プロトタイプ/落書き
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(なんか機嫌悪そうだな……)
それくらいは分かるようになった。芸術が上手くいかないのだろうか。蜂楽廻がいないから寂しいのだろうか。俺がいたって、寂しいんだろうか。瑠璃さんは夕飯を食べ終えてから、風呂にも入らずに窓の外を見てる。食事の片付けをして、洗濯物を畳んで。ひとつずつ、こなしておく。瑠璃さんがやってないでしょって言い訳にして、構ってくれないことにならないように。考えられる穴を全部潰して、隣に座る。瑠璃さんは膝を抱えている。なんとなしに、頭を撫でてやる。今日は子供みたいだな。俺といる時、無理に背伸びをしてるように時折、見える。言ったら怒るか、鼻で笑われるだろうけど。でも、俺が思ってる以上にきっと、この人だってまだ子供だ。1人で大人にならないで、一緒に連れていってよ。それか、俺とずっとここで子供でいてくれ。2つ違いなんて、そのうちどんどんどうでもよくなっていくだろ。俺はどうでもいい。瑠璃さんがお姉さんでもお子様でも。瑠璃さんが瑠璃さんなら、全部好きだよ。
「……優しくしないで」
「なんで?」
そんな無茶なオーダー、されても困る。瑠璃さんには優しく触れるって、瑠璃さんが教えてくれたのに。
「泣いちゃいそうだから」
「泣いたらいいだろ。ダメなのか?」
瑠璃さんはいっそう、膝に顔を埋めた。俺はなにも出来ずに頭を撫で続ける。ふわふわだけど、量が多くて重い髪。つやつや。もう少し身体を寄せて、髪に鼻先で触れた。いい匂いがする、安心する匂い。満たされてしまう。瑠璃さんの機嫌が悪いままなのに、俺だけ上機嫌になってしまう。怒られてしまうよな。
「泣くのが嫌なら、散歩にでも行くか?」
「……ん」
瑠璃さんはすっと立ち上がると、部屋に着替えにいって。ドアを開け放したまま、服を脱いでいる。目の端に映って、慌てて見えない位置に移動する。心臓に悪い。……覗き込んだら、なんて言うんだろう。想像して、きゅっと胸が締め付けられる。すけべ、だなんて怒るくらいなら、そのまま部屋に引き摺り込んでくれてもいいのに。いや、なんて言うかなんて本当は分からないけれど。それでも、瑠璃さんは意地悪な男も野蛮な男も嫌いと言うから。信じて、誠実でいる。少しだって汚いと思われたくない。瑠璃さんは綺麗なものが好きだから。そうでしょ。
「行こう」
瑠璃さんは緩いズボンに緩いトレーナーを着て。普段よりだいぶラフだ。他所行きじゃない瑠璃さん。俺と一緒のこの部屋が、帰る家ってことでいいよな。
「なに、もっとオシャレのがよかった?」
「ううん。これがいい」
「なんで嬉しそうなのよ。変な子」
瑠璃さんが呆れたように笑う。変なんかじゃないよ。もっと、もっと気を抜いていいよ。俺にだけ気を許して。瑠璃さんの左手をさらって、自分のポケットに入れる。
「靴履く前から手を繋いだって仕方ないでしょ」
瑠璃さんに言われて気づいて、パッと解放する。靴を履き終えてから、急かすようにして手を繋ぐ。
「ちゃんと繋ぐったら」
瑠璃さんが笑う。今のは子供っぽかったかな。でも、不安なんだよいつだって。いつか知らないところへ勝手に消えてしまうのが。小さくてつまんない男だって笑ったらいい。それでも、あんたとずっと一緒にいられる方法を必死に探してるんだから。
「今日はいい天気ね」
瑠璃さんが星を見上げる。白い息が夜空に吸い込まれていく。冷え込んだ空気で目が冴える。隣の瑠璃さんを見つめる。機嫌、直ったかな。無理してないだろうか。なにも隠さないで欲しい。隠されたら分からないから。雲が出たら星がどこで光ってるか分からなくなるでしょう。空に雲がかかる。いつか必ず、雲の上の景色を見る。瑠璃さんの全てを、この目で見る。だからさ、時間かかるかもしれないけど、離れないでいて欲しくて。瑠璃さんの手を強く握る。どこにも行かないったら、とまた呆れて笑った。嘘にしないで。約束にしてね。なにも言えずに、指を絡めた。
