夕星(ゆうずつ)に想いを寄せて(アリネイ)
【 夕星(ゆうずつ)に想いを寄せて 】
「中央広場の像の前で、午前十時に待ち合わせ…待ち合わせ…えへへ…」
アリアの街。
その片隅のアリアが借りている部屋の一つ。
ベッドの中では体を小さく丸め、交わした約束を胸に抱き寄せるかのように、ベッドの中でネイリンは幸せそうに何度も何度も小さく口にした。
***
「アリアッ!」
「おっと…どうしたの?ネイリン」
仕事の資料を抱えてギルドの仕事部屋へ戻ったアリアの元に、勉強中の恋人ネイリンがドアから飛びかかる勢いで声をかけてきた。
手にしていた資料を落とさない様に素早く持ち直した後、彼女の方へ向き直る。
「あのね、あのね…ネイリンとアリアって、こ、恋人同士になっただろ?」
「うんそうだよ」
「でね、それでね…えっと…」
ネイリンはアリアの顔からサッと目線を反らした。
見れば、手に持った小説に皺を作りながら、モ
ジモジと照れたように顔を赤らめて言葉を探しているようだ。
そんなネイリンの姿にアリアの口から思わず言葉が先にこぼれ落ちる。
「どうしよう、僕の恋人がかわい過ぎるんだけど」
「あぇ!?あ、え、うぅ…」
「ああ、ごめん。あんまりにも可愛いからつい…それで?」
「うーッ!なんだよッ!もうッ!」
アメジストの瞳をキッとつり上げ、赤ら顔でアリアをにらみつけるネイリン。
アリアからすれば『逆効果だよなぁ』なんて事を想い、桃と水色のオッドアイを緩ませながら、彼女からの言葉を素直に待った。
「…む、無理なら、無理でいい。アリアが忙しいの知ってるし…」
「まぁまぁ、まずは言ってみて?」
次の瞬間、アリアは直近全ての仕事を高速で終わらせに奔放する事を決める。
「こ、この本に書いてあった…『待ち合わせでーと』、が、してみたい…んだけど…」
***
「無理言っちゃった…よなぁ…」
数日前の出来事を思い出しながら、ネイリンはポツリと言葉を零す。
アリアの仕事は多忙だ。
キングやギルドの仕事、王子としての管理、そしてネイリンの勉強も見てくれる。
ネイリンはメイベルのギルド内スペースでそんなアリアと一緒に過ごしながら、その多忙さを眺めつつ勉強に励んできた。
一緒に居る時間を確保できているとも言えるし、忙しない彼が心配になるのも少しだけあった。
…『デート』を決めた後の仕事っぷりはネイリンは元より他ギルドメンバーからも驚きを通り越して
驚愕と心配の表情だったが…
「うぅ…自分から言い出したんだから…早く寝なきゃ…」
明日のデートの為に既にアリアの街へと入り、近い場所で休んでいる2人。
家を出る時間をずらす事で『待ち合わせ』をする事を決めている。
ネイリンは、いつもより少しだけ早めにベッドへ潜り込んだものの、いざデートだと思うと、同じよ
うなことをグルグルと考えてしまい上手く寝られないでいた。
何度も時計を確認しては、進まない針と見比べて布団に潜り、幸せを噛み締める…を繰り返してしまう。
「アリア…好き…」
そうして結局、いつもよりも遅い時間に寝入る事になってしまったネイリンであった。
***
跳ねる水音と共に、広場中央に鎮座している像へ背中を預ける。
にぎやかな喧噪に溶ける流水の音はアリアの耳に心地よく響いた。
丸い水色のサングラス越しに街を眺めながら、浮足立つ気持ちを抑えられないといったように、気が付かない内に口元が緩んでしまっているのを感じ
る。
「(…ネイリンからの、お誘い、かぁ…)」
アリアは待ち合わせの予定よりも少し早めに着き、しきりに何度も時刻を確認してしまう。
空は快晴で、水に合わせて設計された美しい街並みを歩く人々の姿すら、まぶしく見えてくるのは、
