プロトタイプ/落書き
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しばらくブルーロックプロジェクトの始動でバタバタしていて忘れていたが、瑠璃から小遣いの催促がない。いや、慎ましく年相応の遊びをしてくれてるならそれに越したことはないが。放っておくと、なにをしでかすか分からないところがある。クソ兄貴そっくりだ。クソ兄貴のことなんて大嫌いだろうに。人間の性や業を感じ、哀れで気の毒に思う。同情なんて欲しくもないだろうが。それに、俺のこの情を同情なんてチンケなものに収めたくもない。俺が瑠璃に金を渡すのは、叔父としての責任からだけじゃない。兄貴の尻拭いのためでは、断じてない。
兄貴は俺より10歳年上で、瑠璃は俺が10歳の時に生まれた。母に連れられて病院まで行き、生まれたばかりの真っ赤な瑠璃を見て、俺は涙が出るほど感動した。懸命に泣いて母を求め、父に見守られ、安心して眠る。その光景が、ひどく美しく神秘的なものに見えた。胸が震えて、眠れないほどだった。人が一人この世に生を受けるということは、とんでもなく大変なことで。自分もそうだったのかと思うと、自分のことも愛しく大事なものに思えた。奇跡なんだと思ったんだ。だから、これから瑠璃の成長を見守ることが出来るのが、楽しみだった。本当に、楽しみだった。
兄貴が瑠璃とその母親を捨てたのは、俺が18歳の時、瑠璃はまだ8歳だった。兄貴は他所に女を作って、その女とも子供を作って瑠璃の元を去った。死んでくれと思った。甥っ子と会わなかったわけではないが、瑠璃に思ったように感動はしなかった。そりゃそうだろう。なんで兄貴みたいな男がのうのうと生きていられるのか、信じられなかった。でも、世の中綺麗なものばかりじゃないということには気づき始めていた。最低で最悪なやつほど、やりたい放題やって成功しているもんだ。エゴイストしか生き残らない。そう悟った、18歳。俺は兄貴じゃなくて、瑠璃の側にいることを選んだ。
瑠璃にしてやれることはなんでもやろう。そう思い、瑠璃の母親にもそう伝えたが、あまり快くは受け入れられなかった。当たり前のことだ。俺はあのクソ兄貴の弟なのだから。だから、ひたすらに頭を下げ、瑠璃と母親と話し、許されるのを待った。許されたくはなかった。そのうち、母親は大事な相談くらいはしてくれるようになり、瑠璃と会うのも承諾してくれた。たまに瑠璃の留守番を見守ってやったり、お出かけに連れていってやったりした。叔父として、いい思いをさせてもらった。元気な時の子供だけ、叱らずに見守れる。いいご身分だ。そのうちあっという間に、瑠璃は歳頃の娘になった。瑠璃が子供を身籠れるようになったことが、怖かった。
瑠璃が男を弄んで流離うのは、兄貴のせいなんだろう。血のせいであり、復讐なんだ。止めたかった。せめてそんなことで金を集めないよう、困らないだけの小遣いを持たせた。その金で男と遊ぶのはどうしようもない。手を焼いた。約束だけ、縋るように結んだ。不幸になるようなことはしないでくれ。幸せになってくれ。瑠璃は困ったように笑いながら頷いただけ。瑠璃も来年には20歳だ。俺の気持ちなんてお構いなしに、大人になってしまうだろう。俺にも俺の人生がある。瑠璃が一人で歩いていけるなら、これほど幸せなこともない。誰だって、究極は一人きりの人生だ。そうだとしても、便りくらいは寄越して欲しいと思うのは、俺のエゴなんだろうか。
瑠璃のことを思い出すと、どうにも感傷的になって時間を食う。困ったものだ。そんなことをしてる時間はない。時間はないから、手早く俺から連絡をして終わらせよう。電話をかけた。まもなく、瑠璃の甘ったるい声が聞こえる。男共が放っておかないのが、それだけで分かる。
『なあに、甚八っちゃん』
「いや、連絡がなかったからな。どうしてるかと思って」
『別に、元気にしてるわよ?』
「………金とか、困って変な男を頼ってないか?」
『頼ってないわ。最近は可愛こさんがなんでも叶えてくれるの』
…………糸師冴なのか?それ。怖くてずっと訊けないでいる。一度だけ、世間では糸師冴と浮いた話があったが。瑠璃からはなにも言わないし、なんならそのニュースは煩わしそうにしていた。だが、なんとなーくそうなんじゃないかって気がする。でも、ハズレだったら俺の印象が悪くなるし。そんなギャンブルはしない。
「そうか。あまりその可愛こさんを困らせるなよ」
『うん、そうするわ。嫌われたくないの』
いい傾向だな。瑠璃が嫌われたくないなんて言うのは、相当珍しい。良好な関係を築けているなら、糸師冴でもなんでもいい。真面目で紳士的な男なら、誰でも。
「そうだな、それがいい。……なにか困ったら、連絡しろ」
『大丈夫よ。甚八っちゃんは昔から心配性ね』
「誰かさんがお転婆すぎるからな。世話が焼ける」
『ふふ、ごめんね』
謝られてしまうと、とんでもなく寂しい気持ちになる。わけもなく申し訳なくて、瑠璃が大人になったんだと実感して。
