ランサーが若返った
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◼︎ランサーが若返った(性格大人ver)
「え、なにこの美少年。もしかしてランサー?」
「ちっ、見つかっちまったか……」
「しょ、ショタンタだこれー!?」
「その呼び方はやめろ。セタンタだ」
「おっとごめん間違えた。ギルの若返りの薬でも飲まされた?」
「ああ、多分、寝てるうちにな。悪趣味な野郎だぜまったく……」
「むしろ私にとっては大変良い趣味……。でも中身は大人のままなんだね……。ギルはあんなに素直になるのに」
「おい、心底残念そうな顔するな。確かに人格はそのまんまだが、別に子供の頃の性格に戻ったとしても、オレはあそこまで変わらないからな?」
「だってさあ……子ギルが可愛いんだから、ショタンタも絶対可愛いと思うじゃん」
「セタンタだ。いい加減にしねぇと刺し穿つぞ」
「でもそのくらいの歳の頃ってまだゲイボルク授かってなかったよね??」
「細けえことをいちいち覚えてやがる……。まあ確かにゲイボルクは授かってなかったが、番犬は絞め殺したな?」
「ひぇっ……もうショタンタって呼ばないからその顔はやめて」
◼︎服について
「そういえば、その服どうしたの?」
「あ? これか。言峰がこれしかないとか言って渡してきた」
「それ女物だよ。しかもセイバーと同じ服じゃん」
「あぁ!? 道理で見覚えがある訳だ」
「ちなみに、神代はどうかわかんないけど、現代じゃ男の子はスカート履かないよ」
「なんだと!?生前は腰布と下帯だったから変わらねえと思ってた……」
「いやそこは気付こうよ、多分嫌がらせだよ」
「くそっ……オレとしたことが……。しかし女物だと……? これじゃ恥ずかしくて釣りにも行けん」
「その格好でも釣りに行こうとしてたの……。しかし男物の子供服かー。ギルガメッシュに貸してもらうのは無理かなぁ」
「大人は無理でも子供状態ならどうだ?」
「いや、多分断られると思う。子供の時でも服装には並々ならぬこだわりがあるみたいだし。センスは壊滅的だけど」
「誰もが思ってるのに怖くて言えないことをさらっと言うとこ、嫌いじゃないぜ」
◼︎コミュニケーション&スキンシップ
「ところでランサーくん、お願いがあるんだ」
「なんだよ改まって」
「こっち来て上目遣いで『お姉ちゃん』って呼んでほしい」
「断る」
「ええーーーなんでーーー嘘でも演技でもいいから言ってよーーー!こんなチャンス二度もあるかわかんないのに!こんな可愛い見た目なのに中身が大人とかどんな焦らしプレイだよーーー!!うわーん!」
「オレのマスターが大人げない……っていうか泣くほどのことかよ」
「お願い、大人に戻れたら言うことなんでも聞くから、一生のお願いー!」
「こんな事に使っていいのかお前の一生」
「悔いは、ない」
「やべえ、目がマジだ。……ったく、しょうがねえなあ………んんっ(咳払い)……泣かないで、お、お姉ちゃん」
「………………!!!」(悶えている&言葉にならない)
「オレのマスターがおかしくなった……」
「……っ……はぁ……らん、さー、くん……」
「なんだよ、また涙目になって」
「抱っこしても……いいかな……??」
「……あーもう、好きにしろ」
「ありがとう! 本当にありがとう! ランサー大好き!!」
「こういう時だけそういうこと言う! ……わふっ……ちょっ、苦し……」
「あ〜〜かわいいよ〜〜健気だよ〜〜やっぱ中身大人でもいい。なでなでなで」
「やめろっ、髪が乱れ……ん?この位置は……!」
「ひゃっ!! やだちょっと、どこ触ってんの! ……ハッ、そうか中身は大人だった!」
「……なんのことかな? お姉ちゃん」
「とぼけるな! 今明らかに胸に顔うずめたでしょ! くっそ……都合悪い時だけ子供ぶっても無駄だから!! きらきらおめめには騙されないからね!! このエロ犬!」
「ちっ、聞こえてやがったか。だがこの姿、いろいろと使えそうだな」
「……これ以上やらしいことしたら耳たぶ引きちぎるから」
「理不尽!!!」
◼︎服の話 つづき
「セタンタのために新しい服買いたいからお金ちょうだいって言ったら綺礼に怒られた」
「あいつケチだな……ってかセタンタ言うな」
「ケチっていうか、清貧をもってよしとする的な……歪んでるくせに根っからの聖職者なんだよね。まあ綺礼のことはいいとして、スカートのまま出掛けちゃダメなの? かわいいし、男の子だってわかんないよ」
「オレを知ってる奴にゃバレるだろ。弓兵なんぞに見られた日には、何を言われるかわかったもんじゃねぇ。それに言峰の野郎の飯が美味くなると思うと癪だ」
「それもそうか……。じゃあこの姿は私の心のアルバムに仕舞っておくよ。うーん、買えないとなるとやっぱ借りるしか……誰かこれくらいの子供の服持ってそうで貸してくれそうな都合のいい知り合いは……って、いるじゃん!」
「おっ、本当か!誰だ誰だ」
「衛宮くん」
「ああ、なるほど……」
「衛宮くんならたぶん、ちょうど今のランサーくらいの年頃の服は持ってそうでしょ、捨ててなければ」
「決まりだな。じゃあマスター、頼んだぜ」
「何言ってんのランサーも行くんだよ」
「オレも行くのかよ! 地雷原に裸で突っ込むようなもんじゃねーか!!!」
