序章/プロトタイプ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
7月半ば、梅雨がもう少しで明けようかというこの頃。今日は特に予定はなく、早起きの為の朝配信を終えて、お昼の準備をしていた。午後からはなにしようか、考えながら冷凍の炒飯をチンする。なにをしてもいいけど、することに悩む時間。私はそんな時間が苦手だった。個人ランク戦にでも顔を出すかなーとぼんやり考えていると、着信があった。画面を見れば、迅悠一の文字。
「もしもし」
「もしもし?今大丈夫だよね?」
「お昼食べるとこ」
「うんうん。あのさ、午後から嵐山の誕生日買いに行くんだけど、付き合ってくんない?」
「准くんの?いいよー暇だし」
迅も私も、大学には通っていない。迅が暇な時間に、私は都合がつきやすかった。なので、わりと一緒にいることが多い。……暗躍の片棒を担がされることもあるけど。
「じゃあ昼食ったら、味自慢辺りまで出てきてよ」
「分かった。ちょっと待ってて」
電子レンジが鳴り、電話を切る。私はちゃっちゃと炒飯をかき込み、外に出かける支度をした。
「変装しなくていいの?有名人さん」
「いうて三門だけの人気だしね〜。配信は全国だけどラジオだし」
Tシャツに楽ちんなワイドパンツのラフな格好で迅に会う。早速揶揄われた?けれど。どちらともなく街に歩き出す。
「目星ついてるの?」
「いいや?全く」
「外れると准くん、弟妹にあげちゃうからな〜」
前の誕生日、貰ったものを「福が喜びそうだ!」と堂々と横流し宣言をしていた准くんを思い出し、苦笑する。
「頼りにしてるよ?莉子ちゃん」
「私そんなにプレゼントのセンスよくないよ〜。こないだも佐鳥の誕生日祝ったけど……」
「なにあげたの?」
「ハンバーガー2つ、奢っただけ」
自分でも笑ってしまう、センスのなさ。そもそも選んでなくて、悩んだ末に佐鳥に直接訊いて、ハンバーガーに落ち着いたのだ。
「佐鳥喜んだでしょ」
「喜んだけどさ〜なんかさ〜」
「気持ちが大事なんじゃない?」
「うーん」
煮え切らない私の背中を、迅がそっと叩く。気がつけば、ショッピングモールについていた。
「ま、そんな深刻に考えず決めようよ」
「うーん……そうだね」
モールに足を踏み入れる。准くんの欲しがる物はあるだろうか。あれこれと考えながら、店を見て回った。
「分からーん!!」
ショッピングモールを一周し、今はフードコートで休憩中。迅とあれこれ見て回ったけど、ピンとくる物があまりなく。
「100均の冷涼グッズが一番刺さるかなと思ったけど、100均だしね……」
「まぁグレードあげて薬局に売ってるやつならありかもね」
迅はおやつにアメリカンドッグを頬張る。私はLサイズのアイスティーと、ポテトをつまんだ。
「迅からはそれでいいかもしれないけど、私どうしようかな……」
准くんが欲しい物、使ってくれそうな物、邪魔にならない物……あれこれ考えるが、答えが見つからない。毎年悩んで、お菓子にしてしまっている。今年もお菓子でもいいんだけど。
「…………そういえば、莉子ちゃんと歩く時目立つから嫌だって、嵐山言ってたなぁ〜」
突然、迅がわざとらしく話す。
「2人で出かけるの気を使うから、どうしようって言ってたなぁ」
「……変装グッズ、プレゼントしろってこと?」
「さぁ?俺は最近嵐山が言ってたこと言っただけだけど」
しらばっくれる迅に笑ってしまう。迅は人にアドバイスする時、とても気を遣っていると感じる。自分の言ったことで、必要以上に人が動くのが嫌なんだろう。
「ありがと。迅」
「いいえ」
迅がアイスコーヒーを満足気に飲み干す。喜ぶ准くんでも見えたんだろうか。ふと、迅がプレゼント選びに悩むことなんてないことに気づく。だって、なにを選んだら相手が喜ぶかなんて、すぐに分かってしまうだろうに。
「迅、よく考えたら迅が私を呼ぶ必要なくない?プレゼント選び、迷わないでしょ」
そう訊ねれば、迅はちょっと目を見開いたあと、少し切なげに笑った。
「野暮なこと訊くね」
不味いこと訊いただろうか。ちょっと緊張して、アイスティーを口に含んで次の言葉を待つ。
「……こういう時間、大事にしたいんだよ」
迅を傷つけただろうか。不安気に顔を見ると、迅の手が伸びてきて私の頬を摘んだ。
「ひゃ」
「お前は素直に俺といてくれればいいの」
「ひゃい」
返事をすれば、納得したのか手は離れていく。次見た時には、いつものへらっとした笑顔に戻っていた。
「ポテト、少しちょうだい」
「いいよ」
「あ、あと小南の誕生日も買っちゃいたいんだけど」
「小南ちゃんかぁ。迅のが付き合いずっと長いでしょ」