すっかり自分自身も舞い上がっている証拠だろう。
街並みに目を細めている内に、ゆっくりと予定した時刻が迫っていた。
「(にしても、夜結構遅くまで起きてたみたいだけど…ネイリン大丈夫かな)」
「ごめんーーーーッ!」
待ち合わせ時刻丁度、アリアがそんな事を考えていた矢先、ネイリンがアリアの元へ駆け寄ってくる。
ピンクの髪を跳ねさせたまま、肩で息をするネイリン。普段のスポーティ寄りよりも、フリルが少し多くかわいらしい。
「お、遅くなった…?」
「いいや、時間ピッタリだよ。ほら、落ち着いて?」
アリアはネイリンの頭を撫で、跳ねた髪の毛を直しながら息が整うのを優しく待つ。
少しするとネイリンは息を整え改めてアリアを見つめた。
サラリと流れる髪は今、肩にかかる分しか見えず、黒のレザーハットに隠れている。
水色のサングラスの向こう側に、ネイリンを愛おしそうに見つめる瞳が注がれていた。
「はぁ~…アリア、今日もかっこいい!」
「ふふふ、ありがとう。ネイリンも可愛いよ。勿論普段もいいけど、より素敵だね。おめかししてく
れたの?」
「え、えへへ。もう少し早く起きて色々しよう!とおもったんだけど…寝坊してさ。でも遅れる方が嫌だったから…」
「そっか…ありがとう、嬉しいよ」
撫でていた手を降ろし、ネイリンの手をそっと掬い取るアリア。
体温の高いネイリンの柔らかな手を、少しだけ大きく細い、冷たいアリアの手が包み込む。
それだけでどうしようもなく満たされたような、くすぐったい気持ちを感じ、お互いに照れ笑いを浮かべた。
「それで、今日はどこに行くんだ?場所は任せてって言われていたから…」
「そうそう、一緒に行ってみたい場所があるんだ。ちょっと先に歩いてもいい?」
「勿論!」
2人は手をつなぎ、幸せな一日を歩き出した。
***
「わぁ…」
「どうかな?」
「う~ん、気持ちがいい!」
アリアがネイリンを案内した場所は、アリアの街の外れにある海岸。
小高い崖になっている場所だ。
吹き込む潮風と合わせて、白肌のツルリとした木が一本根を張り、鮮やかな緑の隙間に小さくかわいらしい赤い花を揺らしていた。
アリアは木の側にピクニックシートを敷き、ランチバケットを取り出す。
「ここで一緒にのんびり過ごすの、どうかなって」
「うん!すごく良いと思う!」
「喜んで貰えてよかった。さぁ、食事にしよう」
「んん…!ハチミツのいいにお~い♪」
「ネイリンの好きなパンケーキのお店に作ってもらったんだ」
「えっ!?ホント!?」
キラキラと目を輝かせ、飛び込むようにシートに座るのに合わせてアリアは準備を進める。
フワリとパンケーキと蜂蜜の甘い香りが広がり、くぅとかわいらしい腹の虫が鳴った。
アリアがクスリと笑うと、顔を赤くしたアイリンは頬を膨らませる。
「お、美味しいってお腹が知ってるだけだから!」
「フフッ…♪うん、そうだね。早くたべよっか。ほら、ネイリン?あーん」
「あ~ん!んん~~ッ❤やっぱり、美味しい!」
「それはよかった」
コロコロと表情を変えるネイリンに、表情を綻ばせるアリア。
ナイフとフォークでネイリンへと蜂蜜たっぷりのパンケーキを運ぶ度に幸せに顔を蕩けさせる彼女を眺めているだけでお腹いっぱいになるような心地だった。
***
木陰でアリアとネイリンは肩を並べ、海を眺める。
忙しない日常から離れた二人だけの特別な時間が過ぎていくのはあっという間で、水平線へ燃える太陽が沈み出す。
青空が夕焼けに染まりだした頃、アリアはネイリンの手を引いて立ち上がった。
「アリア?どこに行くの?」