「もしもし衛宮くん? あのね、突然変なこと聞いてごめんね。衛宮くんが子供の頃に着てた服って……」
「おい聞けよ!」
「え、まだある? 本当? 実は、お願いがあるんだけど、しばらくその服借してもらえないかな? ………ありがとう!! 今から行ってもいい? ……わかった、じゃあ向かうね! ……よし。という訳だランサー。衛宮邸に行くよ」
「拒否権はねえのか……」
「当然でしょう、貴方の服なんだから。マスターに取りに行かせて自分だけ楽しようなんざ甘いっつーの! というか、事情説明もなしに突然自分が昔着てた服を着た子ランサーを目撃してしまったら衛宮くん大混乱でしょうが」
「いや、事情はお前が説明してくれりゃいいだけだろ」
「だまらっしゃい! いくったらいくの! 私のランサーはこんなに可愛いんだって見せびらかしに行くんだから!!」
「さっき心のアルバムに仕舞うとか言ってなかったか!?」
「あれは嘘よ。私の言うことを間に受けるなんて私のサーヴァントとしては二流ね!」
「どこの菌糸類だお前は! だーもう、わーったよ! ついてきゃいいんだろ! でも女の格好で外出るっつーのは、やっぱ気がひけるぜ…」
「いーや、超可愛いよ。女の子でも通るって。でもちょっとアレンジがいるかな……。その椅子座って」
「お、おう」
「前髪は下ろして、後ろ髪は2つに分けて結んで、飾りゴムでもつければ……っとできた! どっからどう見ても女の子! 青髪が目立つけどまあそれはそれ」
「うわぁ……これは……かわいいのか?」
「私の言葉が信用できないと?」
「さっきと言ってること真逆だぞ!!」
「可愛いってのは本当にそう思ってるよ。これは本心。贔屓目なしに。それに、衛宮くん家までの道行だけだから我慢して…ね?」
「……なんか釈然としねえな」
「さて、お出かけ準備も整ったし、早速行こう!」
「……はいよ、マスター」
◼︎道中にて
「おい、どうした急に、深刻な顔して」
「……ねえランサー?」
「なんだ?」
「……もしかして、そのスカートの中って、パンツ、履いてなかったりする?」
「あ!? …………履いてるに決まってるだろ」
「なにその間。でも、よく男の子用の下着なんてあったね? ギルが貸してくれるとも思えないし、どうしたのかなって……」
「あー、まあ、その、なんだ、ことみねが、くれた」
「歯切れが悪いですぞランサーくん」
「んだよ! 履いてるって言ってんだろ!!」
「じゃあスカート捲って見せて?? ぺろっと。エロCGみたいに」
「どうしてそうなる!!」
「いや、私には綺礼がそこまでしてくれると思えなかったから、つまりノーパンの可能性が微レ存……? とか思いだしたら気になって仕方なくて!! ……じゃあ、捲らなくてもいいからせめて覗かせて!」
「いやおかしいだろそれ!! なんでそこで捲るとか覗くっていう発想になるんだよお前は!!!」
「愛するランサーの全てを知りたいからに決まってるでしょ!!」
「この状況で全然嬉しくねえよそのセリフ!! ……あっちょっ、やめろ!! こら、女にあるまじき顔してるぞ! マジで!!」
「履いているなら拒む理由はあるまい……?? これだけ必死になって拒むということはつまり………」
「やめろ! 落ち着けこのアホっ!!」
「………いったぁ〜……筋力Bに殴られた……」
「いや、流石に加減はしたぞ……少し頭冷やせ」
「はい、ごめんなさい。取り乱しました。ぐすん」
「……まあ、白状すると言峰は何も用意してくれなかったよ。だから……お前の思ってる通りだ……もういいだろ」
「…… 今の恥じらう顔、サイコーだったよ、ランサー(サムズアップ)」
「……まさかお前がここまで変態だとは思わなかった」
「えへへ、ありがと」
「褒めてねーよ!」
◼︎江戸前屋に寄る
「あ、そうだ。せっかくこっちまで来たし、江戸前屋にでも寄ろうかな」
「ん、ああ、よくボウズや嬢ちゃんたちが寄り道してる店だな。オレは行ったことないが」
「そうなの?この辺でバイトしてたから食べたことあると思ってた。遠いからあんまり来られないけど、私ここの大判焼き好きなんだ。……っと、着いた着いた」
「いらっしゃい」
「こんにちは! おばちゃん、どら焼きを…えーと衛宮くん家って何人いたっけ…ひぃふぅみぃ、んー、少し多めに10個かな。あと大判焼きを、ランサー、つぶあんとこしあんどっちがいい?」
「いや、オレは遠慮しとく」
「なんだって! 江戸前屋の大判焼きを食べたことないなんて人生損してるよ!! 買ってあげるから食べな」
「お、おう……そこまで言うならじゃあ、こしあんで」
「じゃあ、つぶあんとこしあん1つずつください」
「はいよ、嬉しいこと言ってくれるねぇ。たくさん買うけれど、お土産かい?」
「はい、どら焼きは友達へのお土産です。大判焼きは、今食べます」
「そうかい。じゃあ1200円ね」
「あれ?おばちゃん、大判焼きの値段入ってないよ?」
「おまけしといたげるよ。内緒だよ。ほら、どら焼き10個と、大判焼きは今焼けたやつ、持ってきな」
「おまけしてくれた上に焼きたてなんて……おばちゃん、ありがとう!」
「なに、その可愛い嬢ちゃんは外国人だろ?せっかくなら美味しいの食べてほしいからね。あんた風に言うと、人生損しないようにさ。はい、こっちがこしあん。熱いから、気を付けて食べるんだよ」
