可能性の話
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なんか私たち3人は、1ヶ月の間にみんな歳を取る。4月9日に迅が誕生日で4月30日に拓磨が誕生日、私はGW明けの5月8日。ちな、拓磨とは星座も血液型も一緒なので、その類いの占いは信用していない。
パウンドケーキを焼く!と意気込んだものの、謎の吐き気と眩暈。天気が悪いみたいだ。とても製菓出来るコンディションではなくて、でも拓磨の顔は見たいから外に出る支度を始めた。着替え終わったところで、インターフォンが鳴る。インターフォンは、心当たりがない時は出ない。怖いから。ノックされる。怖い。ふとスマホを見ると、LINEにメッセージ。迅からのものを開く。
『弓場ちゃん連れてきたから、入れて』
のそのそ廊下を歩き、覗き窓を覗く。ひらひらと手を振る迅の背後、拓磨が腕組んで立っている。そろりと鍵を開けて顔を出す。
「顔色悪いね?大丈夫?」
「横になってたら大丈夫だけど……」
迅の問いかけに答えながら拓磨を見上げる。一瞬目が合って、逸らされる。迅が自然に横にずれる。拓磨は逃げ場がなくて困るといった表情で、腕組みを解き、迷った末にカーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
「パウンドケーキ焼こうと思ったんだけど」
「……気持ちだけで、充分だァ」
「具合悪いから、散歩もきつくて」
「無理する必要、ねェ」
「お家でころころしたい」
なにも特別なことは出来なくとも、側にいたい。拓磨に手を伸ばす。ポッケから出した手は、大きい。その手を引く。拓磨は一瞬だけ踏みとどまって、あとは抵抗せずに部屋に入った。その背中を押しながら、迅も一緒に入ってくる。
「…………おい」
「俺は今年の誕生日は仕事で、莉子ちゃんといれなかったもん。3人で祝おうよ。アシストはしてあげたんだから、それくらいの権利あるでしょ」
ね?と迅が楽しげに笑う。拓磨は大きくため息を吐いた。私は××歳を前に、どちらを選ぶとか平等に接するとか、悩まなくなった。好きな人がいれば幸せだ、2人いれば倍。単純な計算だけど、思ってるよりは世界はシンプルだ。人が作ったルールを守るつもりもないしね。拓磨が靴を脱いで玄関に入ったら、腰に抱きつく。拓磨は私の頭をぽんぽん撫でる。そのまま迅に手を伸ばし、触れる。迅は指を絡めて甲を撫でる。満足したら、離れて部屋に入った。
「なんにもお祝いするものがない」
「ケーキ買ってきたよ。視えてたからね」
「ありがと〜」
拓磨はL字のソファの奥に座って、また腕を組んでいる。ケーキ食べる用意を迅に任せて、私は拓磨にプレゼントを渡しに行く。拓磨は少しだけ目を見開いて、表情を緩めた。
「お誕生日、おめでとう」
「ん」
ようやっと視線が合うようになった。長くは合わないけど、その眼差しで安心するんだ。ずっと一緒にいようね。3人だと、嬉しいな。
パウンドケーキを焼く!と意気込んだものの、謎の吐き気と眩暈。天気が悪いみたいだ。とても製菓出来るコンディションではなくて、でも拓磨の顔は見たいから外に出る支度を始めた。着替え終わったところで、インターフォンが鳴る。インターフォンは、心当たりがない時は出ない。怖いから。ノックされる。怖い。ふとスマホを見ると、LINEにメッセージ。迅からのものを開く。
『弓場ちゃん連れてきたから、入れて』
のそのそ廊下を歩き、覗き窓を覗く。ひらひらと手を振る迅の背後、拓磨が腕組んで立っている。そろりと鍵を開けて顔を出す。
「顔色悪いね?大丈夫?」
「横になってたら大丈夫だけど……」
迅の問いかけに答えながら拓磨を見上げる。一瞬目が合って、逸らされる。迅が自然に横にずれる。拓磨は逃げ場がなくて困るといった表情で、腕組みを解き、迷った末にカーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
「パウンドケーキ焼こうと思ったんだけど」
「……気持ちだけで、充分だァ」
「具合悪いから、散歩もきつくて」
「無理する必要、ねェ」
「お家でころころしたい」
なにも特別なことは出来なくとも、側にいたい。拓磨に手を伸ばす。ポッケから出した手は、大きい。その手を引く。拓磨は一瞬だけ踏みとどまって、あとは抵抗せずに部屋に入った。その背中を押しながら、迅も一緒に入ってくる。
「…………おい」
「俺は今年の誕生日は仕事で、莉子ちゃんといれなかったもん。3人で祝おうよ。アシストはしてあげたんだから、それくらいの権利あるでしょ」
ね?と迅が楽しげに笑う。拓磨は大きくため息を吐いた。私は××歳を前に、どちらを選ぶとか平等に接するとか、悩まなくなった。好きな人がいれば幸せだ、2人いれば倍。単純な計算だけど、思ってるよりは世界はシンプルだ。人が作ったルールを守るつもりもないしね。拓磨が靴を脱いで玄関に入ったら、腰に抱きつく。拓磨は私の頭をぽんぽん撫でる。そのまま迅に手を伸ばし、触れる。迅は指を絡めて甲を撫でる。満足したら、離れて部屋に入った。
「なんにもお祝いするものがない」
「ケーキ買ってきたよ。視えてたからね」
「ありがと〜」
拓磨はL字のソファの奥に座って、また腕を組んでいる。ケーキ食べる用意を迅に任せて、私は拓磨にプレゼントを渡しに行く。拓磨は少しだけ目を見開いて、表情を緩めた。
「お誕生日、おめでとう」
「ん」
ようやっと視線が合うようになった。長くは合わないけど、その眼差しで安心するんだ。ずっと一緒にいようね。3人だと、嬉しいな。
