序章/プロトタイプ
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神も仏も信じちゃいないが、賽銭投げて手を合わせるのが日本人の流儀だ。今日は警戒区域のほど近く、ギリギリ区域内から外れている寂れた神社にきている。華チャンの付き添い。華チャンは賽銭投げてから、じっと何かを祈って、深々と頭を下げた。それから境内の中、大きな木の下のベンチに座った。あまりにも馴染むので、華チャンのお家は元々ここだったのではと錯覚する。それでも、すぐにその邪念は吹き消した。神も仏もいねぇ。いるとしたら、仲良くしない方がいい。運命はあれど、ハッピーエンドは自分の手で掴まなきゃなんない。
「……なにお願いしタ?」
「いつも通りです」
「ソッカ。いつも通り、ネ」
いつも通りなんて、お互いよくは知らないんだけど。あの時病室が一緒だった縁で、華チャンの後見人は実質ボクだ。ボーダーの入隊とか学校への手続きとか、諸々面倒見た。三浦家にも入隊の際は頭を下げに行った。雄太クンがいい子で、とてもよかったなと思っている。それでも、華がボクに話す言葉は、最小限だ。そんなことは分かっている。最大級の甘えなのも知ってる。だから、深くは問い返さない。
「……保栄さんは、」
「うん?」
「流れ星になにをお願いするの?」
話題のちょっとした飛躍。おそらく、神や仏には願わないだろうな、と思われたんだろう。流れ星に願うのなら誰にも責任なんて発生しないしね。
「…………三門の戦争が、終わりますように」
「やっぱり、保栄さんってそうなんだね」
華チャンはサーモスに入れた白湯を飲んでいる。湯気が心許なくなってきた。寒い場所で話し込みすぎたな。立ち上がり、華の手を取る。華奢で細い、綺麗な形の手。これをかなぐり捨てて助けたもの。彼女にはそれしか残らなかった。そこが、彼女の限界だった。ボクは?なにも救えずに右目の視力を落としただけ。やっぱり、神も仏もいやしない。頑張ったら報われるのなら、世界はもう少し明るいはずだ。
「他に寄っておきたいところ、あるカイ?」
「特に目的はないですけど、文房具や書店をぶらぶらしてもいいですか?」
「イイヨ。でも自分の手で部屋に仕舞える分だけね」
「はい」
知識欲を前にすると、途端に年相応の可愛らしい女の子に戻る。華チャンに用意したかった未来の実践。これがあの日の始まりの意味なら、多少はあの悲劇も許せるってんだ。……出来事なんて、所詮は人間が後からラベリングしただけに過ぎないから。
「お昼はドライブスルーのマックがいいです」
「はいはい〜仰せのままに」
ここに幸せが残ったのなら、きっとそれも一つの正解。これからの人生、ボクは生きててよかったと思えるまで、生き続けたいと思う。けどきっとそんな日が来たら、別れが惜しくてすがるだろう。それくらい、ちっぽけな男なのさ。則本保栄という人間は。まぁどうだっていいだろ。今この瞬間が全てだ。過去は振り返らない。たまに掘り出して、確認するだけのもんだ。なにも気負わなくていい。今日のボクは、華チャンの保護者の則本保栄です。
「……なにお願いしタ?」
「いつも通りです」
「ソッカ。いつも通り、ネ」
いつも通りなんて、お互いよくは知らないんだけど。あの時病室が一緒だった縁で、華チャンの後見人は実質ボクだ。ボーダーの入隊とか学校への手続きとか、諸々面倒見た。三浦家にも入隊の際は頭を下げに行った。雄太クンがいい子で、とてもよかったなと思っている。それでも、華がボクに話す言葉は、最小限だ。そんなことは分かっている。最大級の甘えなのも知ってる。だから、深くは問い返さない。
「……保栄さんは、」
「うん?」
「流れ星になにをお願いするの?」
話題のちょっとした飛躍。おそらく、神や仏には願わないだろうな、と思われたんだろう。流れ星に願うのなら誰にも責任なんて発生しないしね。
「…………三門の戦争が、終わりますように」
「やっぱり、保栄さんってそうなんだね」
華チャンはサーモスに入れた白湯を飲んでいる。湯気が心許なくなってきた。寒い場所で話し込みすぎたな。立ち上がり、華の手を取る。華奢で細い、綺麗な形の手。これをかなぐり捨てて助けたもの。彼女にはそれしか残らなかった。そこが、彼女の限界だった。ボクは?なにも救えずに右目の視力を落としただけ。やっぱり、神も仏もいやしない。頑張ったら報われるのなら、世界はもう少し明るいはずだ。
「他に寄っておきたいところ、あるカイ?」
「特に目的はないですけど、文房具や書店をぶらぶらしてもいいですか?」
「イイヨ。でも自分の手で部屋に仕舞える分だけね」
「はい」
知識欲を前にすると、途端に年相応の可愛らしい女の子に戻る。華チャンに用意したかった未来の実践。これがあの日の始まりの意味なら、多少はあの悲劇も許せるってんだ。……出来事なんて、所詮は人間が後からラベリングしただけに過ぎないから。
「お昼はドライブスルーのマックがいいです」
「はいはい〜仰せのままに」
ここに幸せが残ったのなら、きっとそれも一つの正解。これからの人生、ボクは生きててよかったと思えるまで、生き続けたいと思う。けどきっとそんな日が来たら、別れが惜しくてすがるだろう。それくらい、ちっぽけな男なのさ。則本保栄という人間は。まぁどうだっていいだろ。今この瞬間が全てだ。過去は振り返らない。たまに掘り出して、確認するだけのもんだ。なにも気負わなくていい。今日のボクは、華チャンの保護者の則本保栄です。
