「星が綺麗ですね」

「ああ」

「……あの明るい星、なんかの星座の一部らしいんだけど何座なんだろう。っていうか、星座ってオリオン座くらいしかはっきりわからないや」

「北斗七星、もといおおぐま座も比較的観測しやすいがな。しかし古代の人々が、空を見上げて星を繋いだことを思うと、当時はもっとたくさんの星が、ハッキリと見えていたのだろうな」

「そうだねぇ。現代は便利だけど、夜が明るすぎる気がするよ」

「同感だ。……ところで、月も綺麗だと思わないかね」

「何言ってんのアーチャー、今日は新月だし月なんて出てな……あ」

「……理解したようだな」

「えっ、まって、じゃあ、さっきの、意味わかってスルーしたってこと？　あ、鼻で笑った！　ひどい！！」

「あんな言い回しをするからだ。君こそ、私の気持ちなど、知らなかったのだろう」

「だってそれは、その……」

「意趣返しというやつだ。で、答えを聞かせてくれるかね？」

「…………そりゃ、私も、月が綺麗だと思うよ」

「……ああ。しかし新月ではどうにも、説得力に欠けるな。ひとつ提案がある。二週間後、またこうして共に空を見上げてくれないか」

「え、うん、別に、いいけど」

「その時に、改めて月の美しさについて語り合うとしよう」

「……お、お手柔らかに、お願いします……」