「女の子のことは女の子に訊いた方がいいだろ」
「いやぁ、女の子枠にカウントしてもらっても……」
誕プレ選びは、もう少し続きそうだ。夜まで一緒にいれるだろうか。夕飯も一緒に食べれたらいいな。片付けをしてフードコートを出る。とりあえず、ショッピングモール2周目。
「もしもし」
「もしもし?今大丈夫だよね?」
「お昼食べるとこ」
「うんうん。あのさ、午後から嵐山の誕生日買いに行くんだけど、付き合ってくんない?」
「准くんの?いいよー暇だし」
迅も私も、大学には通っていない。迅が暇な時間に、私は都合がつきやすかった。なので、わりと一緒にいることが多い。……暗躍の片棒を担がされることもあるけど。
「じゃあ昼食ったら、味自慢辺りまで出てきてよ」
「分かった。ちょっと待ってて」
電子レンジが鳴り、電話を切る。私はちゃっちゃと炒飯をかき込み、外に出かける支度をした。
「変装しなくていいの?有名人さん」
「いうて三門だけの人気だしね〜。配信は全国だけどラジオだし」
Tシャツに楽ちんなワイドパンツのラフな格好で迅に会う。早速揶揄われた?けれど。どちらともなく街に歩き出す。
「目星ついてるの?」
「いいや?全く」
「外れると准くん、弟妹にあげちゃうからな〜」
前の誕生日、貰ったものを「福が喜びそうだ!」と堂々と横流し宣言をしていた准くんを思い出し、苦笑する。
「頼りにしてるよ?莉子ちゃん」
「私そんなにプレゼントのセンスよくないよ〜。こないだも佐鳥の誕生日祝ったけど……」
「なにあげたの?」
「ハンバーガー2つ、奢っただけ」
自分でも笑ってしまう、センスのなさ。そもそも選んでなくて、悩んだ末に佐鳥に直接訊いて、ハンバーガーに落ち着いたのだ。
「佐鳥喜んだでしょ」
「喜んだけどさ〜なんかさ〜」
「気持ちが大事なんじゃない?」
「うーん」
煮え切らない私の背中を、迅がそっと叩く。気がつけば、ショッピングモールについていた。
「ま、そんな深刻に考えず決めようよ」
「うーん……そうだね」
モールに足を踏み入れる。准くんの欲しがる物はあるだろうか。あれこれと考えながら、店を見て回った。
「分からーん!!」
ショッピングモールを一周し、今はフードコートで休憩中。迅とあれこれ見て回ったけど、ピンとくる物があまりなく。
「100均の冷涼グッズが一番刺さるかなと思ったけど、100均だしね……」
「まぁグレードあげて薬局に売ってるやつならありかもね」
迅はおやつにアメリカンドッグを頬張る。私はLサイズのアイスティーと、ポテトをつまんだ。
「迅からはそれでいいかもしれないけど、私どうしようかな……」
准くんが欲しい物、使ってくれそうな物、邪魔にならない物……あれこれ考えるが、答えが見つからない。毎年悩んで、お菓子にしてしまっている。今年もお菓子でもいいんだけど。
「…………そういえば、莉子ちゃんと歩く時目立つから嫌だって、嵐山言ってたなぁ〜」
突然、迅がわざとらしく話す。
「2人で出かけるの気を使うから、どうしようって言ってたなぁ」
「……変装グッズ、プレゼントしろってこと?」
「さぁ?俺は最近嵐山が言ってたこと言っただけだけど」
しらばっくれる迅に笑ってしまう。迅は人にアドバイスする時、とても気を遣っていると感じる。自分の言ったことで、必要以上に人が動くのが嫌なんだろう。
「ありがと。迅」
「いいえ」
迅がアイスコーヒーを満足気に飲み干す。喜ぶ准くんでも見えたんだろうか。ふと、迅がプレゼント選びに悩むことなんてないことに気づく。だって、なにを選んだら相手が喜ぶかなんて、すぐに分かってしまうだろうに。
「迅、よく考えたら迅が私を呼ぶ必要なくない?プレゼント選び、迷わないでしょ」
そう訊ねれば、迅はちょっと目を見開いたあと、少し切なげに笑った。
「野暮なこと訊くね」
不味いこと訊いただろうか。ちょっと緊張して、アイスティーを口に含んで次の言葉を待つ。
「……こういう時間、大事にしたいんだよ」
迅を傷つけただろうか。不安気に顔を見ると、迅の手が伸びてきて私の頬を摘んだ。
「ひゃ」
「お前は素直に俺といてくれればいいの」
「ひゃい」
返事をすれば、納得したのか手は離れていく。次見た時には、いつものへらっとした笑顔に戻っていた。
「ポテト、少しちょうだい」
「いいよ」
「あ、あと小南の誕生日も買っちゃいたいんだけど」
「小南ちゃんかぁ。迅のが付き合いずっと長いでしょ」
「女の子のことは女の子に訊いた方がいいだろ」
「いやぁ、女の子枠にカウントしてもらっても……」
誕プレ選びは、もう少し続きそうだ。夜まで一緒にいれるだろうか。夕飯も一緒に食べれたらいいな。片付けをしてフードコートを出る。とりあえず、ショッピングモール2周目。