弓場と迅の話
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『明日、拓磨も一緒でもいい?』
莉子ちゃんからそう連絡が着た。視えていたので別に驚かない。やっぱりか、ってだけ。いいよ〜と何気なく返す。莉子ちゃんの顔色が曇ることはしたくない、たとえ自分の気持ちを犠牲にしたって。明日の未来に音がつくこと、温度がつくことに胸を躍らせて眠る。別に俺は莉子ちゃんと過ごせればなんでもいい。
「おはよ〜」
待ち合わせ場所に、弓場ちゃんと一緒にやってくる。莉子ちゃんの機嫌は良さそう。楽しそうに道を先導する。そりゃ、莉子ちゃんにとっては大好きな友達に囲まれる日だもんね。嬉しさ2倍くらいにしか思ってないんだろうなぁ。
「…………」
「弓場ちゃん、もうちょっと俺と仲良さそうにして」
睨まれるので、小声でそう小突いて返す。弓場ちゃんはなんで、と目で訴える。
「莉子ちゃんのテンション下がっちゃうでしょ」
「…………分かった」
ため息を吐きながら、そう返される。分かったとは言っても、上手く繕えないんだろうなぁ。俺はそういうの得意だけど、弓場ちゃんだしな。別に俺はそんな弓場ちゃんが嫌いなわけではない。嫌いではないんだ。
「2人とも、お昼なににする?」
莉子ちゃんが背中越しに俺たちを見上げる。莉子ちゃんはちっちゃいから、いつも覗き込むように会話する。
「莉子ちゃんの食べたいものでいいよ」
「拓磨は?」
「……莉子の好きなもんでいい」
「えぇ……他人任せだなぁ」
莉子ちゃんは前を向き、悩み始める。困らせたいわけじゃないんだけど、俺は本当に食に興味が薄くて。好きで食べてるのはぼんち揚くらいのもんで、あとは人と一緒じゃなきゃ適当だし、誰かと食べるご飯しか味しない。
「じゃあさ、駅ビルのフードコートにする?それなら好きなもの選べるし!」
莉子ちゃんなりに気を遣っての選択なんだろうなぁ。俺的には選ぶのが面倒くさいんだけど。それでも、いいよと笑って返した。弓場ちゃんも頷くので、莉子ちゃんは駅に向かって歩く。途中、点滅した信号を渡ろうとして弓場ちゃんに引っ張って止められていた。過保護だなぁ。駅ビルのフードコートに着いて、席を確保する。莉子ちゃんの隣は弓場ちゃん、莉子ちゃんの向かいは俺。3人でいる時はいつもこの位置。
「よし、各自買ってこよ!なに食べようかなぁ」
莉子ちゃんが財布片手に離れるので、ついていく。店は莉子ちゃんと一緒でいいや。莉子ちゃんはだし茶漬けの店とファストフード店を行ったり来たり。俺が後ろをついて歩いてるのに気付いて、顔を上げる。
「迅?決まらないの?」
「莉子ちゃんと一緒がいいなって」
「え〜好きなもの食べなよ」
莉子ちゃんは呆れたように笑う。でも、拒絶したりはしない。俺も笑って返す。莉子ちゃんといる時は、笑顔を作ることが少ない気がする。
「だし茶漬けにします」
莉子ちゃんはごま鯖とあじのたたきのどんぶりにした。うん、生の青魚苦手。俺は鮭といくらのどんぶりにした。注文して、席に戻る。弓場ちゃんは先に席に着いていた。睨まない、睨まないで弓場ちゃん。
「なににしたんだ?」
「だし茶漬け。拓磨は?」
「パンケーキ」
「パンケーキ!?」
思わず会話に口を挟んでしまった。パンケーキて。可愛すぎないか。
「そんな腹減ってねぇんだよ」
「それにしたって可愛くない?」
「なんのパンケーキにしたの?」
「ブルーベリーのクリームチーズ」
「あー美味しそう!ひと口ちょうだい!」
「しょうがねぇな」
はーん、なるほどね。これ狙ってやってるな。弓場ちゃんの顔を見て悟る。幸せそうな顔しちゃって。料理の出来上がりを知らせるアラームが鳴る。莉子ちゃんと取りに行く。パンケーキは焼き上がりに時間がかかるようなので、2人で先に食べ出す。莉子ちゃんは、よく食べるし食べるのが早い。パンケーキが焼ける頃には、粗方食べ終わっていた。
