掌編/ネオプロトタイプ
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一緒に迎えた誕生日が20回を超えてくると、流石になにをプレゼントしたらいいのか分からなくなってきた。好みも趣味もバラバラだし。
「誕生日、なにか欲しいものある?」
定番の散歩の帰り道に、思い切って聞いてみる。君はちらっとこちらを見下ろしたあと、遠く夕空を見つめている。
「欲しいモンは、ねぇけど」
「え〜」
「…………その」
言いづらそうにしてるから、見上げてみれば視線を逸らされる。拓磨は小さくため息を吐いた。
「一生涯、お前が隣にいるって約束はほ、しい」
私は調子のいい返事をしたくなくて、黙ってしまった。拓磨の肘下あたりの布をきゅ、と掴む。拓磨は振り払うように腕を上げると、照れくさそうに眼鏡に触れて、それでいてどこか不安そうだ。
「……わりぃ。今のは重かった。重い」
「んと、そうだね……でも、嬉しいよ」
「……本当にか?」
そうやっていつも不安がるのが重いのだと思うけど。不安にさせてるのは、私だけども。気づかないままかけちがったボタンのように、ちぐはぐな2人きりだ。
「拓磨が大事に想ってくれて、嫌なわけないじゃん」
それを聞くと、拓磨は少しホッとした顔をして、こちらを伺いながら遠慮がちに私の手に触れて。柔く繋ぐ。
「本当に、なんもいらねぇから」
そうは言われましても、やはりなにがしか贈りたいもので。街中歩き回って、なんとか当日までに見つけて用意した。15時過ぎから会う約束。いつものカフェで待ち合わせ。早く来ないかな。窓際の席で期待しながら表を眺めていた。向こうから小走りしてくる君が見えて、頬が緩んだ。窓越しにばちっと目があって、拓磨はすぐ逸らして真っ赤になった。ものすごく照れ屋なの、いつまで経っても治らないね。
「悪い、待たせた」
君は私の向かいに座って、そわそわ落ち着かない。メニュー表を差し出すと、いそいそと見始めた。
「なんか甘いモン、追加するか?」
「拓磨の誕生日だよ?」
「あ、まぁ。そうだけどよ」
拓磨はこちらにも見えるように、メニュー表を広げた。アイスクリームは冷えるから、ケーキにしようか。拓磨はホットのコロンビアを頼んだ。私はモンブランと紅茶を追加した。店員が注文を繰り返して、緩やかな動作で去っていく。私は見計らって、リュックからプレゼントを取り出した。袋がいつもより大きいのを見て、拓磨は眉をひそめる。
「そんな大層なものじゃないけど」
「……開けていいか」
「もちろん」
拓磨はリボンをほどくと畳んで、happy birthdayと書かれたタグと一緒にカバンにしまった。いつも思うけど、そんなのも大事にとってるの?私への扱いが本当にオーバーに思えて、でも大切にされないよりはずっといいから、私はにこやかに受け取っている。
「……ブランケット」
「これからの季節、もういらなくなっちゃうかもだけど」
「いや、毎日膝にかけとく」
「大げさだってば」
茶化して笑ったら、拓磨もようやく笑った。私の方へ手を伸ばして、こめかみに触れる。なにか言おうとして、コーヒーが運ばれてきたからパッと離れた。また照れくさそうにしてる。
「誕生日だから、ひと口どうぞ」
フォークにモンブランを乗せて、口元に差し出せば真っ赤になった。キョロキョロ誰も見ていないのを確認して、さっと口に運んで。目を逸らして、黙って食べている。
「誕生日おめでとう」
「…………ぅん」
しばらく目は合わせてくれそうにない。私は残りのモンブランを食べる。来年もいつまでも、こうやって過ごせたらいいな。
「誕生日、なにか欲しいものある?」
定番の散歩の帰り道に、思い切って聞いてみる。君はちらっとこちらを見下ろしたあと、遠く夕空を見つめている。
「欲しいモンは、ねぇけど」
「え〜」
「…………その」
言いづらそうにしてるから、見上げてみれば視線を逸らされる。拓磨は小さくため息を吐いた。
「一生涯、お前が隣にいるって約束はほ、しい」
私は調子のいい返事をしたくなくて、黙ってしまった。拓磨の肘下あたりの布をきゅ、と掴む。拓磨は振り払うように腕を上げると、照れくさそうに眼鏡に触れて、それでいてどこか不安そうだ。
「……わりぃ。今のは重かった。重い」
「んと、そうだね……でも、嬉しいよ」
「……本当にか?」
そうやっていつも不安がるのが重いのだと思うけど。不安にさせてるのは、私だけども。気づかないままかけちがったボタンのように、ちぐはぐな2人きりだ。
「拓磨が大事に想ってくれて、嫌なわけないじゃん」
それを聞くと、拓磨は少しホッとした顔をして、こちらを伺いながら遠慮がちに私の手に触れて。柔く繋ぐ。
「本当に、なんもいらねぇから」
そうは言われましても、やはりなにがしか贈りたいもので。街中歩き回って、なんとか当日までに見つけて用意した。15時過ぎから会う約束。いつものカフェで待ち合わせ。早く来ないかな。窓際の席で期待しながら表を眺めていた。向こうから小走りしてくる君が見えて、頬が緩んだ。窓越しにばちっと目があって、拓磨はすぐ逸らして真っ赤になった。ものすごく照れ屋なの、いつまで経っても治らないね。
「悪い、待たせた」
君は私の向かいに座って、そわそわ落ち着かない。メニュー表を差し出すと、いそいそと見始めた。
「なんか甘いモン、追加するか?」
「拓磨の誕生日だよ?」
「あ、まぁ。そうだけどよ」
拓磨はこちらにも見えるように、メニュー表を広げた。アイスクリームは冷えるから、ケーキにしようか。拓磨はホットのコロンビアを頼んだ。私はモンブランと紅茶を追加した。店員が注文を繰り返して、緩やかな動作で去っていく。私は見計らって、リュックからプレゼントを取り出した。袋がいつもより大きいのを見て、拓磨は眉をひそめる。
「そんな大層なものじゃないけど」
「……開けていいか」
「もちろん」
拓磨はリボンをほどくと畳んで、happy birthdayと書かれたタグと一緒にカバンにしまった。いつも思うけど、そんなのも大事にとってるの?私への扱いが本当にオーバーに思えて、でも大切にされないよりはずっといいから、私はにこやかに受け取っている。
「……ブランケット」
「これからの季節、もういらなくなっちゃうかもだけど」
「いや、毎日膝にかけとく」
「大げさだってば」
茶化して笑ったら、拓磨もようやく笑った。私の方へ手を伸ばして、こめかみに触れる。なにか言おうとして、コーヒーが運ばれてきたからパッと離れた。また照れくさそうにしてる。
「誕生日だから、ひと口どうぞ」
フォークにモンブランを乗せて、口元に差し出せば真っ赤になった。キョロキョロ誰も見ていないのを確認して、さっと口に運んで。目を逸らして、黙って食べている。
「誕生日おめでとう」
「…………ぅん」
しばらく目は合わせてくれそうにない。私は残りのモンブランを食べる。来年もいつまでも、こうやって過ごせたらいいな。