「……元気なら、なによりだ。また折を見て連絡する」
『うん。またお話聞いて?』
「…………分かった。また今度な」
瑠璃が一生懸命、父親に話していた光景を知っている。今でも代わりになれるのなら、その役を担いたいと思う。それが俺のくだらないエゴであっても、俺はあの日の感動に報いるために竜胆瑠璃を見守り続ける。
兄貴は俺より10歳年上で、瑠璃は俺が10歳の時に生まれた。母に連れられて病院まで行き、生まれたばかりの真っ赤な瑠璃を見て、俺は涙が出るほど感動した。懸命に泣いて母を求め、父に見守られ、安心して眠る。その光景が、ひどく美しく神秘的なものに見えた。胸が震えて、眠れないほどだった。人が一人この世に生を受けるということは、とんでもなく大変なことで。自分もそうだったのかと思うと、自分のことも愛しく大事なものに思えた。奇跡なんだと思ったんだ。だから、これから瑠璃の成長を見守ることが出来るのが、楽しみだった。本当に、楽しみだった。
兄貴が瑠璃とその母親を捨てたのは、俺が18歳の時、瑠璃はまだ8歳だった。兄貴は他所に女を作って、その女とも子供を作って瑠璃の元を去った。死んでくれと思った。甥っ子と会わなかったわけではないが、瑠璃に思ったように感動はしなかった。そりゃそうだろう。なんで兄貴みたいな男がのうのうと生きていられるのか、信じられなかった。でも、世の中綺麗なものばかりじゃないということには気づき始めていた。最低で最悪なやつほど、やりたい放題やって成功しているもんだ。エゴイストしか生き残らない。そう悟った、18歳。俺は兄貴じゃなくて、瑠璃の側にいることを選んだ。
瑠璃にしてやれることはなんでもやろう。そう思い、瑠璃の母親にもそう伝えたが、あまり快くは受け入れられなかった。当たり前のことだ。俺はあのクソ兄貴の弟なのだから。だから、ひたすらに頭を下げ、瑠璃と母親と話し、許されるのを待った。許されたくはなかった。そのうち、母親は大事な相談くらいはしてくれるようになり、瑠璃と会うのも承諾してくれた。たまに瑠璃の留守番を見守ってやったり、お出かけに連れていってやったりした。叔父として、いい思いをさせてもらった。元気な時の子供だけ、叱らずに見守れる。いいご身分だ。そのうちあっという間に、瑠璃は歳頃の娘になった。瑠璃が子供を身籠れるようになったことが、怖かった。
瑠璃が男を弄んで流離うのは、兄貴のせいなんだろう。血のせいであり、復讐なんだ。止めたかった。せめてそんなことで金を集めないよう、困らないだけの小遣いを持たせた。その金で男と遊ぶのはどうしようもない。手を焼いた。約束だけ、縋るように結んだ。不幸になるようなことはしないでくれ。幸せになってくれ。瑠璃は困ったように笑いながら頷いただけ。瑠璃も来年には20歳だ。俺の気持ちなんてお構いなしに、大人になってしまうだろう。俺にも俺の人生がある。瑠璃が一人で歩いていけるなら、これほど幸せなこともない。誰だって、究極は一人きりの人生だ。そうだとしても、便りくらいは寄越して欲しいと思うのは、俺のエゴなんだろうか。
瑠璃のことを思い出すと、どうにも感傷的になって時間を食う。困ったものだ。そんなことをしてる時間はない。時間はないから、手早く俺から連絡をして終わらせよう。電話をかけた。まもなく、瑠璃の甘ったるい声が聞こえる。男共が放っておかないのが、それだけで分かる。
『なあに、甚八っちゃん』
「いや、連絡がなかったからな。どうしてるかと思って」
『別に、元気にしてるわよ?』
「………金とか、困って変な男を頼ってないか?」
『頼ってないわ。最近は可愛こさんがなんでも叶えてくれるの』
…………糸師冴なのか?それ。怖くてずっと訊けないでいる。一度だけ、世間では糸師冴と浮いた話があったが。瑠璃からはなにも言わないし、なんならそのニュースは煩わしそうにしていた。だが、なんとなーくそうなんじゃないかって気がする。でも、ハズレだったら俺の印象が悪くなるし。そんなギャンブルはしない。
「そうか。あまりその可愛こさんを困らせるなよ」
『うん、そうするわ。嫌われたくないの』
いい傾向だな。瑠璃が嫌われたくないなんて言うのは、相当珍しい。良好な関係を築けているなら、糸師冴でもなんでもいい。真面目で紳士的な男なら、誰でも。
「そうだな、それがいい。……なにか困ったら、連絡しろ」
『大丈夫よ。甚八っちゃんは昔から心配性ね』
「誰かさんがお転婆すぎるからな。世話が焼ける」
『ふふ、ごめんね』
謝られてしまうと、とんでもなく寂しい気持ちになる。わけもなく申し訳なくて、瑠璃が大人になったんだと実感して。
「……元気なら、なによりだ。また折を見て連絡する」
『うん。またお話聞いて?』
「…………分かった。また今度な」
瑠璃が一生懸命、父親に話していた光景を知っている。今でも代わりになれるのなら、その役を担いたいと思う。それが俺のくだらないエゴであっても、俺はあの日の感動に報いるために竜胆瑠璃を見守り続ける。
