日記小ネタまとめ①ランサー
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●仕事帰りに、駅にお迎えにきてくれるランサーくん
元からさほど背は高くないが、人混みの中にぽつねんと立ち尽くしている姿はその体をさらに小さく見せた。視線を彷徨わせ、所在なさげに行き交う人々を見送っている。
連絡をもらってすぐに家を出たつもりだったが、向こうの方が早く着いてしまっていたようだ。待たせてしまった事を不甲斐なく思う。依久乃はオレの姿を視界に認めると、緊張で強ばっていた顔は、嘘のように笑顔に変わった。心底から嬉しそうなその表情は、まるで花が綻んだようで、釣られて自分の頬も緩む。
「ただいま。お迎えありがと」
「おう、おかえり。待たせて悪かったな」
「ううん、全然。ランサーの顔見たら、疲れも吹き飛んだよ」
「本当かぁ?」
「本当だよ。……でも、今ここで抱きしめてくれたらもっと吹き飛ぶかな」
「ああ? ここでか?」
「うん」
気丈な頷き声には、やや気弱な色が滲んでいる。見ると、小さく肩が震えていた。それに気付かないふりをして、できるだけ明るい声で「仕方ねえなあ」と返し、抱きしめた。依久乃の頑張りに応えるように、しっかりと、思い切り。抱きすくめた身体はやはり固く強ばっていて、背中にゆっくりと、しかし力強く回された腕からは、まるで縋るような必死さが感じられた。優しく頭を撫でてやると、強ばった身体は次第にゆるんでいく。
コイツはいつもこうだ。オレがそばにいる時だけ、ゆるめられるのだ。その有様に愛しさが込み上げ、腕の力をさらに強めた。
*お粗末様でした。
元からさほど背は高くないが、人混みの中にぽつねんと立ち尽くしている姿はその体をさらに小さく見せた。視線を彷徨わせ、所在なさげに行き交う人々を見送っている。
連絡をもらってすぐに家を出たつもりだったが、向こうの方が早く着いてしまっていたようだ。待たせてしまった事を不甲斐なく思う。依久乃はオレの姿を視界に認めると、緊張で強ばっていた顔は、嘘のように笑顔に変わった。心底から嬉しそうなその表情は、まるで花が綻んだようで、釣られて自分の頬も緩む。
「ただいま。お迎えありがと」
「おう、おかえり。待たせて悪かったな」
「ううん、全然。ランサーの顔見たら、疲れも吹き飛んだよ」
「本当かぁ?」
「本当だよ。……でも、今ここで抱きしめてくれたらもっと吹き飛ぶかな」
「ああ? ここでか?」
「うん」
気丈な頷き声には、やや気弱な色が滲んでいる。見ると、小さく肩が震えていた。それに気付かないふりをして、できるだけ明るい声で「仕方ねえなあ」と返し、抱きしめた。依久乃の頑張りに応えるように、しっかりと、思い切り。抱きすくめた身体はやはり固く強ばっていて、背中にゆっくりと、しかし力強く回された腕からは、まるで縋るような必死さが感じられた。優しく頭を撫でてやると、強ばった身体は次第にゆるんでいく。
コイツはいつもこうだ。オレがそばにいる時だけ、ゆるめられるのだ。その有様に愛しさが込み上げ、腕の力をさらに強めた。
*お粗末様でした。
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