「あ、ありがとう」
「よかったねランサー!」
「いいって。またおいでね」
「おばちゃん超いい人だったね!やっぱ遠くてもまた買いに来よう」
「……本当に女に見えるんだな」
「だから最初にそう言ったじゃない」
「やっぱ釈然としねー」
◼︎結局ただのバカップル
「はむっ……あっ、あふっ……はふっ」
「今食べんのかよ」
「何言ってんの。これは、ランサーと2人きりで食べたかったから買ったんだよ?」
「……こういう事さらっというんだからオレのマスターは可愛いよなー不意打ちだぜったくよー」
「ほら、冷めないうちに食べなよ」
「おいおい、スルーかよ。……はむっ……うん、たしかにうめえな!こしあん、一口食うか?」
「いいの? 実はちょっと迷ったんだよね。ランサーもつぶあん一口食べる?」
「食べる食べる。じゃあ交換な」
「やったー。うん、やっぱこしあんもしっとりしててこれはこれで」
「つぶあんもなかなかイケるなこりゃ。………どうしたんだ、じーっと見て」
「大判焼きを頬張るショタ……可愛い……可愛い……」
「やっぱさっきのナシ! 前言撤回! オレのマスターはアホだ!」
「はー美味しかった。」
「なあ依久乃、ちょっとしゃがめ」
「なになに?」
「(唇をぺろり) うん、甘いな」
「ちょっ……やっ、こんな人前で何すんのバカ!」
「口にあんこ付けてるからだ。ったく、こんな格好させられてんだから、これくらいはご褒美もらわねーとな」
「……大判焼きじゃ足りなかったっていうの……」
「もちろん大判焼きも、お前の唇も美味しかったぜ。ごっそーさん」
「うわあああ。耳元でとかほんとやめて!
忘れがちだけどこいつそういえば色男だった…くそ……油断してた……!! あんなかわいい見た目でこういうことされると何かに目覚めそうじゃない……!」
「これ以上目覚める性癖があるのかお前は!」
◼︎一番会いたくない奴にばったり
「……………」
「……………」
「……………」
「……………幸運Eは伊達じゃないね」
「……………うるせえよ」
「……………やあ、依久乃。その……あえて聞くが、その子供はなんだ」
「なんだも何も、ご覧の通りです」
「やはり、ランサーなのか……。以前どこぞの英雄王も似たような状況になっていたが同じからくりか」
「そうです。ギルの若返りの薬なのです」
「なるほど……その姿も何だが、貴様に女装趣味があったとは驚きだ」
「なりたくてなった訳じゃねえからな!! 女物着てるのも、断じてオレの趣味じゃねえから! 変な勘違いすんなよ!」
「ところで今日は何故こちら側に? 君が休日に深山町にいるとは珍しい」
「っておい聞けよ!」
「えっとね、うちに女物の子供服しかなかったから、衛宮くんに借りに行くところなの。あ、そうだ、アーチャーも今度飲んでみる? 若返りの薬」
「待て、どうしてそうなる」
「えっ? 面白そうだからに決まってるじゃん」
「君はやはりあの神父の娘だな」
「えへへ。血の繋がりはありませんが! はっ、アーチャーの幼い頃が見たいなら、つまり衛宮くんに飲ませればいいのか」
「いやそれは、やめてくれ! 色々とアレなことになる! それくらいなら、オレが飲んだほうがマシだ!」
「じゃあ飲んでくれるってことね! 言質はとったよ。ふふ、凛に伝えておくね」
「しまった、私としたことが……」
「今回ばかりは同情するぜ……」
◼︎衛宮邸につきました
「こんにちはー」
「よう、雨宮。遠いところお疲れ。ところで、どうしたんだ急に、男の子の服なんて」
「実は、この子のためなの」
「えっ……いつの間に子供なんて……」
「いやいや衛宮くん落ちついて。よく見てよ」
「………その青い髪、もしかしなくても、ランサーなの、か?」
「だったらわりぃかよ、ボウズ」
「うわっ、喋った! いや悪くないけど、一瞬女の子かと思った……リボンしてるし、おさげだし」
「こりゃマスターの趣味だ」
「私が女装少年好きみたいに言うな!!」
「違うのか?」
「誰でも良いわけじゃないよ! じゃなくて、うちの神父が子供服は女物しか持ってないってんで、カモフラージュのためにこんな格好させてるだけだからね」
「そうなのか。ギルガメッシュの時も驚いたけど、これはまた……。でもランサーは性格そのままなんだな」
「そうなの。可愛げなくて残念」
「確かに、喋らなかったら普通に可愛かった」
「テメェいつぞやの夜みてぇにされたいか?」
「嘘ですごめんなさいされたくないです。……まあ、立ち話も何だし、とりあえず上がってくれ」
「うん、お邪魔します」
◼︎ファーストインパクト
「じゃあ俺は服を持ってくるから、居間でゆっくりしててくれ」
「はーい」
「あら、あなたがここに来るなんて珍しいわね」
「こんにちは、イクノ。久しいですね。今日はどういったご用件で?」
「あっ、雨宮先輩、こんにちは」
「こんにちは、凛にセイバー、それに桜。ちょっと衛宮くんにお願いがあってきたの。今日はライダーと藤村先生はいないんだ?」
「ライダーはバイトで、藤村先生は今日はおうちの用事だそうです。今お茶淹れますね。どうぞ座っててください」
「あ、ありがと桜。これお土産、みんなでどうぞ。あ、お茶は2つよろしく」
