19. 目を合わせ、対峙して
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ダンテがバズーカをあげた甲板では、最終決戦に向ける戦いが起きていた。
大量の骸骨を倒しながら、タロッコを探しまわるノヴァとダンテ。
そしてそこに現れたのは…
「お前…っ」
「なんだ、豆か」
「ま、豆…ッ!?」
「イチゴ頭はどこだ」
瞳に光を見せない、アッシュの姿だった。
19. 目を合わせ、対峙をして
「お前…」
ノヴァが刀を振るう手を止めて、アッシュを見つめる。
その瞳には、初めて対峙した時よりも遥に光…希望というか、彼を支えるものが無くなったように見えた。
「ノヴァ!…って、お前は…!」
ダンテが骸骨を相手にしつつ、ノヴァと対峙をしたアッシュを見て、言葉を止める。
ノヴァは構えを取った。
「お前の望みは、フェリチータの運命の輪だろう…?」
「あぁ…。あれがあれば、ヨシュアを助けられる」
「貴様、自己中心的にも程がある…。あの力はそう簡単に使わせる訳にはいかない」
「だったら…―――止めて見せろよ」
アッシュが手を掲げて、呟いた。
「我、偉大なるウィル・インゲニオーススの力を解き放つ」
「(また…っ)」
「ミラコロ・ディ・ナスチータ」
飛んできた技に、ノヴァが刀を振るい、かわしていくが…
「なっ―――」
「ノヴァッ!!」
かわしきれなかった死角から、ノヴァの体を錬金術が捕えたと思えた。
その時だ。
「!」
パキン…と、冷え切った音が響く。
ノヴァを守ったのは、よく見る錬金術の盾。
そこには…
「ジョーリィ!」
「パーチェも…」
「チッ…能無し錬金術師が…っ」
アッシュが防がれた攻撃に舌打ちをかます。
アッシュと対峙に乗り出したのは、意外にもジョーリィだった。
「パーチェ、ノヴァとダンテと共に、そちらへ参戦しろ」
「わかった!」
「1人で十分だってか?なめられたもんだな…」
アッシュが笑ったが、その笑みは絶望に満ちている…。
決していいものではなかった。
「はぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
ジョーリィに斬りかかりつつ、片手では錬金術を繰り出すアッシュ。
彼の強さは、本物…そして錬金術の才能は天才的であった。
「ふっ…」
だが、ジョーリィは笑う。
「似ているな…」
「ぁあ!?」
「似ている…お前の動きと、」
すっ…と一歩退きを見せたジョーリィの指先が宙を横にきれば、ボォッと青い炎が飛び出す。
「ユエの動きは」
「ッ!」
「お前とユエはこの船でにいたのだろう。そして…」
アッシュの攻撃をすんなりかわしたジョーリィが、次に逆方向に回しておいた炎をアッシュに命中させた。
「ぐあ…ッ」
「お前ら2人の戦闘術の師は…ヨシュアというわけだ」
だから、動きが読みやすい…とジョーリィが葉巻を咥えなおした。
「アイツと…」
アッシュが大勢を立てなおして…ジョーリィを睨み上げた。
「一緒にするなァァァァアア!!!!」
爆発した魔術師の力は、アルカナ能力ではなく、錬金術の方に現れた。
「アイツは…ッ、アイツは…!!!」
飛び交う火の粉を、ジョーリィは魔法陣の盾で防ぎ続ける。
「俺を…この船を…ヨシュアを……ッ!!!」
―――あの、おびえた顔が離れない。
「捨てたんだッッ!!!!」
―――どれだけ慰めを受けても…時が経てば経つほど、アイツが出て行った原因は…
やはり俺にあるとしか、思えなくなった。
「戻ったかと思えば自警組織?アルカナファミリア?タロッコを盗んだ組織の一員だと……?」
「…」
「ざっけんなァ!!!」
錬金術がダメだと思ったようで、アッシュがジョーリィの盾に斬りかかった。
「そんなに俺が憎いなら……ッ、怖いなら正直にそう言いやがれッッ!!!!」
―――ちゃんと俺を見て…
「対峙しやがれッッ!!!!」
叫ばれた、アッシュのユエへの想い。
そこには吐き捨てられた間逆の感情が含まれているはずだ。
「それは私ではなく、ユエに言うべきだろう」
「黙れ能無し錬金術師……ッ!!」
「貴様は井の中の蛙同然だ。世界が狭い上に自信過剰…――」
バチバチと火花を飛ばすほどの力でぶつかりあっていた盾と刃が一旦離れる。
「弱いな」
「な…っ」
ジョーリィに言われた言葉に、アッシュが息を詰まらせた。
「ルーナ・ピエーナ・ソンノ」
「っ!」
ジョーリィが発動したアルカナ能力に、アッシュが嵌る。
脳内に辛い記憶―――トラに化け、父親を殺めてしまったことが浮かぶ。
「あぁあああぁああああぁぁぁぁぁあああ」
叫びをあげて苦しみ続ける彼に、背後で戦っていたノヴァやパーチェが動きを止めた。
「ジョーリィ……!」
「ちょ、アレやりすぎじゃないのぉ……!?」
パーチェがアッシュを心配したが、ジョーリィは止める気はないようだ。
そこに参戦したのは……
「ジョーリィ!」
「アッシュ……」
リベルタとフェリチータを連れて、甲板に戻って来たルカだった。
苦しむアッシュの姿にフェリチータがジョーリィに掴みかかった。
「ジョーリィ、やめて……!」
「お嬢様…」
「アッシュにも理由があるの……ッ」
「ヨシュアを助けるということか?」
「!」
その単語に反応したのは、フェリチータやルカではなくリベルタだった。
「ヨシュア……―――っ」
知ってしまった事実。
彼が、自分の父親。
そしてその彼が苦しみ続け、それを救うために動き続けているアッシュ。
リベルタはアッシュを責めたり、彼と戦うことができなかった。
「ぐあぁああああああああぁあぁあ」
叫びを上げ続けるアッシュに、黒いオーラが纏い始める。
さすがにそれを見て、ジョーリィがアルカナ能力を解こうとしたが……先に異変が現れた。
「がぁぁぁあああああああ……ッ―――」
「!?」
纏われた光が地に錬成陣を生み出し、そして―――
「アッシュ……ッ」
目の前で、白いトラに化けたのだ。
「……なるほどな」
ジョーリィが関心の意を示したが、様子がおかしい。
館で見たトラとは違う。
碧い眼は今……あの日と同じ赤い眼をしていた。
「離れて下さい、お嬢様ッ!!」
ルカがトラと対峙してしまったジョーリィの傍にいるフェリチータに叫ぶ。
リベルタがスペランツァを抜き、フェリチータの前に出ようとしたが……
「―――っ…」
先に彼を襲ったのは、ノヴァやパーチェが防ぎきれなかった骸骨の群れ。
その量は先程にも増して、底なしで湧いてくる。
「クソ…ッ」
リベルタが振り向きざまに骸骨を倒していく間にも、トラへと化けたアッシュの自制は切れ、ついにはフェリチータ目がけて飛びかかって来た。
「お嬢様!!!」