「この時間を待っていたんだ。海へ行こう」
その言葉と共に、アリアは崖の淵へ立つと空いた手をかざし水を呼ぶ。
ザァと音を立てて2人を崖下からせり上がった波が優しく包み、緩やかに海の中へ流れていった。
「手を離さないでね」
「うん!」
体に薄く張られた魔力の膜は、アリアの手からネイリンへと伝わり、服が濡れる事も息が苦しくなる事もない。
そうしてたどり着いた海底に立ったネイリンは、一瞬言葉を失った。
「…すごい」
眼前に広がる光景は、幻想的の一言に尽きた。
青い海中にオレンジの夕焼けの光が乱反射しながら差し込み、色鮮やかなサンゴ礁と魚たちと共に踊っていた。
揺れる波は一瞬の瞬きの間にその姿を変え、一時も同じである事もない。
刹那の光景が広がっていた。
「…一緒に見に来たかったんだ」
「…ネイリンと?」
「うん」
つないだ手を一層強く握り、ネイリンの体を抱き寄せるアリア。
冷たい海の中で、2人の体温がより熱く、強く感じられた。
「ネイリン、好きだよ。大好き」
「アリア…」
「僕は、これからもこうして…美味しい物を食べて、綺麗な物や素敵なものを一緒に見て行きた
いんだ。ネイリンと一緒に」
「…ネイリンも、アリアが、大好き…大好きだぞ…」
アリアの言葉に頷き、胸に身を預け、強く抱き合う。
ふっとネイリンが顔をあげると、アリアと目が
合った。
交わる目線の奥、波揺れる桃と水色の瞳に瞬く星を眺めた。
「アリア、キレイ」
「ん?僕?」
「うん!アリアの瞳、いつもキレイだけど。キラキラしてて、キレイ!」
「…ありがとう」
瞬きをして少しだけ顔を赤らめた後、もう一度、ネイリンの体をアリアは強く抱きしめる。
夕日が沈み、夜の帳が降りるまで、2人はお互いに身を預けながら幻想の中を揺蕩った。
これはこれからも続く、幸せな2人の、ほんの一頁。
制作者《でぶにゃん食堂》様
「中央広場の像の前で、午前十時に待ち合わせ…待ち合わせ…えへへ…」
アリアの街。
その片隅のアリアが借りている部屋の一つ。
ベッドの中では体を小さく丸め、交わした約束を胸に抱き寄せるかのように、ベッドの中でネイリンは幸せそうに何度も何度も小さく口にした。
***
「アリアッ!」
「おっと…どうしたの?ネイリン」
仕事の資料を抱えてギルドの仕事部屋へ戻ったアリアの元に、勉強中の恋人ネイリンがドアから飛びかかる勢いで声をかけてきた。
手にしていた資料を落とさない様に素早く持ち直した後、彼女の方へ向き直る。
「あのね、あのね…ネイリンとアリアって、こ、恋人同士になっただろ?」
「うんそうだよ」
「でね、それでね…えっと…」
ネイリンはアリアの顔からサッと目線を反らした。
見れば、手に持った小説に皺を作りながら、モ
ジモジと照れたように顔を赤らめて言葉を探しているようだ。
そんなネイリンの姿にアリアの口から思わず言葉が先にこぼれ落ちる。
「どうしよう、僕の恋人がかわい過ぎるんだけど」
「あぇ!?あ、え、うぅ…」
「ああ、ごめん。あんまりにも可愛いからつい…それで?」
「うーッ!なんだよッ!もうッ!」
アメジストの瞳をキッとつり上げ、赤ら顔でアリアをにらみつけるネイリン。
アリアからすれば『逆効果だよなぁ』なんて事を想い、桃と水色のオッドアイを緩ませながら、彼女からの言葉を素直に待った。
「…む、無理なら、無理でいい。アリアが忙しいの知ってるし…」
「まぁまぁ、まずは言ってみて?」
次の瞬間、アリアは直近全ての仕事を高速で終わらせに奔放する事を決める。
「こ、この本に書いてあった…『待ち合わせでーと』、が、してみたい…んだけど…」
***
「無理言っちゃった…よなぁ…」