「わぁ、江戸前屋のどら焼きですね……! ありがとうございます。はい、お茶は2つですね、って2つ……?」
「あ、こらランサー、後ろに隠れない」
「あっ、えっ、ランサー……さん……? って、ええ!?」
「嘘、ランサーなんてどこにも……ってええ!?」
「…………(曖昧な表情で沈黙している)」
「その可愛らしい少女が、ランサーだと言うのですか!?」
「少女じゃねえ! オレは男だ!!」
「「「しゃべった!!」」」
「予想どおりの反応ありがとう。とりあえずランサー、座ろっか」
「ちっ……どうにも居心地が悪くていけねえな」
「それでその子、本当にランサーさんなんですか!? 確かに髪の毛は青いですが…」
「うん、そうだよ。ギルに薬飲まされたの」
「あの金ぴか本当にろくな事しないわね。しかしまた、こんなに可愛かったのね、ランサーの子供の頃って」
「ねー、私もびっくり。可愛いでしょ……。華奢で小柄で……これで性格も戻ってくれたらきっともっと可愛いと思うんだよね……」
「悪かったな性格は大人のまんまで」
「これが、ああなるのですか……時間の流れとは残酷ですね」
「うるせぇよ!」
「時間が止まってるセイバーが言うと説得力あるわね……ってちょっと待った。その服……セイバーと同じやつじゃない?」
「そうなの。綺礼がこれしかないからって……」
「それ、うちにもあるわ。同じデザインでサイズを変えて毎年贈ってきたから……」
「ああ、それでか! 何で綺礼が同じ服持ってるんだろって不思議だったんだ。まあそういう訳だから、これだと釣りにも行けないし、ギルは貸してくれないし、綺礼は買ってくれないってんで、衛宮くんに子供の頃の服を借りようかと思って」
「なるほどね。別に女の子にだって見えるんだから、そのままでもいいのよ? ランサー」
「ふざけんな! 女に見えると言われて喜ぶ男がどこにいるってんだよ!」
「私もそう思ったんだけどねぇ。でもそんな姿を見られたらややこしい事になる相手がいるからって」
「ああ……アーチャーとか」
「まあ、実はここに来る途中にもう会っちゃったんだけどね」
「さすが幸運E……」
「おそらくキャスターもですね。こんな可愛らしい姿を見れば、確実に、あのレースやフリルがたくさん付いた衣装を着せたがるでしょう……」
「確かに、キャスターならやりかねないわね」
「やめてくれ、恐ろしい」
「おーい、お待たせ。サイズわかんなかったから、いくつか合いそうなの持ってきた」
「ボウズ! 今の俺にはお前が救世主に見える」
「んな大袈裟な……。一応、サイズが合うか、着てみてくれ」
「おう! 助かるぜ。ちょっと隣の部屋借りるわ。マスター、覗くなよ」
「あはは! バカだなぁランサー。私がそんなことする訳ないでしょ(ちっ、釘刺された)」
「(ちっ、釘刺されたって顔してる…やっぱ覗く気だったんだな)」
◼︎後日談 若返った(性格子供ver)
「あれ、ランサーがまた若返ってる」
「あっ、マスターだ!(にこっ」
「!?」
「どうしたんだ? マスター。そんなに驚いて。ひょっとして、オレの顔になにかついてるか?」
「口調はほぼ同じだけどこのほとばしる無邪気さ……まさか。あの、ランサーさん、お名前は……?」
「寝惚けてるのか?マスター。セタンタ……じゃなかった、クー・フーリンだよ! つっても、俺の歳だとこの名前はもらったばかりでまだ馴染んでいないんだけどな!」
「な、なんてこと……!! 今回は中身まで若返ってる……!?」
「その通りだ雑種。試しに薬の量を増やしてみたのだ」
「王様!! いつもろくなことしないけど今回だけはGJだよおおお! ありがとう!」
「今回だけとは相変わらず不敬な奴よな……まあよい。前回は貴様の取り乱す姿が愉快だったのでな。中身も子供になればその反応はさぞ面白かろうと思ってな」
「最悪だー! あれ見られてたの……!! っていうかランサーの狼狽える姿じゃなくて私の取り乱す姿が飯のタネだったのかあんたら」
「前回はあの狗で遊ぼうと思っただけだがな。貴様のあのような姿が見られたのは思わぬ収穫だった」
「ぐぬぬ……」
「さあ、今度こそ念願の見た目も中身もパーフェクトショタンタだぞ。存分に堪能するがいい」
「うわああ……確かに念願だけど、ここで反応すると負けな気がする!! どうしてくれようかこの葛藤」
「っていうか首根っこ掴むな!! 離せよ、ギルガメッシュ!! 絞め殺すぞ?」
「はっはっはっ、王に対する口の利き方がなっとらんぞ仔犬。幼き頃からそのような野蛮さだったとは、育ちが知れるな、駄犬」
「うるせえ! オレは王族だが戦士だから育ちとかは関係ねーよ!」
「アンタは逆に幼い頃の育ちが良すぎてどうしてこうなったか全くわかんないけどね……。っていうか、ランサーの少年時代って、大人より凶暴だったような……」
「オレは凶暴なわけじゃない。周りが屈強な戦士ばっかりだから、ついて行くために必死だっただけだ」
「なるほど。幼くとも心は戦士だったわけだ。あとは時代的なものもあるよねきっと。片や王様、片や戦士かぁ」
「マスターはこの姿だったら、オレよりこいつの方がいいのか……?」
「うっ、そんな目で見つめなくても、私はランサーが好きだよ!! っていうかショタコンなのはランサー限定だから!!」
