序章/プロトタイプ
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なーんか朝から嫌な感じだった。歯磨き粉は切らすし、食卓の花瓶を倒すし。空はどんより曇っていた。ボクはため息をひとつ、いつも通りに着替えて出かけた。ボクだけがいつも通りだとしても驚かない、奇跡で編まれた不幸の舞台で。
レギューレーションに則り、待機時間を待ってトリオン兵を回収する。バムスターとかバンダーなどの身体の大きくて重いものが多かった。特筆することもなかったので、適当に細切れにしてバラしていく。トラックに繋がれたチューブに、掃除機のように吸わせていく。ボクはあくびをした、ひと握り分、退屈だと思った。それと同時に、けたたましい警告音が鳴り響く。警告音の中心地は、ボクの真上。
「総員、車捨ててベイルアウトで帰還!!」
回収班のトリガーは、ほぼベイルアウトしかついてない。車がおしゃかになろうと、それはあとからどうとでも取り戻せる。でも、と新入りが作業の続きをしようとしたから、スコーピオンを投げて、首元を破壊。恐怖で混乱している子は、後ろから抱きしめながら胸元を貫いた。車を囲むモールモッドの群れは、ぎょろぎょろとボクを見る。相変わらず、気味が悪い視線だ。ま、ボクの仕事の舞台は整えたし?あとは好きなだけ付き合ってやるさ。ボクサースタイルで構える。モールモッドが身じろいだら、ボクは3歩踏み込んでコアを砕く。あー両端からにじり寄られるの、めんどくさ。左右のモールモッドの、刃を根本から切り落とす。右のコアを踏み潰して、左のコアはスコーピオンを投げつけて破壊。スコーピオンを再生してるうちに、おびただしい数に群がられる。はーめんどくせぇなおい。
「実力派エリートの手、借りちゃう?」
「あ?」
「まぁ素直に手伝いに来たんだけど」
迅は颯爽と現れたと思えば、素早い動きでモールモッドを始末していった。ボクは眉を寄せて、苛立ちを呼吸に乗せたまま。苛立ちは、トリオン兵にぶつける。20分、平均討伐時間内に、この門は始末がついた。
「ふーおしまいおしまい。保栄さん、ぼんち揚食う?」
「……いらねぇよ」
朝の嫌な感じ、ちゃんと当たった。俺1人でも、ここは対処出来た。俺はこの子供に、サイコロ全部引き渡してる大人どもが、どうしたって許せないんだ。
「保栄さん」
迅が諦めを促すように、柔く温かい声を出した。俺は自分がどんな顔を向けたのか、よく分からない。
「俺のせいじゃないから、俺には優しいと嬉しいし。保栄さんのせいでもないから、なにも気負わないでよ」
「…………ボクは、未来視なんてもんは信じない」
迅は目線を外したが、伸びをしながらボクに耳を傾けた。
「絶対に、お前からサイコロを取り上げてみせるから」
「……残念だけど、そりゃ無理だよ」
「砕いてやる、お前を取り巻く運命だとかのしがらみをさ」
迅は表情の抜け落ちた顔で俺を見た。ゾッとするほど、きれいに見えた。
「俺を子供扱いしている余裕のある奴が、未来視を飛び出したことなんて、一度もないよ」
言葉を返せずに、だけど視線は外さなかった。
「保栄さんが、大人でいたいのは分かる。子供になにも背負わせたくないのも分かってるよ。でも貴方は、俺の救世主ではない」
「………………」
「ま、もう少し肩の力抜いて楽にしてよ。心配しなくても、サイコロは神様から奪ったやつだから。幸せしか、待ってないと思わない?」
1番信用ならないやつだ、と声には出せなかった。遠くで、またサイレンが鳴る。それ以上の言葉はなく、お互いバラバラの方向へ走った。間違っている。ここは間違いだらけのゴミ捨て場。全部、全部取り返して直してやる。迅だって例外じゃない。ボクがやってることは正しいのか?父親が訊ねる。保栄、お前がやってることに正当性はあるかい?
