14. 12人の守護団
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煙の中から、フェリチータが出てくることはなかった。
煙が晴れるのを待って、守護団が構えを取る。
リアも銃撃を放ったブロンドの女性も、そのまま一点を見つめていたが、徐々に違和感を感じ始めた。
見つめた一点の先に錬成陣。
ブロンドの女性が表情を険しくする。
「錬金術…」
リアが静かに呟けば、煙が晴れた。
中から出てきたのは、2つの影。
1つは倒れ込んだフェリチータ。
そしてもう1人…。
フェリチータはそこにいる人物に顔をあげて、ただただ唖然とするだけだった。
防ぎきれない威力の弾だったので、軌道を自ら避けて反動から体を守るために張られた錬成陣。
この状況下でここまで動けるのは…おそらく彼しかいない。
「ジョーリィ…ッ」
「ケガはないかな…お嬢様」
サングラスの奥が揺れた。
月が刻まれたその瞳に、怒りが映る…―――。
その色にフェリチータは息を飲んだ。
14. 12人の守護団
「錬金術…か」
ワイヤーを操るサクラが静かに呟いた。
眉間にシワを寄せて、現れたジョーリィの姿を睨む。
前に出ていた鞭を使うファリベルも、その隣に並んだリボンの少女・エリカも彼を見つめた。
ジョーリィもやられた分は返そうと腕をあげた時だった。
「フェリチータ!」
「お嬢様っ!」
「フェル!」
「バンビーナッ!」
「お嬢!!」
「みんな…ッ」
バンッッ!!と勢いよく扉が開かれた。
教会の入り口からぞろぞろと現れるのはファミリーたち。
会場に置いてきてしまったが、どうやら追って来てくれたようだ。
「クックック…ぞろぞろと…」
ジョーリィも笑みを浮かべた。
めんどくせぇな…と表情を変える守護団たち。
だが、アルカナファミリアたちはこの状況だけでは一体何が起きているのか、理解に苦しんだ。
「これは…ッ」
「やっぱり敵地だったンだなァ」
「みたいですね…」
「……なるほどな」
事情にあたるであろう一部を知っているデビト、ルカ、アッシュは声をそろえた。
パーチェも拳を構え、戦闘態勢を見せる。
リベルタは“わかんねぇ!”という顔をしつつも何も言わず、彼らに力を貸すことにしたようだ。
「全員そろっちゃったわけか」
リアがどうでもよさそうに呟けば、銃と会話をしていたイオンも扉の方へと視線を向けた。
「でも、向かう手間が省けたんだから、いんじゃねーの?」
ジジがニィっと笑う。
呆れた、というようにアルトが視線と一度彼に向けたが、ジジの脳内は金儲けのことで一杯だったのだろう。
特に反応はなかった。
「で、説明してもらおうか…?」
ノヴァが刀を抜き、この現状を見返せばデビトとアッシュが同時に武器を構えた。
リベルタも眉間にシワを寄せつつ、この状態がうして起きたのかを必死に考えている。
「どーすんの?リア」
サクラがめんどくさいぃと表情に出しながら言えば、リアはそっぽを向いて溜息をついた。
話出してやろうと思ったときだった。
先に口を割ったのは、ジョーリィ…。
「答えてもらおうか。タロッコの行方と…ユエの居場所を」
「ユエ!?」
「やっぱり…」
フェリチータが呟いた意味は、先程のメッセージカードから来ているようだった。
“ユエの死”……―――。
「なぁんだ、知ってたんだー?」
後ろで銃と話をしていたイオンが、へらへらしながらジョーリィに答えた。
「おれらがユエちゃん、捕まえたことー」
「な…」
「…っ」
過敏に反応を見せたのは、デビトとアッシュ。
身を案じ、不安な表情を見せたのはルカだった。
「でもざんねーん、今ここにはいないよー」
イオンが続けた言葉に、苛立ちを募らせるのはジョーリィ。
フェリチータが立ち上がり、声をあげた。
「何が…したいの…」
「…」
「オリビオンって何…っ」
フェリチータの叫びすらも、嘲笑ったのは水色の瞳を冷たく見せたリアだった。
「知ってどうするわけ?」
「…」
「アンタらはここで用済みになるんだし、知らなくていーでしょ」
リアの言葉にもう1度目の前に現れた12人が構えを取った。
ワケが分からないまま進む展開だったが、ジョーリィが切った。
「オリビオンは100年前の大都市だな」
「え…」
「!」
「………へぇ」
ジョーリィの答えに、ジジが笑う。
「知ってんのか、グラサンジジイ」
「没落した都市だろう?100年前、廻国という存在で起きた戦いの中で…」
「没落なんてしてないッッ!!!」
その精神を逆なでするような言葉に言い返したのは、リボンの少女…エリカだった。
同時に憤りの反応を見せる者も多い。
「100年前の人たちがどうしてタロッコを…!?」
謎は深まるばかり。
だが、時間も多くはない。
「時間の無駄」
「だな」
リアの呟きとジジの同意。
最も背後で佇んでいたツェスィは、切なく表情を伏せた。
「行くぜ」
「エトワールぅー」
「イオン、気を抜くな」
「アルトくんもねー」
「お前に言われたくない」
ガッと駆けだしたのは、最前線にいたアルト、イオン、ラディ、そしてジジだった。
「大アルカナなんだってなァ!!?」
鍔のない剣を携え、突っ込んできたジジに太刀打ちしたのはノヴァだった。
「ノヴァ!!」
「任せろ」
ジジの剣をノヴァの刀がぶつかり合う。
後方から支援を飛ばしてくるイオンの銃声と、ラディの矢。
対して、相手側まで突っ込むことを決め込んだのはリベルタとアッシュ。
アルトが銃ではなく、サバイバルナイフを構え、ジジの後を追い、リベルタとぶつかり合う。
「くっ…!」
「…」
「よくわかんねぇけどユエとダンテは一緒だったって聞いた…!2人をどうしたんだ!!」
「お前に話すことじゃない」
「ふざ…」
リベルタが、アルトのサバイバルナイフを力任せに弾いた。
「けんなッッ!!!」
「!」
キーン、と音を立ててナイフを弾かれたナイフ。
アルトが一瞬顔をしかめ、身を空中に退く。
さらにリベルタが斬り込む前に、アルトはホルスターから銃を引き抜いた。
「な、銃…!?」
これじゃあ避けきれない!と退く前に引き金が動く。
「リベルタ!」
フェリチータが投げかけたナイフが到達する前に、リベルタの前には錬成陣が現れた。
アルトの弾が全てそこで弾かれる。
珍しい…とルカが背後で表情を変えたが、リベルタを守ったのはジョーリィだ。