゃんは絵を描くスピードを落とさない。集中してるけど、こっちの話も聞いてる。いい調子なんだろう。土日に東京で遊んで、いいことあったのかな?瑠璃ちゃんは一度家を出ると、なかなか家に帰らない。放浪癖がある。俺ん家と瑠璃ちゃん家は、幼馴染だけどそれなりに距離がある。瑠璃ちゃんが一人で行動出来るようになってから、俺の家に入り浸ることが増えた。俺の母さんは、笑って受け入れてなにも言わない。瑠璃ちゃんの母さんがなんて言ってるのかは知らない。瑠璃ちゃんはお母さんのことが大好きだけど、なるべく距離を取っている気がする。そんな寂しいこと、しなければいいのに。瑠璃ちゃんの中のかいぶつは、きっとすごく弱くって小さくて。でもとびきり、大きな声で泣くんじゃないかと思う。だから瑠璃ちゃんは、必死で口を抑えてる。
「瑠璃ちゃん、しんどくない?」
「いつも楽しい話してるでしょ?」
「うん。俺にだけって、分かってるよ」
俺にだけ、なんでもかんでも話してくれてるのは知ってる。だからこそ、その中から本音を見つけるのに苦労する。あんまりしつこく探してしまうと、きっとなにも話してくれなくなる。だから、どんなことだって笑って相槌を打ってあげないといけない。ちょっとしんどいよ、俺。でも、瑠璃ちゃんには俺だけなのも分かってるから。今は、俺だけ。
「なあに、廻。抱きつかれたら絵が描きづらいわ」
「へへ、ごめん。瑠璃ちゃんの中のかいぶつが寂しいって言うから」
「そんなのいないったら」
瑠璃ちゃんを背中から抱きしめる。ちゃんと聞こえるよ、俺には。瑠璃ちゃんはいつだって、誰といても寂しいんだ。その寂しさが、瑠璃ちゃんのかいぶつ。俺が埋めてあげたいけれど、俺じゃないって言うんだよね。きっと、俺じゃないんだ。そのことが少し残念で、少し安心してる。だって俺に友達が出来た時に、瑠璃ちゃんが泣いてしまうのは嫌だ。瑠璃ちゃんが俺の腕を退かす。瑠璃ちゃんが自分の絵にのめり込んでいく。その瞬間だけ、瑠璃ちゃんのかいぶつは安心して笑うように思う。
「瑠璃ちゃん、好きだよ」
「うん」
聞こえなくなったみたい。俺は瑠璃ちゃんから離れて、真正面から眺めるようにした。時計の秒針の音だけ、部屋に響く。居心地が悪くて、ヘッドフォンで音楽を聴いた。俺も放っておかれると、少し寂しいや。サッカーの次に、母さんの絵が好き。母さんの絵と比べられないくらいに、瑠璃ちゃんが好き。サッカー以外のことは、比べたって仕方ない。同率銀メダルです。瑠璃ちゃんに金メダルをあげられる奴は誰なんだろうな。サッカーしてるかな?そいつとサッカーが出来たら、幸せだなぁって思うんだけど。ちょっと難しいことかな。絵空事だろうか。瑠璃ちゃんがスケッチブックから顔を離した。
「描けた?見せて!」
「うーん」
瑠璃ちゃんは納得いってないような恥ずかしいような、ないまぜになった顔でスケッチブックを差し出した。瑠璃ちゃんの好きなサッカー選手が、繊細なタッチと大胆な線で描かれている。
「俺、こいつとサッカーしたいなぁ」
「そう?上手く描けてる?」
「上手いし、好き」
瑠璃ちゃんは灯った蝋燭みたいに、温かく笑った。こんな瞬間を増やしてあげたいんだ。俺が夢中でサッカーをやった先に、そんな未来があると信じてる。信じることしか出来なくて、ごめん。