「おら、口開けろ」
「えっ」
「箸でパンケーキは食いにくいだろ」
「う〜っ……」
莉子ちゃんはちらっとこっちを見る。微笑み返すと顔を真っ赤にしたけど、結局弓場ちゃんに言われるがまま口を開けていた。弓場ちゃんがパンケーキを丁寧に食べさせる。満足そうだねぇ。
「ん、美味し」
「そりゃよかった。もうひと口いるか?」
「いい!」
いちゃついちゃってまぁ。……別に莉子ちゃんの隣にいるのは誰でも構わない。俺でも弓場ちゃんでも、他の誰かでも。けれど、弓場ちゃんと結ばれることに関しては、莉子ちゃんが泣く未来が視えているから、許すことは出来ない。どうして泣くのか、分からないのが困ったところだけど。莉子ちゃんが泣く未来が消えるまで、弓場ちゃんに任せるわけにはいかない。
「口の端、クリームついてる」
照れてしまってそっぽを向く莉子ちゃんに、手を伸ばしてクリームを拭い取った。莉子ちゃんは俺とも目を合わせなくなる。可愛いなぁ。
「お手洗い、行ってくる!」
莉子ちゃんが逃げ出したので、しばらく沈黙の時が流れる。弓場ちゃんと視線がかち合う。莉子ちゃんは誰のものでもないよ。お前だけが独占するのは承諾出来ないな。
「……このあとは」
「俺と莉子ちゃんは特に予定決めてないよ」
「俺はメガネが見てぇ」
「また買うの?この前も買ってたでしょ」
「別にいいだろうが」
莉子ちゃんと出かける口実欲しかっただけでしょ、それ。素直になにもなくても一緒にいたいって言えないのかな。俺は言えるけど。
「莉子ちゃんに褒められたメガネ、全部買ってたらキリないよ?」
「…………うるせぇ」
弓場ちゃんが莉子ちゃんのこと好きなのは、痛いほど分かるんだけど。やっぱり気持ちが重すぎるから、莉子ちゃんを傷つけないか不安だよ。
「好きなのも程々にしなよ」
「…………お前には言われたくねぇ」
ちゃんと視ておかなくっちゃ。莉子ちゃんが幸せになるまで。それがみんなの幸せだし。弓場ちゃんから目は離さない。莉子ちゃんの幸せの、トリガーだから。
莉子ちゃんからそう連絡が着た。視えていたので別に驚かない。やっぱりか、ってだけ。いいよ〜と何気なく返す。莉子ちゃんの顔色が曇ることはしたくない、たとえ自分の気持ちを犠牲にしたって。明日の未来に音がつくこと、温度がつくことに胸を躍らせて眠る。別に俺は莉子ちゃんと過ごせればなんでもいい。
「おはよ〜」
待ち合わせ場所に、弓場ちゃんと一緒にやってくる。莉子ちゃんの機嫌は良さそう。楽しそうに道を先導する。そりゃ、莉子ちゃんにとっては大好きな友達に囲まれる日だもんね。嬉しさ2倍くらいにしか思ってないんだろうなぁ。
「…………」
「弓場ちゃん、もうちょっと俺と仲良さそうにして」
睨まれるので、小声でそう小突いて返す。弓場ちゃんはなんで、と目で訴える。
「莉子ちゃんのテンション下がっちゃうでしょ」
「…………分かった」
ため息を吐きながら、そう返される。分かったとは言っても、上手く繕えないんだろうなぁ。俺はそういうの得意だけど、弓場ちゃんだしな。別に俺はそんな弓場ちゃんが嫌いなわけではない。嫌いではないんだ。
「2人とも、お昼なににする?」
莉子ちゃんが背中越しに俺たちを見上げる。莉子ちゃんはちっちゃいから、いつも覗き込むように会話する。
「莉子ちゃんの食べたいものでいいよ」
「拓磨は?」
「……莉子の好きなもんでいい」
「えぇ……他人任せだなぁ」
莉子ちゃんは前を向き、悩み始める。困らせたいわけじゃないんだけど、俺は本当に食に興味が薄くて。好きで食べてるのはぼんち揚くらいのもんで、あとは人と一緒じゃなきゃ適当だし、誰かと食べるご飯しか味しない。
「じゃあさ、駅ビルのフードコートにする?それなら好きなもの選べるし!」