数日前の出来事を思い出しながら、ネイリンはポツリと言葉を零す。
アリアの仕事は多忙だ。
キングやギルドの仕事、王子としての管理、そしてネイリンの勉強も見てくれる。
ネイリンはメイベルのギルド内スペースでそんなアリアと一緒に過ごしながら、その多忙さを眺めつつ勉強に励んできた。
一緒に居る時間を確保できているとも言えるし、忙しない彼が心配になるのも少しだけあった。
…『デート』を決めた後の仕事っぷりはネイリンは元より他ギルドメンバーからも驚きを通り越して
驚愕と心配の表情だったが…
「うぅ…自分から言い出したんだから…早く寝なきゃ…」
明日のデートの為に既にアリアの街へと入り、近い場所で休んでいる2人。
家を出る時間をずらす事で『待ち合わせ』をする事を決めている。
ネイリンは、いつもより少しだけ早めにベッドへ潜り込んだものの、いざデートだと思うと、同じよ
うなことをグルグルと考えてしまい上手く寝られないでいた。
何度も時計を確認しては、進まない針と見比べて布団に潜り、幸せを噛み締める…を繰り返してしまう。
「アリア…好き…」
そうして結局、いつもよりも遅い時間に寝入る事になってしまったネイリンであった。
***
跳ねる水音と共に、広場中央に鎮座している像へ背中を預ける。
にぎやかな喧噪に溶ける流水の音はアリアの耳に心地よく響いた。
丸い水色のサングラス越しに街を眺めながら、浮足立つ気持ちを抑えられないといったように、気が付かない内に口元が緩んでしまっているのを感じ
る。
「(…ネイリンからの、お誘い、かぁ…)」
アリアは待ち合わせの予定よりも少し早めに着き、しきりに何度も時刻を確認してしまう。
空は快晴で、水に合わせて設計された美しい街並みを歩く人々の姿すら、まぶしく見えてくるのは、
すっかり自分自身も舞い上がっている証拠だろう。
街並みに目を細めている内に、ゆっくりと予定した時刻が迫っていた。
「(にしても、夜結構遅くまで起きてたみたいだけど…ネイリン大丈夫かな)」
「ごめんーーーーッ!」
待ち合わせ時刻丁度、アリアがそんな事を考えていた矢先、ネイリンがアリアの元へ駆け寄ってくる。
ピンクの髪を跳ねさせたまま、肩で息をするネイリン。普段のスポーティ寄りよりも、フリルが少し多くかわいらしい。
「お、遅くなった…?」
「いいや、時間ピッタリだよ。ほら、落ち着いて?」
アリアはネイリンの頭を撫で、跳ねた髪の毛を直しながら息が整うのを優しく待つ。
少しするとネイリンは息を整え改めてアリアを見つめた。
サラリと流れる髪は今、肩にかかる分しか見えず、黒のレザーハットに隠れている。
水色のサングラスの向こう側に、ネイリンを愛おしそうに見つめる瞳が注がれていた。
「はぁ~…アリア、今日もかっこいい!」
「ふふふ、ありがとう。ネイリンも可愛いよ。勿論普段もいいけど、より素敵だね。おめかししてく
れたの?」
「え、えへへ。もう少し早く起きて色々しよう!とおもったんだけど…寝坊してさ。でも遅れる方が嫌だったから…」
「そっか…ありがとう、嬉しいよ」
撫でていた手を降ろし、ネイリンの手をそっと掬い取るアリア。
体温の高いネイリンの柔らかな手を、少しだけ大きく細い、冷たいアリアの手が包み込む。
それだけでどうしようもなく満たされたような、くすぐったい気持ちを感じ、お互いに照れ笑いを浮かべた。
「それで、今日はどこに行くんだ?場所は任せてって言われていたから…」
「そうそう、一緒に行ってみたい場所があるんだ。ちょっと先に歩いてもいい?」
「勿論!」
2人は手をつなぎ、幸せな一日を歩き出した。