「え、なにこの美少年。もしかしてランサー?」
「ちっ、見つかっちまったか……」
「しょ、ショタンタだこれー!?」
「その呼び方はやめろ。セタンタだ」
「おっとごめん間違えた。ギルの若返りの薬でも飲まされた?」
「ああ、多分、寝てるうちにな。悪趣味な野郎だぜまったく……」
「むしろ私にとっては大変良い趣味……。でも中身は大人のままなんだね……。ギルはあんなに素直になるのに」
「おい、心底残念そうな顔するな。確かに人格はそのまんまだが、別に子供の頃の性格に戻ったとしても、オレはあそこまで変わらないからな?」
「だってさあ……子ギルが可愛いんだから、ショタンタも絶対可愛いと思うじゃん」
「セタンタだ。いい加減にしねぇと刺し穿つぞ」
「でもそのくらいの歳の頃ってまだゲイボルク授かってなかったよね??」
「細けえことをいちいち覚えてやがる……。まあ確かにゲイボルクは授かってなかったが、番犬は絞め殺したな?」
「ひぇっ……もうショタンタって呼ばないからその顔はやめて」
◼︎服について
「そういえば、その服どうしたの?」
「あ? これか。言峰がこれしかないとか言って渡してきた」
「それ女物だよ。しかもセイバーと同じ服じゃん」
「あぁ!? 道理で見覚えがある訳だ」
「ちなみに、神代はどうかわかんないけど、現代じゃ男の子はスカート履かないよ」
「なんだと!?生前は腰布と下帯だったから変わらねえと思ってた……」
「いやそこは気付こうよ、多分嫌がらせだよ」
「くそっ……オレとしたことが……。しかし女物だと……? これじゃ恥ずかしくて釣りにも行けん」
「その格好でも釣りに行こうとしてたの……。しかし男物の子供服かー。ギルガメッシュに貸してもらうのは無理かなぁ」
「大人は無理でも子供状態ならどうだ?」
「いや、多分断られると思う。子供の時でも服装には並々ならぬこだわりがあるみたいだし。センスは壊滅的だけど」
「誰もが思ってるのに怖くて言えないことをさらっと言うとこ、嫌いじゃないぜ」
◼︎コミュニケーション&スキンシップ
「ところでランサーくん、お願いがあるんだ」
「なんだよ改まって」
「こっち来て上目遣いで『お姉ちゃん』って呼んでほしい」
「断る」
「ええーーーなんでーーー嘘でも演技でもいいから言ってよーーー!こんなチャンス二度もあるかわかんないのに!こんな可愛い見た目なのに中身が大人とかどんな焦らしプレイだよーーー!!うわーん!」
「オレのマスターが大人げない……っていうか泣くほどのことかよ」
「お願い、大人に戻れたら言うことなんでも聞くから、一生のお願いー!」
「こんな事に使っていいのかお前の一生」
「悔いは、ない」
「やべえ、目がマジだ。……ったく、しょうがねえなあ………んんっ(咳払い)……泣かないで、お、お姉ちゃん」
「………………!!!」(悶えている&言葉にならない)
「オレのマスターがおかしくなった……」
「……っ……はぁ……らん、さー、くん……」
「なんだよ、また涙目になって」
「抱っこしても……いいかな……??」
「……あーもう、好きにしろ」
「ありがとう! 本当にありがとう! ランサー大好き!!」
「こういう時だけそういうこと言う! ……わふっ……ちょっ、苦し……」
「あ〜〜かわいいよ〜〜健気だよ〜〜やっぱ中身大人でもいい。なでなでなで」
「やめろっ、髪が乱れ……ん?この位置は……!」
「ひゃっ!! やだちょっと、どこ触ってんの! ……ハッ、そうか中身は大人だった!」
「……なんのことかな? お姉ちゃん」
「とぼけるな! 今明らかに胸に顔うずめたでしょ! くっそ……都合悪い時だけ子供ぶっても無駄だから!! きらきらおめめには騙されないからね!! このエロ犬!」
「ちっ、聞こえてやがったか。だがこの姿、いろいろと使えそうだな」
「……これ以上やらしいことしたら耳たぶ引きちぎるから」
「理不尽!!!」
◼︎服の話 つづき
「セタンタのために新しい服買いたいからお金ちょうだいって言ったら綺礼に怒られた」
「あいつケチだな……ってかセタンタ言うな」
「ケチっていうか、清貧をもってよしとする的な……歪んでるくせに根っからの聖職者なんだよね。まあ綺礼のことはいいとして、スカートのまま出掛けちゃダメなの? かわいいし、男の子だってわかんないよ」
「オレを知ってる奴にゃバレるだろ。弓兵なんぞに見られた日には、何を言われるかわかったもんじゃねぇ。それに言峰の野郎の飯が美味くなると思うと癪だ」
「それもそうか……。じゃあこの姿は私の心のアルバムに仕舞っておくよ。うーん、買えないとなるとやっぱ借りるしか……誰かこれくらいの子供の服持ってそうで貸してくれそうな都合のいい知り合いは……って、いるじゃん!」
「おっ、本当か!誰だ誰だ」
「衛宮くん」
「ああ、なるほど……」
「衛宮くんならたぶん、ちょうど今のランサーくらいの年頃の服は持ってそうでしょ、捨ててなければ」
「決まりだな。じゃあマスター、頼んだぜ」
「何言ってんのランサーも行くんだよ」
「オレも行くのかよ! 地雷原に裸で突っ込むようなもんじゃねーか!!!」
「もしもし衛宮くん? あのね、突然変なこと聞いてごめんね。衛宮くんが子供の頃に着てた服って……」