莉子ちゃんなりに気を遣っての選択なんだろうなぁ。俺的には選ぶのが面倒くさいんだけど。それでも、いいよと笑って返した。弓場ちゃんも頷くので、莉子ちゃんは駅に向かって歩く。途中、点滅した信号を渡ろうとして弓場ちゃんに引っ張って止められていた。過保護だなぁ。駅ビルのフードコートに着いて、席を確保する。莉子ちゃんの隣は弓場ちゃん、莉子ちゃんの向かいは俺。3人でいる時はいつもこの位置。
「よし、各自買ってこよ!なに食べようかなぁ」
莉子ちゃんが財布片手に離れるので、ついていく。店は莉子ちゃんと一緒でいいや。莉子ちゃんはだし茶漬けの店とファストフード店を行ったり来たり。俺が後ろをついて歩いてるのに気付いて、顔を上げる。
「迅?決まらないの?」
「莉子ちゃんと一緒がいいなって」
「え〜好きなもの食べなよ」
莉子ちゃんは呆れたように笑う。でも、拒絶したりはしない。俺も笑って返す。莉子ちゃんといる時は、笑顔を作ることが少ない気がする。
「だし茶漬けにします」
莉子ちゃんはごま鯖とあじのたたきのどんぶりにした。うん、生の青魚苦手。俺は鮭といくらのどんぶりにした。注文して、席に戻る。弓場ちゃんは先に席に着いていた。睨まない、睨まないで弓場ちゃん。
「なににしたんだ?」
「だし茶漬け。拓磨は?」
「パンケーキ」
「パンケーキ!?」
思わず会話に口を挟んでしまった。パンケーキて。可愛すぎないか。
「そんな腹減ってねぇんだよ」
「それにしたって可愛くない?」
「なんのパンケーキにしたの?」
「ブルーベリーのクリームチーズ」
「あー美味しそう!ひと口ちょうだい!」
「しょうがねぇな」
はーん、なるほどね。これ狙ってやってるな。弓場ちゃんの顔を見て悟る。幸せそうな顔しちゃって。料理の出来上がりを知らせるアラームが鳴る。莉子ちゃんと取りに行く。パンケーキは焼き上がりに時間がかかるようなので、2人で先に食べ出す。莉子ちゃんは、よく食べるし食べるのが早い。パンケーキが焼ける頃には、粗方食べ終わっていた。
「おら、口開けろ」
「えっ」
「箸でパンケーキは食いにくいだろ」
「う〜っ……」
莉子ちゃんはちらっとこっちを見る。微笑み返すと顔を真っ赤にしたけど、結局弓場ちゃんに言われるがまま口を開けていた。弓場ちゃんがパンケーキを丁寧に食べさせる。満足そうだねぇ。
「ん、美味し」
「そりゃよかった。もうひと口いるか?」
「いい!」
いちゃついちゃってまぁ。……別に莉子ちゃんの隣にいるのは誰でも構わない。俺でも弓場ちゃんでも、他の誰かでも。けれど、弓場ちゃんと結ばれることに関しては、莉子ちゃんが泣く未来が視えているから、許すことは出来ない。どうして泣くのか、分からないのが困ったところだけど。莉子ちゃんが泣く未来が消えるまで、弓場ちゃんに任せるわけにはいかない。
「口の端、クリームついてる」
照れてしまってそっぽを向く莉子ちゃんに、手を伸ばしてクリームを拭い取った。莉子ちゃんは俺とも目を合わせなくなる。可愛いなぁ。
「お手洗い、行ってくる!」
莉子ちゃんが逃げ出したので、しばらく沈黙の時が流れる。弓場ちゃんと視線がかち合う。莉子ちゃんは誰のものでもないよ。お前だけが独占するのは承諾出来ないな。
「……このあとは」
「俺と莉子ちゃんは特に予定決めてないよ」
「俺はメガネが見てぇ」
「また買うの?この前も買ってたでしょ」
「別にいいだろうが」
莉子ちゃんと出かける口実欲しかっただけでしょ、それ。素直になにもなくても一緒にいたいって言えないのかな。俺は言えるけど。
「莉子ちゃんに褒められたメガネ、全部買ってたらキリないよ?」
「…………うるせぇ」
弓場ちゃんが莉子ちゃんのこと好きなのは、痛いほど分かるんだけど。やっぱり気持ちが重すぎるから、莉子ちゃんを傷つけないか不安だよ。
「好きなのも程々にしなよ」
「…………お前には言われたくねぇ」
ちゃんと視ておかなくっちゃ。莉子ちゃんが幸せになるまで。それがみんなの幸せだし。弓場ちゃんから目は離さない。莉子ちゃんの幸せの、トリガーだから。