【Prequel Day】キャラウェイ × Kiss
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「で、ここでレモン汁を入れて行きます。次の工程で必要なメレンゲのシロップをここで溶かしておくと便利です」
「こ…こんな感じ?」
「はい、お上手です。お嬢様」
幽霊船騒動から、5日が経過したアルカナファミリアの厨房。
いつも通りの日常を取り戻しつつ、体に刻まれたケガをそれぞれが回復させているところだ。
そのケガが、確かに幽霊船騒動があったことを伝えている。
「美味しく出来るかな?」
「大丈夫です。きちんとバックアップしますから」
そして、厨房にいる2人は平和な時間を使い、リモーネパイを作っている所だった。
お嬢様…フェリチータと、従者のルカ。
お互いが手を動かしつつ、ファミリーが大好きなリモーネパイを作っているところだ。
「お嬢様、こっちの器の方がきっと混ぜやすいですよ」
「ありがとう、ルカ」
ルカから差し出された器を受け取りつつ、フェリチータがにっこりと微笑めば、ルカもつられてにやーっと口元を緩めて行く。
「おい、ルカ!ちょいとコッチ手伝ってくれないか?」
「え、あ、マーサ?」
厨房でにやにやしながら頬を染めて、生地をこねていたルカが奥の方からマーサに呼ばれる。
2人が首をかしげると、奥からマーサが現れた。
「おや、お嬢様もいたんだね!あ、それはリモーネパイかい?」
「うんっ!みんなに振る舞えば、きっと喜ぶからってルカが教えてくれてるとこ」
「なるほどね。そんなとこ、邪魔しちゃあれなんだが…ちょいとルカを借りてもいいかい?」
悪いね…と笑いながら、厨房の奥を指差すマーサ。
「食材を市場から直送してもらったんだが、量が多くてね。本当はパーチェがいればいいんだけれど、今棍棒の調査に出てる所だからさぁ…」
「わかりました。お嬢様、ちょっと手伝ってきますね?」
「私も手伝おうか?」
「いや、お嬢様はそのままレモンカスタードを作ってて下さい」
助かるよーと告げてまた奥に引っ込んだマーサに続き、ルカがその背を追いかける。
「あとはそこにある材料を全て混ぜて、なめらかになったら冷蔵庫で冷やすだけですから!」
「わかった…」
「じゃあ、お願いします!」
バタバタ…とルカが奥へ消え、フェリチータが1人で目の前のカスタードとにらめっこをする。
「えっと…」
材料全て…と言われ、真横に置いてあったレモンの汁と、レモンの皮をきざんだヤツ、あとは…
「これも…かな?」
材料のまとまった場所から…少し離れた場所に、綺麗な小瓶が置かれていた。
透き通る液体の入ったそれ。
小瓶のフタを開けてみて、匂いをかいでみると…キャラウェイの匂いがした。
「キャラウェイ…」
ルカがわざわざ作ってくれたんだ、とフェリチータは液体の正体を…―――誤解した。
以前もキャラウェイについて話が出た時“惚れ薬”だのなんだのという話題になったが、お菓子に入れると美味しくなる効果があることをフェリチータはそこで初めて知った。
だからこそ…怪しむことがなかったのだ。
「これくらいでいいかな…?」
フェリチータがレモンカスタードの中に3、4滴小瓶を振り、液体を入れ込む…。
「…ん、いい匂い……」
満足し、フェリチータが小瓶を元の位置に戻す。
少しだけ混ぜた時点で、ルカが戻ってきて、そこから再びリモーネパイを作る作業へ。
完成したリモーネパイは……―――大変な凶器となった。