「おい聞けよ!」
「え、まだある? 本当? 実は、お願いがあるんだけど、しばらくその服借してもらえないかな? ………ありがとう!! 今から行ってもいい? ……わかった、じゃあ向かうね! ……よし。という訳だランサー。衛宮邸に行くよ」
「拒否権はねえのか……」
「当然でしょう、貴方の服なんだから。マスターに取りに行かせて自分だけ楽しようなんざ甘いっつーの! というか、事情説明もなしに突然自分が昔着てた服を着た子ランサーを目撃してしまったら衛宮くん大混乱でしょうが」
「いや、事情はお前が説明してくれりゃいいだけだろ」
「だまらっしゃい! いくったらいくの! 私のランサーはこんなに可愛いんだって見せびらかしに行くんだから!!」
「さっき心のアルバムに仕舞うとか言ってなかったか!?」
「あれは嘘よ。私の言うことを間に受けるなんて私のサーヴァントとしては二流ね!」
「どこの菌糸類だお前は! だーもう、わーったよ! ついてきゃいいんだろ! でも女の格好で外出るっつーのは、やっぱ気がひけるぜ…」
「いーや、超可愛いよ。女の子でも通るって。でもちょっとアレンジがいるかな……。その椅子座って」
「お、おう」
「前髪は下ろして、後ろ髪は2つに分けて結んで、飾りゴムでもつければ……っとできた! どっからどう見ても女の子! 青髪が目立つけどまあそれはそれ」
「うわぁ……これは……かわいいのか?」
「私の言葉が信用できないと?」
「さっきと言ってること真逆だぞ!!」
「可愛いってのは本当にそう思ってるよ。これは本心。贔屓目なしに。それに、衛宮くん家までの道行だけだから我慢して…ね?」
「……なんか釈然としねえな」
「さて、お出かけ準備も整ったし、早速行こう!」
「……はいよ、マスター」
◼︎道中にて
「おい、どうした急に、深刻な顔して」
「……ねえランサー?」
「なんだ?」
「……もしかして、そのスカートの中って、パンツ、履いてなかったりする?」
「あ!? …………履いてるに決まってるだろ」
「なにその間。でも、よく男の子用の下着なんてあったね? ギルが貸してくれるとも思えないし、どうしたのかなって……」
「あー、まあ、その、なんだ、ことみねが、くれた」
「歯切れが悪いですぞランサーくん」
「んだよ! 履いてるって言ってんだろ!!」
「じゃあスカート捲って見せて?? ぺろっと。エロCGみたいに」
「どうしてそうなる!!」
「いや、私には綺礼がそこまでしてくれると思えなかったから、つまりノーパンの可能性が微レ存……? とか思いだしたら気になって仕方なくて!! ……じゃあ、捲らなくてもいいからせめて覗かせて!」
「いやおかしいだろそれ!! なんでそこで捲るとか覗くっていう発想になるんだよお前は!!!」
「愛するランサーの全てを知りたいからに決まってるでしょ!!」
「この状況で全然嬉しくねえよそのセリフ!! ……あっちょっ、やめろ!! こら、女にあるまじき顔してるぞ! マジで!!」
「履いているなら拒む理由はあるまい……?? これだけ必死になって拒むということはつまり………」
「やめろ! 落ち着けこのアホっ!!」
「………いったぁ〜……筋力Bに殴られた……」
「いや、流石に加減はしたぞ……少し頭冷やせ」
「はい、ごめんなさい。取り乱しました。ぐすん」
「……まあ、白状すると言峰は何も用意してくれなかったよ。だから……お前の思ってる通りだ……もういいだろ」
「…… 今の恥じらう顔、サイコーだったよ、ランサー(サムズアップ)」
「……まさかお前がここまで変態だとは思わなかった」
「えへへ、ありがと」
「褒めてねーよ!」
◼︎江戸前屋に寄る
「あ、そうだ。せっかくこっちまで来たし、江戸前屋にでも寄ろうかな」
「ん、ああ、よくボウズや嬢ちゃんたちが寄り道してる店だな。オレは行ったことないが」
「そうなの?この辺でバイトしてたから食べたことあると思ってた。遠いからあんまり来られないけど、私ここの大判焼き好きなんだ。……っと、着いた着いた」
「いらっしゃい」
「こんにちは! おばちゃん、どら焼きを…えーと衛宮くん家って何人いたっけ…ひぃふぅみぃ、んー、少し多めに10個かな。あと大判焼きを、ランサー、つぶあんとこしあんどっちがいい?」
「いや、オレは遠慮しとく」
「なんだって! 江戸前屋の大判焼きを食べたことないなんて人生損してるよ!! 買ってあげるから食べな」
「お、おう……そこまで言うならじゃあ、こしあんで」
「じゃあ、つぶあんとこしあん1つずつください」
「はいよ、嬉しいこと言ってくれるねぇ。たくさん買うけれど、お土産かい?」
「はい、どら焼きは友達へのお土産です。大判焼きは、今食べます」
「そうかい。じゃあ1200円ね」
「あれ?おばちゃん、大判焼きの値段入ってないよ?」
「おまけしといたげるよ。内緒だよ。ほら、どら焼き10個と、大判焼きは今焼けたやつ、持ってきな」
「おまけしてくれた上に焼きたてなんて……おばちゃん、ありがとう!」
「なに、その可愛い嬢ちゃんは外国人だろ?せっかくなら美味しいの食べてほしいからね。あんた風に言うと、人生損しないようにさ。はい、こっちがこしあん。熱いから、気を付けて食べるんだよ」
「あ、ありがとう」
「よかったねランサー!」
