序章/プロトタイプ
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広報のイベントで大きな公園を借りた。アメニティに嵐山隊指人形なんかを配っていて、少し気恥ずかしい。無料で配ったもんだから、砂かぶって踏みつけられたものをちらほら。別になんとも思わないようにしているが、俺の仕事の正しさってのはいつまでも伝わらないのだろうと思う。正しいのかも、分からないしな。
「Ciao!お疲れさん」
保栄さんは足元の指人形を拾い上げて人差し指に、綺麗で汚れのないものを中指に指してピースした。俺は反応に困って笑いをこぼした。
「よく出来てんジャン。かわいー」
「可愛くても仕方ない気がすんですけどね」
「いやいや、世は美少女戦士よ。プリキュアよ」
「テキトー言ってますね!?」
保栄さんはケラケラ笑う。広報の仕事に文句はないし、手応えも感じる。だが、この人の仕事は?根付さんは放っておけと言う。なにか手を差し伸べなければと思うのは、俺のエゴなのか。
「なァに、考え事してんの?」
「あ、いや……回収班って、今どんな感じです?」
「ま。人は足りてないけど?俺が踏ん張ってればどうにでもなるくらい」
「……それ大問題では?」
「いやいや、まさか!!こんな自由なことはない」
タバコ、いい?とジェスチャーされたので、了承する。タバコの煙は俺をかすめて、どこへともなく染み渡る。
「大丈夫ダヨ、心配しなくても。君は一番星として輝いておいて」
「一番星、ですか」
「そ。身を隠すことも沈むことも許されない。張り付けの一番星さ」
保栄さんと目があって、あまりに慈愛に満ちていたから、ひくっと喉の奥が跳ねた。
「出来そう?」
「出来るかじゃない。俺は最期までやりますよ」
「おっけい。じゃあボクも最後まで逃げない。約束する」
指人形が挟まれた奇怪な右手と、指切りをした。保栄さんはタバコを吸い終えたのか、立ち上がって伸びをした。
「ねェ、ヒーローさん」
自分のことを言われたと気付くのに、数秒を要した。保栄さんが子供が迷ったような笑みを浮かべる。俺は言葉を失って立ち尽くす。
「ボクがヒーローになれなくとも、君がヒーローだから。忘れないで。ボクのことは、どうだっていいからね」
「そんな、」
俺は好き好んでヒーローを名乗ってるわけじゃないし。俺がやることも、保栄さんがやることも、間違いなくヒーローのすることと思うのに。ヒーローなんて名前、つける必要もないはずだ。
「保栄さん」
「ウン?」
「誰がなんと言おうと、俺たちは三門市のヒーローですし。気に食わないなら、俺が新しく名付け親になりますから」
保栄さんは目を丸くして、面食らっていた。それから、声を出して笑って、空を仰いだ。それを見上げる。悪くない。まだ空が落ちてくるだとか、どうしようもない状況じゃない。まだ戦えるんだし。それだけで今は充分じゃないか。
「ねェ嵐山。ヒーローっての、しっくりこないから名付け直していい?」
「お好きにどうぞ」
「おし。今だけは通りすがりの則本保栄と、仕事終わりの嵐山准ってことで」
保栄さんはその場から1番近い自販機でコーヒーを2缶買って、ひとつ投げてよこした。音もならない、柔らかな乾杯をして。
「今日もお疲れさん」
「はい。お疲れさまでした」
救う、なんてとんでもなかった。俺は、この人と仕事がしたい。なんでもない則本保栄の声が、仕事を通せば聞けるかもしれない。そこになんだかワクワクしていた。
「Ciao!お疲れさん」
保栄さんは足元の指人形を拾い上げて人差し指に、綺麗で汚れのないものを中指に指してピースした。俺は反応に困って笑いをこぼした。
「よく出来てんジャン。かわいー」
「可愛くても仕方ない気がすんですけどね」
「いやいや、世は美少女戦士よ。プリキュアよ」
「テキトー言ってますね!?」
保栄さんはケラケラ笑う。広報の仕事に文句はないし、手応えも感じる。だが、この人の仕事は?根付さんは放っておけと言う。なにか手を差し伸べなければと思うのは、俺のエゴなのか。
「なァに、考え事してんの?」
「あ、いや……回収班って、今どんな感じです?」
「ま。人は足りてないけど?俺が踏ん張ってればどうにでもなるくらい」
「……それ大問題では?」
「いやいや、まさか!!こんな自由なことはない」
タバコ、いい?とジェスチャーされたので、了承する。タバコの煙は俺をかすめて、どこへともなく染み渡る。
「大丈夫ダヨ、心配しなくても。君は一番星として輝いておいて」
「一番星、ですか」
「そ。身を隠すことも沈むことも許されない。張り付けの一番星さ」
保栄さんと目があって、あまりに慈愛に満ちていたから、ひくっと喉の奥が跳ねた。
「出来そう?」
「出来るかじゃない。俺は最期までやりますよ」
「おっけい。じゃあボクも最後まで逃げない。約束する」
指人形が挟まれた奇怪な右手と、指切りをした。保栄さんはタバコを吸い終えたのか、立ち上がって伸びをした。
「ねェ、ヒーローさん」
自分のことを言われたと気付くのに、数秒を要した。保栄さんが子供が迷ったような笑みを浮かべる。俺は言葉を失って立ち尽くす。
「ボクがヒーローになれなくとも、君がヒーローだから。忘れないで。ボクのことは、どうだっていいからね」
「そんな、」
俺は好き好んでヒーローを名乗ってるわけじゃないし。俺がやることも、保栄さんがやることも、間違いなくヒーローのすることと思うのに。ヒーローなんて名前、つける必要もないはずだ。
「保栄さん」
「ウン?」
「誰がなんと言おうと、俺たちは三門市のヒーローですし。気に食わないなら、俺が新しく名付け親になりますから」
保栄さんは目を丸くして、面食らっていた。それから、声を出して笑って、空を仰いだ。それを見上げる。悪くない。まだ空が落ちてくるだとか、どうしようもない状況じゃない。まだ戦えるんだし。それだけで今は充分じゃないか。
「ねェ嵐山。ヒーローっての、しっくりこないから名付け直していい?」
「お好きにどうぞ」
「おし。今だけは通りすがりの則本保栄と、仕事終わりの嵐山准ってことで」
保栄さんはその場から1番近い自販機でコーヒーを2缶買って、ひとつ投げてよこした。音もならない、柔らかな乾杯をして。
「今日もお疲れさん」
「はい。お疲れさまでした」
救う、なんてとんでもなかった。俺は、この人と仕事がしたい。なんでもない則本保栄の声が、仕事を通せば聞けるかもしれない。そこになんだかワクワクしていた。
