掌編/ネオプロトタイプ
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莉子が最近、調子がいい。ボーダーで上手くいってて、仲間が増えたからだと思う。喜ばしいことで、俺は安心すればいいはずなのに、酷く焦ってひりついた想いをしている。明らかに俺への連絡が減った。俺がいなくても、大丈夫なんだ。寂しい、情けないほど。呼び出す口実などいくらでも思いつくが、結局は会いたいの一心だけなので。バレてしまったら恥ずかしくて。なんでこんなに、恥ずかしいのだろう。ブルってるなんて、らしくもない。でも恥ずかしい。この恥ずかしさが、君を傷つけて泣かせるハメになったのに。どうしても、くすぐったくて仕方がねぇ。ええい、考えるのも煩わしくなった。会いたいもんは会いたい。悩んだ末に、連絡を取る。
『最近、どうしてる?』
『元気!!』
そんなことは分かってんだよ。もう少し、詳しいことを教えてくれ。随分遠くにいるみたいで、心細いから。
『どっか出かけないか』
『どこ?なんかやりたいことあるの?』
ないです。なにかしたいとかじゃなくて。会いたいんだって。気付いてくれればいいのに。はっきり言わないと、莉子には伝わらない。内側から熱が込み上げて。会いたい、とひと言文字を打つだけのことにものすごく緊張をする。
『なにもねぇけど、なんか会いたいので』
既読がついて、間がある。消したくなってしまう。そんなのはダメだ、莉子が気にする。不安がる。返事を待つのにジリジリとする。莉子は喜んでいるような笑ったスタンプを送ってきた。
『いいよ!今から散歩行く?』
了解、のスタンプを送った後に、なんか違ったかもと思う。それでも莉子からはいつでも出れるよ〜と返事が来た。30分後で、と返信する。そっからは、バタバタとした。服を着替えて、身だしなみ整えて。カバンの中身を、あれこれチェックして。冷蔵庫に個包装のチョコレートがあったので、いくつかポッケに突っ込んだ。多分、食べるだろうし。家を出ると、向かいのマンションの入り口に莉子がいて。俺を見つけると、駆け寄ってきた。犬みたいで、可愛い。莉子が犬だとしたら、ちょっと馬鹿かもな。誰にでも懐いてしまうから。
「どしたの?」
「ん、あぁ。いや」
曖昧な返事をする。ほら、会いたくて会ったところで話すことがないんだ。それでも、側にいたら安心するしほわほわ気分が良くなるんだ。伝えたら、お前は困るんだろ。曖昧に笑って返されるのが嫌だから、黙っている。関係が後退するなら、動かねぇ方がいい。それだけ、慎重に扱いたいしもう失敗したくねぇ。幼馴染は、やめたくない。
「どこ行く?」
「……どこでもいい」
「拓磨が呼び出したのに?」
莉子が首を傾げる。嘘が吐けなくて、じわじわ暴かれそう。好きですよ、俺は莉子が。開き直れたらいいのに。
「じゃあ100均見たいから駅前に行く」
莉子が駅の方へ歩き出すから、ついていく。胸の辺りの高さしかない頭に、触れたくなる。小さな手を、包み込んで繋ぎたい。煩悩が溢れて、どうしようもない。
「私も会いたかったから、嬉しかったよ〜」
莉子の呟きに、心臓が止まって。返事を忘れる。社交辞令、だろうか。莉子は人に好意を伝えるのが上手いし、忘れない。嘘も吐かない、と思う。でも、どうしたって天秤にかけたら俺の方が重いだろ。いつからこんなになったか。いや、元々俺のが重かったんだろうか。
「なにかあった?」
「いや、別に」
寂しいです、連絡をください。そんなこと言うのは女々しくて消えたくなっちまう。自分が思い描く自分の理想像と、ズレていくんだ。君といると。それなのに、会いたくなる。無性に、いつだって。解決策が見つからないから、甘えるのも告白も出来ねぇんだよ。
『最近、どうしてる?』
『元気!!』
そんなことは分かってんだよ。もう少し、詳しいことを教えてくれ。随分遠くにいるみたいで、心細いから。
『どっか出かけないか』
『どこ?なんかやりたいことあるの?』
ないです。なにかしたいとかじゃなくて。会いたいんだって。気付いてくれればいいのに。はっきり言わないと、莉子には伝わらない。内側から熱が込み上げて。会いたい、とひと言文字を打つだけのことにものすごく緊張をする。
『なにもねぇけど、なんか会いたいので』
既読がついて、間がある。消したくなってしまう。そんなのはダメだ、莉子が気にする。不安がる。返事を待つのにジリジリとする。莉子は喜んでいるような笑ったスタンプを送ってきた。
『いいよ!今から散歩行く?』
了解、のスタンプを送った後に、なんか違ったかもと思う。それでも莉子からはいつでも出れるよ〜と返事が来た。30分後で、と返信する。そっからは、バタバタとした。服を着替えて、身だしなみ整えて。カバンの中身を、あれこれチェックして。冷蔵庫に個包装のチョコレートがあったので、いくつかポッケに突っ込んだ。多分、食べるだろうし。家を出ると、向かいのマンションの入り口に莉子がいて。俺を見つけると、駆け寄ってきた。犬みたいで、可愛い。莉子が犬だとしたら、ちょっと馬鹿かもな。誰にでも懐いてしまうから。
「どしたの?」
「ん、あぁ。いや」
曖昧な返事をする。ほら、会いたくて会ったところで話すことがないんだ。それでも、側にいたら安心するしほわほわ気分が良くなるんだ。伝えたら、お前は困るんだろ。曖昧に笑って返されるのが嫌だから、黙っている。関係が後退するなら、動かねぇ方がいい。それだけ、慎重に扱いたいしもう失敗したくねぇ。幼馴染は、やめたくない。
「どこ行く?」
「……どこでもいい」
「拓磨が呼び出したのに?」
莉子が首を傾げる。嘘が吐けなくて、じわじわ暴かれそう。好きですよ、俺は莉子が。開き直れたらいいのに。
「じゃあ100均見たいから駅前に行く」
莉子が駅の方へ歩き出すから、ついていく。胸の辺りの高さしかない頭に、触れたくなる。小さな手を、包み込んで繋ぎたい。煩悩が溢れて、どうしようもない。
「私も会いたかったから、嬉しかったよ〜」
莉子の呟きに、心臓が止まって。返事を忘れる。社交辞令、だろうか。莉子は人に好意を伝えるのが上手いし、忘れない。嘘も吐かない、と思う。でも、どうしたって天秤にかけたら俺の方が重いだろ。いつからこんなになったか。いや、元々俺のが重かったんだろうか。
「なにかあった?」
「いや、別に」
寂しいです、連絡をください。そんなこと言うのは女々しくて消えたくなっちまう。自分が思い描く自分の理想像と、ズレていくんだ。君といると。それなのに、会いたくなる。無性に、いつだって。解決策が見つからないから、甘えるのも告白も出来ねぇんだよ。