愛しい人よ!どこへ行ってしまわれたの!?
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「デビトってさ、今まで女の人と付き合ったことってあるのかな?」
「え?」
いつものリストランテ。
なまえが諜報部の船の上で過ごすようになってから、リベルタが何かと昼食を誘ってくれるようになっていた。
そんな彼と選んだいつものリストランテに、今日はフェリチータとルカ、そしてパーチェもそろって5人でご飯を食べていた時だ。
フェリチータから繰り出された疑問に、誰もが料理から顔をあげた。
「特別な1人をつくらなさそうなイメージがあるから」
一斉に顔をあげられて、視線を向けられたことでフェリチータが赤面している。
リベルタが、あぁ~!なんて声をあげて、フェリチータと同じことを思っていたようだ。
「確かに確かに!デビトって、カジノにくる端から端の女を口説いてそうだよな」
「リベルタ。いくらなんでもそこまで言わなくてもいいのでは?」
リベルタの言葉に、ルカが一応幼馴染のフォローに入る。
なまえとパーチェは確かにデビトと幼馴染なのだが、特に気にせず――1人は装い――食事を続けていた。
「でもでも、デビトって“好み”とか“タイプ”とか無さそうじゃねえ?」
「え」
「なぁーんか、女なら誰でもいいって感じするし」
「り、リベルタ……」
リベルタがピッツァを食べつつ続けた言葉に、本人がいなくてよかったのかも。とルカが思った。
「デビトはタイプっていうか、“女の人”を大事にしてるんじゃないかな?」
「女の人を大事に?」
「うん。シニョリーナはみんなダイヤの原石みたいな感じで」
「…………………。」
フェリチータはフォローとかではなく、素直に思ったことを口にしたようだ。
デザートで運ばれてきたパンナコッタを笑顔で頬張るフェリチータ。
なまえは机に頬杖ついたまま、ただただ無言で手を止めていた。
「で。実際、どーなのそこ?」
「なにがですか?」
「デビトの奴、特定の誰かと付き合ったことってあんの?」
「……」
パーチェとルカが顔を見合わせる。
そして無言のまま、目をぱちぱちさせるやり取りが数回繰り返された。
「そうですねぇ………記憶にはありませんね」
「だねぇ?どっちかっていうとカジノにいる以外はオレたちとこうやってご飯食べたり、飲んだりしてる方が多いし?」
「あ、でも私この前フェデリカドレスから女の人と出てくるデビトを見かけたよ?」
「え」
「へぇ?」
目の前で、実に楽しそうに繰り広げられるやり取り。
責める気も、止める気もないのだが……なまえはフォークが進まなくなった。
そのまま考え込むというより、眉間にシワ寄せて“うぇ…”という顔をしている。
「誰かへのプレゼントかな?」
「そうですね……。贈り物自体は、いろんな女性に幾度となくしてると思いますけど」
実際、フェリチータも以前……今年の4月の下旬にカジノから逃げたイカサマ少女――このイカサマ少女。ミレーナの友人が後に現れるなまえだった――を追う時、汚れてしまったリボンの代わりということでプレゼントを受け取っていた。
「なんてーか……すごいな、デビトの奴」
「そうだねぇ、息を吸って吐くように口説いてるというか」
パーチェもついにはリベルタ側へ回ってしまい、一応フォローしてやっていたルカは、どうしたらいいのかわからなくなっていた。
………まして、ルカは隣に腰かけた少女が黙り始めたのに気付いている。
「でもドレスって……」
小さくつぶやいたなまえの声が、“信じらんない……”と訴えるものであり、ルカがあわあわと焦り始めた。
「き、きっと常連客の方へのものですよ!そうです、はい、そうです!」
ルカが何故か一生懸命になまえの方向を向いて大きく腕を広げながら、“HAHAHAHA~”という空ぶりな笑いを見せる。
なまえの眉間のシワは更に深まった。
「てことは、デビトはもう大人な世界を見てるんだよな……」
ボソリ……と零したリベルタの疑問に、何も思わなかったようでパーチェが繰り返してしまった。
「大人な世界?」
「ぐふぅ…!?」
水を口に含んでいたルカが盛大にむせる。
フェリチータが正面から、ルカに首をかしげながら“大丈夫……?”と顔を覗きこんでいた。
「リベルタぁ~……なになに、憧れってやつぅ?」
「ち、ちが…っ!てか、お嬢となまえがいる!!」
「え?」
フェリチータはそこまで気にしていなかったようで、がっちりリベルタに腕を回したパーチェの笑みも、真意は理解できなかった。
「そうかそうかぁ。リベルタもなぁ」
あの純粋だったリベルタが~なんて囁きながらラザニアをさしたフォークを振り回すパーチェ。
周りにはピンクのオーラが舞っていた。
「あ、私もう行くね」