「いいって。またおいでね」
「おばちゃん超いい人だったね!やっぱ遠くてもまた買いに来よう」
「……本当に女に見えるんだな」
「だから最初にそう言ったじゃない」
「やっぱ釈然としねー」
◼︎結局ただのバカップル
「はむっ……あっ、あふっ……はふっ」
「今食べんのかよ」
「何言ってんの。これは、ランサーと2人きりで食べたかったから買ったんだよ?」
「……こういう事さらっというんだからオレのマスターは可愛いよなー不意打ちだぜったくよー」
「ほら、冷めないうちに食べなよ」
「おいおい、スルーかよ。……はむっ……うん、たしかにうめえな!こしあん、一口食うか?」
「いいの? 実はちょっと迷ったんだよね。ランサーもつぶあん一口食べる?」
「食べる食べる。じゃあ交換な」
「やったー。うん、やっぱこしあんもしっとりしててこれはこれで」
「つぶあんもなかなかイケるなこりゃ。………どうしたんだ、じーっと見て」
「大判焼きを頬張るショタ……可愛い……可愛い……」
「やっぱさっきのナシ! 前言撤回! オレのマスターはアホだ!」
「はー美味しかった。」
「なあ依久乃、ちょっとしゃがめ」
「なになに?」
「(唇をぺろり) うん、甘いな」
「ちょっ……やっ、こんな人前で何すんのバカ!」
「口にあんこ付けてるからだ。ったく、こんな格好させられてんだから、これくらいはご褒美もらわねーとな」
「……大判焼きじゃ足りなかったっていうの……」
「もちろん大判焼きも、お前の唇も美味しかったぜ。ごっそーさん」
「うわあああ。耳元でとかほんとやめて!
忘れがちだけどこいつそういえば色男だった…くそ……油断してた……!! あんなかわいい見た目でこういうことされると何かに目覚めそうじゃない……!」
「これ以上目覚める性癖があるのかお前は!」
◼︎一番会いたくない奴にばったり
「……………」
「……………」
「……………」
「……………幸運Eは伊達じゃないね」
「……………うるせえよ」
「……………やあ、依久乃。その……あえて聞くが、その子供はなんだ」
「なんだも何も、ご覧の通りです」
「やはり、ランサーなのか……。以前どこぞの英雄王も似たような状況になっていたが同じからくりか」
「そうです。ギルの若返りの薬なのです」
「なるほど……その姿も何だが、貴様に女装趣味があったとは驚きだ」
「なりたくてなった訳じゃねえからな!! 女物着てるのも、断じてオレの趣味じゃねえから! 変な勘違いすんなよ!」
「ところで今日は何故こちら側に? 君が休日に深山町にいるとは珍しい」
「っておい聞けよ!」
「えっとね、うちに女物の子供服しかなかったから、衛宮くんに借りに行くところなの。あ、そうだ、アーチャーも今度飲んでみる? 若返りの薬」
「待て、どうしてそうなる」
「えっ? 面白そうだからに決まってるじゃん」
「君はやはりあの神父の娘だな」
「えへへ。血の繋がりはありませんが! はっ、アーチャーの幼い頃が見たいなら、つまり衛宮くんに飲ませればいいのか」
「いやそれは、やめてくれ! 色々とアレなことになる! それくらいなら、オレが飲んだほうがマシだ!」
「じゃあ飲んでくれるってことね! 言質はとったよ。ふふ、凛に伝えておくね」
「しまった、私としたことが……」
「今回ばかりは同情するぜ……」
◼︎衛宮邸につきました
「こんにちはー」
「よう、雨宮。遠いところお疲れ。ところで、どうしたんだ急に、男の子の服なんて」
「実は、この子のためなの」
「えっ……いつの間に子供なんて……」
「いやいや衛宮くん落ちついて。よく見てよ」
「………その青い髪、もしかしなくても、ランサーなの、か?」
「だったらわりぃかよ、ボウズ」
「うわっ、喋った! いや悪くないけど、一瞬女の子かと思った……リボンしてるし、おさげだし」
「こりゃマスターの趣味だ」
「私が女装少年好きみたいに言うな!!」
「違うのか?」
「誰でも良いわけじゃないよ! じゃなくて、うちの神父が子供服は女物しか持ってないってんで、カモフラージュのためにこんな格好させてるだけだからね」
「そうなのか。ギルガメッシュの時も驚いたけど、これはまた……。でもランサーは性格そのままなんだな」
「そうなの。可愛げなくて残念」
「確かに、喋らなかったら普通に可愛かった」
「テメェいつぞやの夜みてぇにされたいか?」
「嘘ですごめんなさいされたくないです。……まあ、立ち話も何だし、とりあえず上がってくれ」
「うん、お邪魔します」
◼︎ファーストインパクト
「じゃあ俺は服を持ってくるから、居間でゆっくりしててくれ」
「はーい」
「あら、あなたがここに来るなんて珍しいわね」
「こんにちは、イクノ。久しいですね。今日はどういったご用件で?」
「あっ、雨宮先輩、こんにちは」
「こんにちは、凛にセイバー、それに桜。ちょっと衛宮くんにお願いがあってきたの。今日はライダーと藤村先生はいないんだ?」
「ライダーはバイトで、藤村先生は今日はおうちの用事だそうです。今お茶淹れますね。どうぞ座っててください」
「あ、ありがと桜。これお土産、みんなでどうぞ。あ、お茶は2つよろしく」
「わぁ、江戸前屋のどら焼きですね……! ありがとうございます。はい、お茶は2つですね、って2つ……?」
