ゼラニウムの詩
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夢見心地。まるで恋愛小説かのような日々。足取り軽く、生きる気力に溢れ、そう、毎日が楽しい。
「ねぇ、ブラック。」
「何ですか?」
「愛してると言って。」
「愛しています。」
これでいいですか?なんて聞き返してくる。他人行儀な会話。何年こんなやり取りしてるのか。それがとても重要でとても糧となる。
「幸せ。」
「それは良かったですねぇ。」
パソコンから目を話さず私の相手をしてくれる。相変わらず動画撮影が好きなのね。
「私も構って。」
「今、構ってますよ?」
よしよしと頭を撫でてくれる。甘い時間。温かい紅茶に流し込めば溶けてしまいそうな甘美なひととき。
「私のこと、どれくらい好き?」
初めて聞いてみた。
「何です?それ。」
「どれほど好きか聞いてるの。私はブラックが一番好き。何を天秤にかけてもブラックに敵うものなんて無いほどに。」
「なるほど、人間は面白い事をはかるんですね。」
さぁ、貴方はなんと答えるのかしら。
「そもそも好きが分からないので例え話もありません。」
………え?
「私の、こと…好きよね?」
「名無しさんを好き?オレちゃんが?」
首を傾げる悪魔は罪悪感も遠慮もない。
「そもそもそれ、何ですか?」
「…。どういうこと?」
「オレちゃん悪魔なので人間の色恋沙汰というのが分からないんですよ。」
ケロッと言う悪魔に問うてみたい。
「じゃあ…今までの、愛しているは…。」
何だったのだろうか。
「それ、オレちゃんから言ったことありましたっけ?」
名無しさんからおねだりされた時だけ、言いましたよね。
「なに、つまりそれは…言えと言われたから言っただけだというの…?」
「その通りです。」
「全部、嘘…」
「全部、というのは少し違います。」
愛してるじゃないですか。
「貴女が。」
「私、だけ…」
「それだけは、真実なのでは?」
恋は盲目なんてよく言ったものだ。
--終-
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