***
「わぁ…」
「どうかな?」
「う~ん、気持ちがいい!」
アリアがネイリンを案内した場所は、アリアの街の外れにある海岸。
小高い崖になっている場所だ。
吹き込む潮風と合わせて、白肌のツルリとした木が一本根を張り、鮮やかな緑の隙間に小さくかわいらしい赤い花を揺らしていた。
アリアは木の側にピクニックシートを敷き、ランチバケットを取り出す。
「ここで一緒にのんびり過ごすの、どうかなって」
「うん!すごく良いと思う!」
「喜んで貰えてよかった。さぁ、食事にしよう」
「んん…!ハチミツのいいにお~い♪」
「ネイリンの好きなパンケーキのお店に作ってもらったんだ」
「えっ!?ホント!?」
キラキラと目を輝かせ、飛び込むようにシートに座るのに合わせてアリアは準備を進める。
フワリとパンケーキと蜂蜜の甘い香りが広がり、くぅとかわいらしい腹の虫が鳴った。
アリアがクスリと笑うと、顔を赤くしたアイリンは頬を膨らませる。
「お、美味しいってお腹が知ってるだけだから!」
「フフッ…♪うん、そうだね。早くたべよっか。ほら、ネイリン?あーん」
「あ~ん!んん~~ッ❤やっぱり、美味しい!」
「それはよかった」
コロコロと表情を変えるネイリンに、表情を綻ばせるアリア。
ナイフとフォークでネイリンへと蜂蜜たっぷりのパンケーキを運ぶ度に幸せに顔を蕩けさせる彼女を眺めているだけでお腹いっぱいになるような心地だった。
***
木陰でアリアとネイリンは肩を並べ、海を眺める。
忙しない日常から離れた二人だけの特別な時間が過ぎていくのはあっという間で、水平線へ燃える太陽が沈み出す。
青空が夕焼けに染まりだした頃、アリアはネイリンの手を引いて立ち上がった。
「アリア?どこに行くの?」
「この時間を待っていたんだ。海へ行こう」
その言葉と共に、アリアは崖の淵へ立つと空いた手をかざし水を呼ぶ。
ザァと音を立てて2人を崖下からせり上がった波が優しく包み、緩やかに海の中へ流れていった。
「手を離さないでね」
「うん!」
体に薄く張られた魔力の膜は、アリアの手からネイリンへと伝わり、服が濡れる事も息が苦しくなる事もない。
そうしてたどり着いた海底に立ったネイリンは、一瞬言葉を失った。
「…すごい」
眼前に広がる光景は、幻想的の一言に尽きた。
青い海中にオレンジの夕焼けの光が乱反射しながら差し込み、色鮮やかなサンゴ礁と魚たちと共に踊っていた。
揺れる波は一瞬の瞬きの間にその姿を変え、一時も同じである事もない。
刹那の光景が広がっていた。
「…一緒に見に来たかったんだ」
「…ネイリンと?」
「うん」
つないだ手を一層強く握り、ネイリンの体を抱き寄せるアリア。
冷たい海の中で、2人の体温がより熱く、強く感じられた。
「ネイリン、好きだよ。大好き」
「アリア…」
「僕は、これからもこうして…美味しい物を食べて、綺麗な物や素敵なものを一緒に見て行きた
いんだ。ネイリンと一緒に」
「…ネイリンも、アリアが、大好き…大好きだぞ…」
アリアの言葉に頷き、胸に身を預け、強く抱き合う。
ふっとネイリンが顔をあげると、アリアと目が
合った。
交わる目線の奥、波揺れる桃と水色の瞳に瞬く星を眺めた。
「アリア、キレイ」
「ん?僕?」
「うん!アリアの瞳、いつもキレイだけど。キラキラしてて、キレイ!」
「…ありがとう」
瞬きをして少しだけ顔を赤らめた後、もう一度、ネイリンの体をアリアは強く抱きしめる。
夕日が沈み、夜の帳が降りるまで、2人はお互いに身を預けながら幻想の中を揺蕩った。
これはこれからも続く、幸せな2人の、ほんの一頁。
制作者《でぶにゃん食堂》様