01話
夢小説設定
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黄金色の光が、ふんわりと広がっている。
ミラーボールのような反射物はないはずなのに、キラキラと一面を輝かせる光。
この光に射されることが、私へ多幸感を齎すのだといつも思う。
清廉とした空気、会場独特の匂い。高貴な方だけを集めているわけではないはずなのに、ホールが来場者は紳士淑女と呼ぶに相応しい容姿が目立つのはいつものことだ。
座席が埋まる瞬間はいつだって緩やかに鼓動が高鳴っていく。でもそれは決して嫌らしい高鳴りではなくて、私が私である由縁を思い出させるもの。
チューニングの音。
始まりを待つ人たちの高揚感を乗せた声。
譜面をめくる紙が擦れる音。
息を吸い込み吐き出す、小さな呼気の気配。
一音目が鳴るまでの、静寂。
全部、ぜんぶ、大好きだ。
舞台袖で一度目を閉じて、深呼吸をしよう。
ゆっくり、ゆっくりと鼻から息を吸い込んで―――
さぁ、物語の始まりだ。
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