「そんなの、気持ち悪いで充分でショ」
父親は笑った。そうだよ、気持ち悪いから、全部全部お片付けだ。ボクが最初に教わった、親の教えだ。今更、歳下の子供に覆される謂れはないな。雨が降り出した。派手に水だまりを踏み込んで走った。あぁ、今日は調子いいわ。スコーピオンでトリオン兵を切り裂きながら、ひとりで戦う自由を楽しんだ。
レギューレーションに則り、待機時間を待ってトリオン兵を回収する。バムスターとかバンダーなどの身体の大きくて重いものが多かった。特筆することもなかったので、適当に細切れにしてバラしていく。トラックに繋がれたチューブに、掃除機のように吸わせていく。ボクはあくびをした、ひと握り分、退屈だと思った。それと同時に、けたたましい警告音が鳴り響く。警告音の中心地は、ボクの真上。
「総員、車捨ててベイルアウトで帰還!!」
回収班のトリガーは、ほぼベイルアウトしかついてない。車がおしゃかになろうと、それはあとからどうとでも取り戻せる。でも、と新入りが作業の続きをしようとしたから、スコーピオンを投げて、首元を破壊。恐怖で混乱している子は、後ろから抱きしめながら胸元を貫いた。車を囲むモールモッドの群れは、ぎょろぎょろとボクを見る。相変わらず、気味が悪い視線だ。ま、ボクの仕事の舞台は整えたし?あとは好きなだけ付き合ってやるさ。ボクサースタイルで構える。モールモッドが身じろいだら、ボクは3歩踏み込んでコアを砕く。あー両端からにじり寄られるの、めんどくさ。左右のモールモッドの、刃を根本から切り落とす。右のコアを踏み潰して、左のコアはスコーピオンを投げつけて破壊。スコーピオンを再生してるうちに、おびただしい数に群がられる。はーめんどくせぇなおい。
「実力派エリートの手、借りちゃう?」
「あ?」
「まぁ素直に手伝いに来たんだけど」
迅は颯爽と現れたと思えば、素早い動きでモールモッドを始末していった。ボクは眉を寄せて、苛立ちを呼吸に乗せたまま。苛立ちは、トリオン兵にぶつける。20分、平均討伐時間内に、この門は始末がついた。
「ふーおしまいおしまい。保栄さん、ぼんち揚食う?」
「……いらねぇよ」
朝の嫌な感じ、ちゃんと当たった。俺1人でも、ここは対処出来た。俺はこの子供に、サイコロ全部引き渡してる大人どもが、どうしたって許せないんだ。
「保栄さん」
迅が諦めを促すように、柔く温かい声を出した。俺は自分がどんな顔を向けたのか、よく分からない。
「俺のせいじゃないから、俺には優しいと嬉しいし。保栄さんのせいでもないから、なにも気負わないでよ」
「…………ボクは、未来視なんてもんは信じない」
迅は目線を外したが、伸びをしながらボクに耳を傾けた。
「絶対に、お前からサイコロを取り上げてみせるから」
「……残念だけど、そりゃ無理だよ」
「砕いてやる、お前を取り巻く運命だとかのしがらみをさ」
迅は表情の抜け落ちた顔で俺を見た。ゾッとするほど、きれいに見えた。
「俺を子供扱いしている余裕のある奴が、未来視を飛び出したことなんて、一度もないよ」
言葉を返せずに、だけど視線は外さなかった。
「保栄さんが、大人でいたいのは分かる。子供になにも背負わせたくないのも分かってるよ。でも貴方は、俺の救世主ではない」
「………………」
「ま、もう少し肩の力抜いて楽にしてよ。心配しなくても、サイコロは神様から奪ったやつだから。幸せしか、待ってないと思わない?」
1番信用ならないやつだ、と声には出せなかった。遠くで、またサイレンが鳴る。それ以上の言葉はなく、お互いバラバラの方向へ走った。間違っている。ここは間違いだらけのゴミ捨て場。全部、全部取り返して直してやる。迅だって例外じゃない。ボクがやってることは正しいのか?父親が訊ねる。保栄、お前がやってることに正当性はあるかい?
「そんなの、気持ち悪いで充分でショ」
父親は笑った。そうだよ、気持ち悪いから、全部全部お片付けだ。ボクが最初に教わった、親の教えだ。今更、歳下の子供に覆される謂れはないな。雨が降り出した。派手に水だまりを踏み込んで走った。あぁ、今日は調子いいわ。スコーピオンでトリオン兵を切り裂きながら、ひとりで戦う自由を楽しんだ。
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