「あ、こらランサー、後ろに隠れない」
「あっ、えっ、ランサー……さん……? って、ええ!?」
「嘘、ランサーなんてどこにも……ってええ!?」
「…………(曖昧な表情で沈黙している)」
「その可愛らしい少女が、ランサーだと言うのですか!?」
「少女じゃねえ! オレは男だ!!」
「「「しゃべった!!」」」
「予想どおりの反応ありがとう。とりあえずランサー、座ろっか」
「ちっ……どうにも居心地が悪くていけねえな」
「それでその子、本当にランサーさんなんですか!? 確かに髪の毛は青いですが…」
「うん、そうだよ。ギルに薬飲まされたの」
「あの金ぴか本当にろくな事しないわね。しかしまた、こんなに可愛かったのね、ランサーの子供の頃って」
「ねー、私もびっくり。可愛いでしょ……。華奢で小柄で……これで性格も戻ってくれたらきっともっと可愛いと思うんだよね……」
「悪かったな性格は大人のまんまで」
「これが、ああなるのですか……時間の流れとは残酷ですね」
「うるせぇよ!」
「時間が止まってるセイバーが言うと説得力あるわね……ってちょっと待った。その服……セイバーと同じやつじゃない?」
「そうなの。綺礼がこれしかないからって……」
「それ、うちにもあるわ。同じデザインでサイズを変えて毎年贈ってきたから……」
「ああ、それでか! 何で綺礼が同じ服持ってるんだろって不思議だったんだ。まあそういう訳だから、これだと釣りにも行けないし、ギルは貸してくれないし、綺礼は買ってくれないってんで、衛宮くんに子供の頃の服を借りようかと思って」
「なるほどね。別に女の子にだって見えるんだから、そのままでもいいのよ? ランサー」
「ふざけんな! 女に見えると言われて喜ぶ男がどこにいるってんだよ!」
「私もそう思ったんだけどねぇ。でもそんな姿を見られたらややこしい事になる相手がいるからって」
「ああ……アーチャーとか」
「まあ、実はここに来る途中にもう会っちゃったんだけどね」
「さすが幸運E……」
「おそらくキャスターもですね。こんな可愛らしい姿を見れば、確実に、あのレースやフリルがたくさん付いた衣装を着せたがるでしょう……」
「確かに、キャスターならやりかねないわね」
「やめてくれ、恐ろしい」
「おーい、お待たせ。サイズわかんなかったから、いくつか合いそうなの持ってきた」
「ボウズ! 今の俺にはお前が救世主に見える」
「んな大袈裟な……。一応、サイズが合うか、着てみてくれ」
「おう! 助かるぜ。ちょっと隣の部屋借りるわ。マスター、覗くなよ」
「あはは! バカだなぁランサー。私がそんなことする訳ないでしょ(ちっ、釘刺された)」
「(ちっ、釘刺されたって顔してる…やっぱ覗く気だったんだな)」
◼︎後日談 若返った(性格子供ver)
「あれ、ランサーがまた若返ってる」
「あっ、マスターだ!(にこっ」
「!?」
「どうしたんだ? マスター。そんなに驚いて。ひょっとして、オレの顔になにかついてるか?」
「口調はほぼ同じだけどこのほとばしる無邪気さ……まさか。あの、ランサーさん、お名前は……?」
「寝惚けてるのか?マスター。セタンタ……じゃなかった、クー・フーリンだよ! つっても、俺の歳だとこの名前はもらったばかりでまだ馴染んでいないんだけどな!」
「な、なんてこと……!! 今回は中身まで若返ってる……!?」
「その通りだ雑種。試しに薬の量を増やしてみたのだ」
「王様!! いつもろくなことしないけど今回だけはGJだよおおお! ありがとう!」
「今回だけとは相変わらず不敬な奴よな……まあよい。前回は貴様の取り乱す姿が愉快だったのでな。中身も子供になればその反応はさぞ面白かろうと思ってな」
「最悪だー! あれ見られてたの……!! っていうかランサーの狼狽える姿じゃなくて私の取り乱す姿が飯のタネだったのかあんたら」
「前回はあの狗で遊ぼうと思っただけだがな。貴様のあのような姿が見られたのは思わぬ収穫だった」
「ぐぬぬ……」
「さあ、今度こそ念願の見た目も中身もパーフェクトショタンタだぞ。存分に堪能するがいい」
「うわああ……確かに念願だけど、ここで反応すると負けな気がする!! どうしてくれようかこの葛藤」
「っていうか首根っこ掴むな!! 離せよ、ギルガメッシュ!! 絞め殺すぞ?」
「はっはっはっ、王に対する口の利き方がなっとらんぞ仔犬。幼き頃からそのような野蛮さだったとは、育ちが知れるな、駄犬」
「うるせえ! オレは王族だが戦士だから育ちとかは関係ねーよ!」
「アンタは逆に幼い頃の育ちが良すぎてどうしてこうなったか全くわかんないけどね……。っていうか、ランサーの少年時代って、大人より凶暴だったような……」
「オレは凶暴なわけじゃない。周りが屈強な戦士ばっかりだから、ついて行くために必死だっただけだ」
「なるほど。幼くとも心は戦士だったわけだ。あとは時代的なものもあるよねきっと。片や王様、片や戦士かぁ」
「マスターはこの姿だったら、オレよりこいつの方がいいのか……?」
「うっ、そんな目で見つめなくても、私はランサーが好きだよ!! っていうかショタコンなのはランサー限定だから!!」
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