フェリチータが時計を確認して、巡回に戻るというので席を立つ。
ルカは口の周りを拭きながら、気をつけてくださいねと彼女を見送った。
「お嬢いっちゃったから、もう大丈夫だよ?リベルタ」
「なまえはいいのかよ」
「大丈夫、幼馴染だから」
なんの根拠で大丈夫なのか全く分からなかったが、フェリチータより重症なのは恐らく彼女の方だ。
「でも、そうだよな。デビトが大人な世界を見てない訳ないよな!」
リベルタが関心というか、憧れのような表情を見せ続けるので、ルカが顔をしかめた。
「リベルタ、いくらなんでも女性の前で……!」
「あ、あぁ、ごめん」
リベルタが放心状態にあるなまえを見ながら謝る。
そこで意識が戻って来たらしく、なまえは苦笑いを浮かべた。
「大丈夫だよ、なまえ意味わかってなさそうだし」
「ちょ、パーチェ!!」
「いや、意味を理解した上で真摯に受け止めてるから大丈夫だよ」
「なまえ!!」
「そりゃそうだよ。そんなわけないよ! 23歳にもなって、しかもあのデビトが童て―――」
「お黙りなさいなまえ!!」
ルカがなまえの弾丸トークの中に含まれた言葉を必死に止めようと口を押さえた。
そのままルカに口を覆われた状態に抗うことのない彼女が珍しくて、パーチェとリベルタが首をかしげた。
「にしても、そのドレスはその人にあげたのかな~?」
「一緒に選んでもらってたとか、考えられるかもな」
「えぇ?あのデビトが人に選んでもらわないといけないような、センスではないと思うけど~」
ワンコ兄弟の2人の会話はしばらくそのまま続けられ、パスタを半分以上残して、その日なまえはリストランテから帰ったんだとか。
愛しい人よ!
どこへ行ってしまわれたの!?
どこへ行ってしまわれたの!?
「いや、いいんだよ、デビトはあの時から手が早かったよ……。静電気と唇の話をしたあたしも悪かったけど、だからと言ってキスするなんてアイツは生粋のエロリストだよ。そのうち、このレガーロ島はあのエロリストに乗っ取られるんだよ、そうだよ、今更傷つくことなんかじゃないし……」
「なまえ……」
「というか、あたしがこの12年間を美化しすぎてたんだよ、きっと。うん、そうだ。そう思う事にしよう……期待しちゃダメだ……ダメダメダメ。どんな出来事も、冷静に流せるような強い精神力を持たないとアルカナ能力だって更に強くならないし。そうすれば一石二鳥なんだしなによりデビトなんかを好きになっ―――」
「なまえ」
早口で自分に暗示をかけるようななまえを見つめて、一緒に館に戻るルカが名前を呼んだ。
ゆっくりと遮られた言葉を捨てて、ルカを見上げたなまえは半分、涙目だった。
「デビトは誰でもいいわけじゃないですし、カジノの端から端まで本気で女性を口説くような……おほん。本物のタラシではないです」
「ルカ……」
「無下には出来ませんけどね。お客様ですし」
「うん……」
とぼとぼと歩き出したなまえの背がしょぼーんとしているのを見て、不謹慎だったのだけれどルカは少し微笑んでしまった。
「なまえ」
「!」
ぽん、と頭を撫でてやれば拗ねた小さい子のような顔で、唇を噛み締めて俯く少女。
「前に、“レガーロ美人には程遠い”って、言われてましたよね?」
「うん……」
「あのパーティの日、デビトはアナタに“レガーロ美人”って言いました」
「……」
「それくらい、アナタは成長されましたよ」
前から可愛らしかったですけどね。と続ければ、なまえは少し感動したような、いまにも泣きだしそうな顔をした。
「ルカ……デビトのせいで、お嫁にいけなかったら、どうしよう」
「(なんでそうなるんですか、アナタは)」
内心呆れつつ見上げてくるなまえに、ルカが心から笑ってあげた。
「大丈夫です、なまえをお嫁に欲しいレガーロ男は、たくさんいますから」
“私とか”
それは敢えて告げなかった。
(デビト、どうしたんですか、その頬)
(ぁあ?なまえの髪についたゴミ取ろうとしたら、殴られた)
(なまえ……)
(あの凶暴シニョリーナめ……。このオレが思い通りにならないなんてなァ?いや……いつか絶対屈してやる)
((なまえにいつか、こっちが素なんですよと教えてあげたいです))
*
おそらくアナザーが楽しかった関係で突発的に、短編が書きたい!となって書いてみました第一弾。
おいおい、下ネタ入ってんぜ!?リベルタァ!みたいな。←
ルカの一生懸命なフォローと、微妙にここ三角関係なの。を演出。
幽霊船の物語で語りたいけど、
デビト、ルカ、なまえは大人な裏で争う三角関係希望。((え。
そこにジョーリィを入れつつ、アッシュも入れて楽しい関係図の出来上がり。笑
五角関係…?
最近、最強ヒロインが誰オチになるかわからなくなってきました。
2012.09.12