それくらいは分かるようになった。芸術が上手くいかないのだろうか。蜂楽廻がいないから寂しいのだろうか。俺がいたって、寂しいんだろうか。瑠璃さんは夕飯を食べ終えてから、風呂にも入らずに窓の外を見てる。食事の片付けをして、洗濯物を畳んで。ひとつずつ、こなしておく。瑠璃さんがやってないでしょって言い訳にして、構ってくれないことにならないように。考えられる穴を全部潰して、隣に座る。瑠璃さんは膝を抱えている。なんとなしに、頭を撫でてやる。今日は子供みたいだな。俺といる時、無理に背伸びをしてるように時折、見える。言ったら怒るか、鼻で笑われるだろうけど。でも、俺が思ってる以上にきっと、この人だってまだ子供だ。1人で大人にならないで、一緒に連れていってよ。それか、俺とずっとここで子供でいてくれ。2つ違いなんて、そのうちどんどんどうでもよくなっていくだろ。俺はどうでもいい。瑠璃さんがお姉さんでもお子様でも。瑠璃さんが瑠璃さんなら、全部好きだよ。
「……優しくしないで」
「なんで?」
そんな無茶なオーダー、されても困る。瑠璃さんには優しく触れるって、瑠璃さんが教えてくれたのに。
「泣いちゃいそうだから」
「泣いたらいいだろ。ダメなのか?」
瑠璃さんはいっそう、膝に顔を埋めた。俺はなにも出来ずに頭を撫で続ける。ふわふわだけど、量が多くて重い髪。つやつや。もう少し身体を寄せて、髪に鼻先で触れた。いい匂いがする、安心する匂い。満たされてしまう。瑠璃さんの機嫌が悪いままなのに、俺だけ上機嫌になってしまう。怒られてしまうよな。
「泣くのが嫌なら、散歩にでも行くか?」
「……ん」
瑠璃さんはすっと立ち上がると、部屋に着替えにいって。ドアを開け放したまま、服を脱いでいる。目の端に映って、慌てて見えない位置に移動する。心臓に悪い。……覗き込んだら、なんて言うんだろう。想像して、きゅっと胸が締め付けられる。すけべ、だなんて怒るくらいなら、そのまま部屋に引き摺り込んでくれてもいいのに。いや、なんて言うかなんて本当は分からないけれど。それでも、瑠璃さんは意地悪な男も野蛮な男も嫌いと言うから。信じて、誠実でいる。少しだって汚いと思われたくない。瑠璃さんは綺麗なものが好きだから。そうでしょ。
「行こう」
瑠璃さんは緩いズボンに緩いトレーナーを着て。普段よりだいぶラフだ。他所行きじゃない瑠璃さん。俺と一緒のこの部屋が、帰る家ってことでいいよな。
「なに、もっとオシャレのがよかった?」
「ううん。これがいい」
「なんで嬉しそうなのよ。変な子」
瑠璃さんが呆れたように笑う。変なんかじゃないよ。もっと、もっと気を抜いていいよ。俺にだけ気を許して。瑠璃さんの左手をさらって、自分のポケットに入れる。
「靴履く前から手を繋いだって仕方ないでしょ」
瑠璃さんに言われて気づいて、パッと解放する。靴を履き終えてから、急かすようにして手を繋ぐ。
「ちゃんと繋ぐったら」
瑠璃さんが笑う。今のは子供っぽかったかな。でも、不安なんだよいつだって。いつか知らないところへ勝手に消えてしまうのが。小さくてつまんない男だって笑ったらいい。それでも、あんたとずっと一緒にいられる方法を必死に探してるんだから。
「今日はいい天気ね」
瑠璃さんが星を見上げる。白い息が夜空に吸い込まれていく。冷え込んだ空気で目が冴える。隣の瑠璃さんを見つめる。機嫌、直ったかな。無理してないだろうか。なにも隠さないで欲しい。隠されたら分からないから。雲が出たら星がどこで光ってるか分からなくなるでしょう。空に雲がかかる。いつか必ず、雲の上の景色を見る。瑠璃さんの全てを、この目で見る。だからさ、時間かかるかもしれないけど、離れないでいて欲しくて。瑠璃さんの手を強く握る。どこにも行かないったら、とまた呆れて笑った。嘘にしないで。約束にしてね。なにも言えずに、指を絡めた。